80点 フルボディの酒質と無濾過生原酒のコンボで誕生した、驚異の甘酸っぱ系日本酒。水割りして、自分の好きな濃度で飲もう。

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今回ご紹介するのは石川県の日本酒、菊姫(きくひめ)の「山廃純米原酒 無濾過生原酒」である。これは定番酒である山廃純米の生原酒版(実は生詰なので一回火入れ)で、冬季限定出荷アイテムだ。

菊姫というと、通常の商品は普通のお値段だが、荒走りやひやおろしといった限定版になると、強気の価格設定をする銘柄というイメージがある。

このお酒も通常版4合瓶1512円(税込)に対して、4合瓶1944円。なんと約30%増し!

こういうのは自社の商品に絶大な自信がないと、なかなかできない。その値段に見合う価値を提供する、その決意表明と言えよう。

値段相応のお酒をつくれば、飲み手はついてくる。市場の相場なんてなんぼのもんじゃい!そんな蔵元が増えると、日本酒はもっと面白くなると思うなぁ。

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菊姫の味というと、濃厚旨口。ズゥゥゥンと重くて濃厚な味付けで、容赦なく口の中を旨味で塗りつぶすような感じだ。十旭日や剣菱が近い。これが僕は大好きでして。

このお酒のスペックは、「山廃仕込み純米酒、原酒、生詰、精米歩合70%、兵庫県三木市吉川町(特A地区)産山田錦100%、アルコール度19%」というもの。

もう、文字からして濃厚な味が漂ってくるかのようだ(笑)。やっぱり菊姫はこうじゃなきゃね!というお酒である。

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飲んでみた感想としては、温度は常温、熱燗がオススメ。そして水割りすることによって、自分好みの菊姫をつくるのがめちゃ楽しい!ってこと。

香りは、どの温度帯でも青りんごをミキサーでかけたかのようなフルーツ感、それに砂糖を焦がしたようなカラメル香がギュッと合わさって漂ってくる。もう、飲む前から味に期待してしまうような、そんないい香りだ。

味は、酸味がバーン!甘味がバーン!アンズかイチジクか?というほどの明確な甘酸っぱさ。そしてアルコールが熟した飲み物独特の旨味、ウィスキーのようなテイストが全体を支配している。

しかし、これが冷酒だと重すぎる。かなり飲みづらいのだ。アルコール度の高さからくる甘味もキツくて、軽快感があまりにも少ない。そこで常温や熱燗にすることにより、柔らかくするのをオススメする。

また、これだけ味のしっかりした原酒なので、水割りもいい。1~2割ぐらい水を注いでみて欲しい。香りも味も穏やかになり、口当たりぐーっと薄めになる。すると不思議なことに甘味だけ前に出てきて、これがまたうまい。常温もいいけど、熱燗のバランスのよさは特筆モノだ。

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フルボディの甘酢っぱ濃厚酒、まさしく菊姫だよね!と拍手したくなるようなお酒だ。これだけの完成度なら、このお値段も納得だ。寒い時に飲む熱燗なんて、涙がでるほどである。

個人的には食中から食後にかけておいしいお酒だと思う。その酸味が濃い料理に合うので、中華やチーズトマトバリバリのイタリアンに合うと感じるね。

菊姫と言うと、酒販店でも熱狂的なファンがいるブランド。このお酒を飲むと、それも大いにうなづけるところだ。

好みに合えば、ハマること請け合い。ぜひ一度飲んでみて欲しいぞ!

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名称:菊姫 山廃純米原酒 無濾過生原酒(生詰)
精米歩合:70%
酒米:兵庫県三木市吉川町(特A地区)産山田錦100%使用
アルコール度:19%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:菊姫 合資会社
購入価格(税込):1944円/720ml
購入日:平成29年3月11日 
購入店リカーポート蔵屋(東京都町田市)