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味の傾向:
薄味で地味なお酒なのに表情豊かという、かなり難しいことをサラりとやってのけてる。基本はうま味主体。だけど、そこに甘味、酸味、苦味、微炭酸などが驚きのバランスで組み込まれている。びっくりするほど面白いお酒だ。

おすすめシチュエーション:冷酒なら冷やしすぎない10℃~15℃が良い。うま味が最高のお酒なので、合わせるなら和食テイストのものが一番。豚しゃぶポン酢、山菜の天ぷら、おでん、ブリの照焼など、バランスのいい和食が好相性。ただ、単独でも十分楽しめるお酒なので、食前や食後にひたすら飲むのも楽しい。

評価:85点/100点(際立った個性。さらに他にない美点がある)

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今回ご紹介するお酒は、富山県にある小さな蔵がつくるお酒、「勝駒(かちこま) 純米吟醸」だ!

この勝駒、昔から生産量が少く入手しづらいお酒として有名らしくて、たしかに僕もお店で見た記憶がない。ブログ仲間のしーたかさんのこの記事を読むとよくわかる。

超レア日本酒!富山県『勝駒 純米酒 生 しぼりたて』をいただきました。

そして、僕がこのお酒をセレクトした理由は「皆が話題にしてるから、飲んでみたいなぁ」という、なんともミーハー根性丸出しのもの。す、すいません。ただ、言い訳させてもらうと、日本酒マニアの嗅覚というのはすごくて、話題になるお酒はなにかしらの理由があるものなのだ。まずは飲んでみないと、はじまらないからね!

で、結論から言うと「なにこれ、ありえないぐらいウマいんですけど!?」だ。

冷酒でそそいでみる。ふーむ、香りはおだやか。普通の純米吟醸に目立つリンゴ系の匂いはほとんどなく、バナナとセメダインの香りが支配的。これはかなり今風ですね~。

飲んでみる。!?!?!?!?こ、これは・・・面白い!まず味自体は、一言で言うとクリアー。とても透明度が高い。味の主張は少く、いわば地味酒だ。ただ杯を重ねるごとに、お酒の細かい味がわかってくる。そして、その細部がすごいんだわ!例えるならドールハウスやジオラマの面白さ。よーく見れば見るほど、細部の作り込みに驚く。そんなところが似ているぜ。

グラスに注いで、やや温度が上がったぐらいから本領発揮。まず口当たりはジューシー!うま味が全身にみなぎるかのようだッ。酸味と微炭酸(ほんのり)がこのジューシーさを作り上げている。中盤は微炭酸は消え、さらにうま味が山なりに盛り上がる!すごっ!

そしてキモは余韻のすばらしさ。後半から苦味も出てくるのだけど、この苦味と酸味とうま味が控えめに手を取り合って、なんとも言えぬアフターを作り出すのだッ。そして最後は「フワッ」と酸味が弾けて消える。こ、これは、花陽浴や風の森を思い出す!

以上の味の流れ、芳醇な濃厚日本酒なら驚くことはないのだが、この勝駒はきわめて落ち着いた味の中にこれだけの変化を封じ込めてる。どうやってるんですかこれ?これが僕の率直な感想だ。皆さんが騒ぐのも無理はないと思う。

いやはや、なんとも素敵な体験だった。唯一無二の味というのはこういうお酒のことを言うんだね。争奪戦がおこる理由がよくわかったぜ。「勝駒 純米吟醸」もし飲む機会があったらぜひとも試してみてほしい。あなたの味覚が拡張されること、間違いなしだ。

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名称:勝駒 純米吟醸(火入れ、H28BY)
精米歩合:50%
酒米:山田錦100%
アルコール度:16%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:有限会社 清都酒造場
購入価格(税込):2354円/720ml
購入日:平成29年8月8日 
購入店かたやま酒店(静岡県浜松市)


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