70点 独特の甘みは人を選ぶが、醸造アルコールは綺麗に馴染み、味の設計は見事。作り込まれた大手蔵の逸品だ。

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今回は誰もが知ってる飲兵衛のお友達、大関(おおぜき)の佳撰金冠ワンカップをご紹介。いやあ~、見てくださいよ、このルックス。コンビニのレジに持って行けば、気分はアル中!

ただ、あまりに身近すぎるので、意外と飲んだことがない人が多いのでは?そこでワタクシ神奈川建一が、真面目にレビューしてみましょう~。

ワンカップのイメージにありがちなのが、「どーせ、悪酔いする安酒でしょ」的なもの。いやいやいや、違うんですよお客さん!

確かにこの大関佳撰ワンカップ、1個212円(税込)とワンコインで2つ買えてしまうものだけど、一升瓶での販売価格は…1755円(税込)。そう、地酒の普通酒の価格帯なのだ。もちろん安酒の定番、糖類添加もされてない。どう、少しは興味出てきたでしょ?


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さて、開栓!いや、開缶?これが意外と難しくて、僕は高確率でこぼしてしまうのだ。

まずはワンカップの基本、常温で。コンビニでもワンカップは常温販売。これが最適の温度と見たッ。

香りはまあ穏やか。ズズズッと飲んでみると、甘い!水飴のような甘さだ。トロリとした甘さと言っていいぐらい。 このままだと、ベタ甘な日本酒だが…その直後に不思議な薬味感が!

えええ、なにこれぇ!? なんというか、ハッカかミント?うーん、もうちょっと薬草っぽい感じ。これが激甘な味に見事に合う。こりゃあいい!

今の地酒なら、酸味で軽快感を出すものだけど、ワンカップは酸味と苦味が皆無の灘酒だ。酸味が禁じ手な灘のお酒で、こんな軽さを出す方法があるとはなあ。

その後綺麗に辛さが入り込んできて、フワッと辛口でキレる。この丁寧な味の変化、アル添普通酒としては卓越してる。ワンカップはこの自然な味の組み立てが素晴らしいのだ。


やっぱり売れるだけあるなあと思う。アルコールの浮いたような不自然さはなく、酸味と苦味を徹底的に排除した澄みやかなお酒として完成している。「必要なのは甘味と辛みと旨味だけだぜ」、という明確なメッセージだ。

ちなみに、熱燗は甘さそのままで、酸味が出てきてスーッと広がる。美味しい熱燗の典型的な形。そして、冷酒はちょっと甘すぎ。常温であった軽さがなくなり、ベタな甘さに。ちょっとやり過ぎで、残念な感じ。やっぱり常温が一番だ。


独特の甘さ、これについては好き嫌いがあると思うけど、普通酒としては破格の完成度だ。上級品である上撰金冠ワンカップの方がもっと好きだからこの点数だけど、一度は飲んでみる価値があると思う。灘の大手がなぜ大手なのか?その理由の一端を知ることができるだろう。


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名称:大関 佳撰 金冠 ワンカップ(普通酒)
精米歩合:不明
酒米:不明
アルコール度:15%
日本酒度:±0
酸度:1.3
蔵元情報:大関株式会社
購入価格(税込):212円/180ml
購入日:平成29年3月10日 
購入店:近くのコンビニ


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