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味の傾向:
近年流行の「酸味をきかせた甘口で、微炭酸を活用したフレッシュなお酒」。そのジャンルの中でもシャープな味で、冷酒が実に似合う。口当たりの滑らかさもキチッと決まっており、優等生なお酒だ。

おすすめシチュエーション:冷酒でOK。温度は好みでよいので、5℃(雪冷え)から15℃(涼冷え)まで自由に試してみよう。味はカッチリしたフルーティ傾向なので、料理もそれ系で。鯛やたらの刺し身、ドライフルーツ、温野菜サラダなど、軽くて素材を活かしたものがよいだろう。

評価:70点/100点(地酒として合格点。十分楽しめる)

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今回のご紹介は、京都期待の新星・松本酒造の「澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 雄町」であーる。澤屋まつもとは、最近関東の酒屋さんで特に見かける機会が多い銘柄だ。味も人気のフルーティ系を上手に醸した軽やかなテイストで、売れるのもよくわかるって感じ。

他によく売ってるお酒というと、仙禽、七田、山本、伯楽星などだと思う。このあたりは供給能力が十分で、かつ商品クオリティが抜群なので、どんどん売れて欲しいところだ。これらのお酒が酒屋専門店を飛び出して、どう他の流通経路に入り込んでいくか・・・そこが今後の課題だろうね。成城石井みたいに、プチ高級スーパーで売られていくといいなぁ。

さて、このお酒は澤屋まつもとの人気シリーズ「守破離」の1つ。もともとは単一商品だったのだが、あまりの高コスパに話題が沸騰し、ついにシリーズ展開したというものだ。お米違いで商品を発売しており、これはもちろん雄町100%。特定名称を名乗ってないあたり、非マニア層へのアプローチを意識してるなぁと思う。

冷酒でキリッと冷やしてグラスにそそいでみる。シュワワ~と炭酸の発泡が見える!あー、いいねぇ微発泡!新政などに代表されるガス感を維持しながら瓶詰めする技術だけど、火入れのお酒でもフレッシュ感を演出できるのがいい。こういうの、日本酒の古いイメージを破るのに有効だもんね。香りはビューティフルなほど澄んだ青りんご。これもイイ!

味は甘さを酸味で包んだような感じ。酸味主体なんだけど、甘味もしっかり芯があるバランス型。口当たりのヌルっとした滑らかさもあり、後半のキレは苦味が加わりシュパァッ!とフィニッシュする。あー、もう優等生すぎるよ、君!全体として微発泡感があり、飲んでて気持ちがいい。

実は開栓後3日目ぐらいで炭酸は抜けるのだけれども、このお酒はそれでもおいしい。飲んだ後の余韻などは、発泡感がない分こっちの方が良いぐらいだ。苦味が「ビィィィィーーーン」と延々伸びていく感じがいーのよ。とにかく上品、清楚。似ているようで新政とは違う。あっちはマニアック感が全開なんだよね。不思議なニュアンスの違いだ。

あー、うまかった!ただ残念な点としては、守破離のメイン商品である「守破離 五百万石」との差があまり感じられないこと。もちろん飲み比べればわかるだろうけど、単一で飲むと似たような気が・・・。五百万石が4合1296円で、雄町が4合1782円だと、「うーん、この価格差だと・・・」と思ってしまう。それと流行のテイストだけあって、他にも似た味のお酒が多すぎる。僕が個性的な味を好むせいもあるけど、もっと差別化ができてるといいなと思う。

「澤屋まつもと 守破離 雄町」、見事な優等生日本酒だ。そこにそれ以上の何かが加わると、もっといいなぁと思う。

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名称:澤屋まつもと 守破離 雄町(火入れ、H28BY、純米吟醸)
精米歩合:不明(おそらく55%)
酒米:雄町100%
アルコール度:15%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:松本酒造 株式会社
購入価格(税込):1782円/720ml
購入日:平成29年9月10日 
購入店たけくま酒店(神奈川県川崎市)





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