75点 リンゴ酸をこれでもか!ってぐらい量産する77号酵母のお酒。生酒のフレッシュ感とあいまって実に爽快だが、意外と穏やかさもある。

フルーツと聞くと、新宿アルタ脇の素朴すぎるフルーツ屋さんがなぜ潰れないかという疑問が一番に思い浮かぶ神奈川建一です、こんにちわ。いつもドリアン売ってるけど売れるの??
えー、日本酒の味にフルーツの例えを使うのも、随分と普通のことになってきた。もう「フルーティ」という大雑把な言い方ではなく、バナナだったりメロンだったり桃だったりと、実にいろいろな表現方法が増えてきてるよね。
その中でも「リンゴ」は、香りでも味でもよく使われるフルーツ語の代名詞!そして、そのリンゴをそのまま商品名にしてしまったのが、今回のお酒、千葉県・飯沼本家の「甲子林檎(きのえねりんご) KINOENE APPLE 純米吟醸生」であーる!
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日本酒の構成要素のうち、リンゴ味を出しているのは主にリンゴ酸だ。で、このリンゴ酸をめっちゃ出す酵母というものがあって、それが協会77号酵母というもの。
そこで、この酵母を使ってリンゴ味の日本酒として売り出そうぜ!ってのがこの甲子林檎なわけだ。いやあ、なんともうってつけの酵母があったもんだね。
この77号酵母、日本酒の酸は雑味だと考えられていた一昔前には、まったくスポットライトの当たらない酵母だったのだろうね~。洋食化した日本の食卓に合う日本酒が、市民権を得てきた結果がこの甲子林檎だと思うと、感慨深いものだ。
しかも、リンゴ酸は冷旨酸系(冷やすとおいしい酸)なので、キリッと冷やすとデリシャス。まさにこの暑い時期に販売するのに最高のお酒だ。
こりゃあ、理論的につくられたお酒だぞお。さっそく飲んでみようじゃないか!

もう瓶のデザイン的にワイングラスしかないよね!ってことで、リーデルにそそぐ。香りは・・・くんくん、おおう、完璧にリンゴだねっ。ただリンゴ酸は無臭なので、それっぽく演出しているのだろう。うーん、いい仕事だ。
味はもちろんリンゴだぜ!けど、意外なまでに酸味や甘味は控えめで、そのせいかうま味がかなり前に出ている。ほへ~、こういう設計なんだ。ごくごく飲むより、しっぽり料理と一緒に飲むお酒だ。
ちなみにこのお酒、日本酒度ー17.3という甘口をイメージする数値だけど、酸度2.7のおかげで分類は濃醇辛口になる。これ、すごくうまくいっている。
面白いなぁ、このうま味。コハク酸(温めるとおいしい酸)なのか・・・?いや、77号酵母はコハク酸生産少ないはずだし。うーん、熱燗にすれば答えが出るか?
さっそく熱燗にしてみた(50度)。うん、失敗した!(笑) まずくはないけど、別に燗上がりしない。こりゃコハク酸は少ないね。
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冷酒でうまい、酸味多めのうま味メインの日本酒だったぜ。意外に食前酒というより、食中に飲むとおいしいお酒だった。冷やしパスタとかカルパッチョとか、今ならカツオのたたきとか最高だろうなぁ。ジュルリ。
この77号酵母を使ったお酒は人気が出てきているようで、他にも「飛良泉 マル飛No.77」(次回レビュー予定)や「阿櫻 りんごちゃん」など仲間が増えてきている。
今の日本酒が面白いのは、そのバリエーションの多さだと思っている。まさにその代表選手とも言える「甲子林檎 KINOENE APPLE 純米吟醸生」。飲むと日本酒の未来が楽しいものに思えるぞ。ぜひ飲んでみてほしい!

【裏ラベルは透明なシールのせいでうまく撮れませんでした・・・】
名称:甲子林檎 KINOENE APPLE 純米吟醸生
精米歩合:55%
酒米:五百万石100% 協会77号酵母
アルコール度:15%
日本酒度:ー17.3
酸度:2.7
蔵元情報:株式会社 飯沼本家
購入価格(税込):1728円/720ml
購入日:平成29年5月6日
購入店:させ酒店(千葉県千葉市)
(スペックのソースはこちら)
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