resizeP1130355
味の傾向:
盛大に香る、まさに山形系芳醇日本酒。しかし、あくまで純米酒なので、匂いは抑えられている。味は桃のような甘さ主体だ。特筆すべきは滑らかさで、口当たりから中盤にかけての気持ちよさがすばらしい。ミドルボディとでも表現すべき味の膨らみはまるで大吟醸だ。

おすすめシチュエーション:冷酒でOKだけど、温度は高めの10℃~15℃ぐらいにして、味の膨らみと香りを大切にしよう。食中用の純米酒として設計されているので、積極的に食卓に並べたい。鯛のカルパッチョやアクアパッツア、ササミのサラダ、キウイやイチゴ、リンゴなどの果物もいい。

評価:75点/100点(地酒として合格点。明確な長所がある)

◆◆◆

さて今回ご紹介するのは、山形の遺伝子を持つ珍しい秋田酒、両関酒造の「花邑(はなむら) 純米酒 陸羽田」である!

秋田なのになんで山形?というのは、このお酒が、あの十四代の高木酒造(山形県)による技術指導の結果生まれたものだからだ。こういうのがウリになること自体、高木酒造の知名度の高さは半端ねぇっすね。

しかし、別の蔵から直接技術指導を受けるという話は珍しい。若い蔵元が他の蔵に修行に出るという話はよく聞くけど。こういうの知られてないだけで、実際にはよくあるんだろうか?剣菱などは、過去にそういう話がいくつもあるって聞いたことあるけど・・・。日本酒は、原料以上に作り手の技術が最重要な商品だから、詳しく知りたいっす。


では、飲んでみよう。注いでみるとお酒の色は濃い目の黄緑。ほうほう、わりと熟成しているのだろうか?アルコール度からすると原酒ではないと思われる。香りは・・・うはッ、むっちゃ芳醇!こりゃあ、山形ちっくだぜ!カプロン酸と呼ばれるメロンやリンゴを思わせる甘~い香りに、バナナや油脂のようなシャープな香りがやや混ざってる。簡単に言えば「めっちゃフルーティ」だ!

ごくり、ごくり。おう、これまた山形らしい甘口の日本酒だ。とろみのある甘さで、うまさも十分。このお酒は酸味が目立たず、後半のキレで苦味と共に浮き上がるぐらい。そしてすごいのは、その滑らかさ!めっちゃしっとりしている。こいうのは高級な大吟醸でよく感じられるものだが、花邑は純米酒で実現している。素直にすばらしいと思うぜ。


かなりの完成度のこのお酒、僕としても満足なのだが1つ気になることがある。それは「飲み続けると飽きる」ということ。なぜかこのお酒、だらだらと杯を重ねると、最初の感動がウソのように感じられなくなるのだ。

単なる好みなのかもしれないけど、家呑み派の僕には大きなマイナス点だった。他のお酒を飲み続けた後にこれを飲むと、「おお、うまい!」と楽しめるので、家で飲むよりお店で飲むのに向いたお酒かなぁという印象を持った。

いずれにせよ、よくできたお酒であることは確か。「花邑 純米酒 陸羽田」もし見かけたら、みなさんの舌でその味を確かめて欲しい!

resizeP1130350
名称:花邑 純米酒 陸羽田(火入れ、H28BY)
精米歩合:55%
酒米:陸羽田100%
アルコール度:15%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:両関酒造 株式会社
購入価格(税込):2698円/1800ml
購入日:平成29年7月15日 
購入店小山商店(東京都多摩市)





Twitterやってます。お気軽にフォロミー!
神奈川建一(@KanagawaKenichi) 

お酒ミライのFacebookページはこちら。いいね、もらえると喜びます!

Instagram始めました
神奈川建一