79点 爽快な苦さ&激しい酸&濃厚なにごり、このトリプルパンチでとんでもない爽快感を発揮。アブラ滴る肉料理にどうぞ。

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こんにちは~、日本酒ブロガーの神奈川建一です。

今回は奈良の蔵元・美吉野醸造が醸す「花巴(はなともえ) 山廃本醸造 直汲みにごり」をご紹介。大塚の「地酒屋こだま」で試飲して、一発で気に入って購入させていただいた。

スペックを列記すると「本醸造、山廃、酵母無添加、アルコール度20% 発泡にごり」。いやあソソるよねぇ、うへへへ。さすが変態酒の聖地・奈良県(一個人の感想です)。

僕が気になったのは、20%を超えるアルコール度なのに、発泡性にごりというところ。大手蔵が出す発泡日本酒は言うに及ばず、新政の「天蛙」やくどき上手の「おしゅん」などの発泡地酒も、低アルコール方向で出すのがスタンダードだと僕は思っていたのだ。

地酒屋こだまの店長曰く、「アル添+四段仕込みで目指す味があって、それが今年はたまたまにごりになっただけ」だそうだ。ほへ~、そういう造り方もあるんだ。

にごり酒のような個性の強いお酒は、最初からそれを目指して造るものだと思っていたけど、結果としてそうなった、なんてこともあるんですな~。

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さて、開栓。発泡性なので穴が開いてる栓で閉められてる。もちろん冷蔵庫でギンギンに冷やしてるので、5度ぐらいの冷酒だ。撹拌して注いでみる。

ゴクリゴクリゴクリ。あれれ、あまりシュワシュワしてない!くっそ、穴あき栓めぇ。

味は濃厚旨口。しかし、それだけでは言い表せない味の密度。まず高アルコール感が全くない。一杯目に飲んでもスイスイいける。危険すぎる。

酸味と甘みは昨今のジューシー系日本酒の基本だけど、これは苦味がピリリと効いていて、そこが個性になっている。これがまた肉系の料理に合うんだわ!

この設計、完全にビールのコンセプトだよね。苦味って日本酒では難しい要素だけど、このお酒は見事にこなしてる。王祿を思い出す。

しかし、発泡感が少ない!なので、密封栓に換装して冷蔵庫に保管する。これ冷蔵庫内で爆発する可能性があるので、自己責任でやりましょう。

翌日また冷酒。うむ、シュワシュワしてる。より良くなった! 酸味+苦味+甘みに発泡がグルーヴ感を与えている。3つの味のミックスジュース、それがこのお酒だッ。


いやあ、お見事!という完成度。ビール系日本酒か、やるなぁ。どんな食事と一緒に飲もうかなぁ、なんてことを想像するのが楽しい。

しかし苦味の使い方では、王禄の方が上かな。あちらは苦いだけでなく、それを利用した全く新しい日本酒を造ってる。このお酒はあと一歩進んでほしかった。

ただ、僕は花巴、超甘口のこれ以外飲んだことないのよね。なのでまだこの蔵の実力はまだまだ分かってないと思う。もっと沢山飲まねば!と誓った1本でした。


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名称:花巴 山廃本醸造 直汲みにごり 無濾過生原酒
精米歩合:70%
酒米:奈良県産 吟のさと&滋賀県産 日本晴 酵母無添加
アルコール度:20%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:美吉野醸造株式会社
購入価格(税込):1296円/720ml
購入日:平成29年3月4日 
購入店地酒屋こだま(大塚)
スペックの情報は地酒屋こだまHPより引用