65点 各社がしのぎを削る4合1100円の大吟醸キクマサ版。十分旨いが、大吟醸である必然性には疑問がある。

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今回のお酒は兵庫の菊正宗「生もと大吟醸」!地元のスーパーで4合1188円税込で購入したよっ。これは定価である。うーむ、スーパーで定価ってのは、かなりの待遇だよな。やはりお店も「これは高級品じゃあ!」って考えてるのだろう。

このお酒のウリは、大吟醸が4合1100円台で買えるってこと。地酒の常識からすればありえない値段。さすが大手、容赦がねぇ!

しかも、この価格帯の大吟醸というのは、中々の市場規模になっているらしい。白鶴も大関も、月桂冠も、ほぼ同様のお酒を1100円台で販売している。いわば激戦区だ。

しかし、日本酒技術の粋を集めたのが大吟醸というもの。地酒ファンとしては、1100円というのはいささか、いやかなり不安である。


ブツブツ言ってもしょうがないので、飲むで。飲まない酒飲みには、発言権も人権もないのだ!

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ブルーのボトルはかなりカッコイイ。上撰生もと純米といい、キクマサの青はイケてる印象。


まずは常温!ごくりごくりごくり。

ほう、旨いじゃない!ふんわりとした(いささか甘すぎる)甘みの口当たりから、するりとキクマサ生もとらしい個性的な辛口のキレにつながる。味で言うなら「淡麗旨口」、辛さはあるけど、そこだけがウリではない。

このキレは苦味と酸味のハーモニーで、菊正宗飲み慣れている人には、お馴染みの味である。甘すぎるのは、「これが大吟醸らしさだ!」というメッセージだろうか?

味が変化する流れがとっても綺麗なんだよね~。スルリと自然に味がつながっていく。こういうのはさすが大手、技術力高いって思う。雑味も殆ど無いし、まさにこなれたキクマサ酒。新商品である純米酒の香醸は、やや極端な味の変化だったので、やっぱりまだ荒削りなのだろう。

さて熱燗!(上燗45度) ほうほう、これもいい。ちょっとわざとらしい甘い吟醸香から、すぐに苦酸っぱい辛味コンボが炸裂!こりゃ気持ちいい。

そして、その後の余韻がブワワワァァァン!と気持ちよく口の中に広がる。旨いぜ。

うん、良いお酒だ。しかし、この味だったら、同じ菊正宗の上撰生もと純米でも十分だ。あっちのほうが安いし純米酒らしい質実剛健っぷりが好ましい。

大吟醸って名前が付いてるのが重要なのだろうか?しかし妙な浮いた甘さや香り以外に、その個性は感じられない。しかもどっちもマイナス要素だし。

ちなみに冷酒はかなりお勧めできない。やたらに旨味が少なく、薄すぎるコーヒーを飲むような水っぽいお酒になる。いかにも安い酒って感じだ。


菊正宗「生もと大吟醸」、美味しかったけど、買う必然性の感じられないお酒と言える。やはり日本酒好きとしては、「大吟醸」と名がつくお酒には圧倒的な味の美味さを期待したいのだ。


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名称:菊正宗 生もと 大吟醸
精米歩合:50%
酒米:不明
アルコール度:15%~16%
日本酒度:+3.5
酸度:不明
蔵元情報:菊正宗酒造 株式会社
購入価格(税込):1188円/720ml
購入日:平成29年3月20日 
購入店:近くのスーパー


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神奈川建一(@KanagawaKenichi