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味の傾向:
香ばしい焼き栗のようなビターな甘さが特徴のお酒。最低ひと夏越えたお酒をブレンドしてるので、熟成酒寄りの味だ。とんでもなくまろやかで、まったく醸造用アルコールの存在を感じさせない。値段を考えるとちょっとおかしいレベルである。

おすすめシチュエーション:冷酒・常温・熱燗全てOKというオールラウンダー。特に常温の軽さと穏やかな苦味は特筆モノ。濃い旨口タイプなので、味噌やマヨネーズなどコクのある味付けの料理と好相性。手羽先の甘辛煮、豚角煮、チーズドリアなどがおすすめだ。

評価:80点/100点(明確な個性がある。それに加えてコスパが良すぎる)

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今回は日本酒のド定番、あの剣菱のお酒「剣菱」である!そう、スーパー、酒屋問わず、日本酒売ってるところに行けばどこにでもあるお酒だ。料理酒としてキッチンに常備してる方もいるだろう。この蔵のライナップの中で一番安い商品である。

しかしですよ、このお酒がすんばらしいのだ!今日はぜひ皆さんにその良さを知ってもらうために、この記事を書いてみるぜ。

まず、剣菱はこの「剣菱」も含めて特定名称酒(大吟醸とか純米酒とか)を名のるお酒をつくっていない。全部の商品が、酒税法上の「普通酒」だ。なぜなら毎年異なる精米歩合、熟成年数、酒米のお酒をブレンドしてつくるからである。精米歩合は毎回異なるので、特定名称を使えないのだ。そしてこのブレンドを行う理由は、毎年同じ味のお酒をつくるため。剣菱流に言えば「今年の剣菱を、いつもの剣菱にする」ということだ。

どうです、このストイックさ!かっちょえええ!最高の味は蔵の中に確固たる形で存在し、全ての材料、行程はその味の実現のためにある・・・くー、痺れるわぁ!剣菱が熟成にこだわるのも、それがもたらす味の再現性の高さゆえなのかもしれない。なんかウィスキーみたいな感じだ。


さあ、とにかく飲んでみよう。温度は常温。グラスにそそいでみる。香りがふんわり漂う。酸っぱさを予感させる酸味と、砂糖がこげたようなお酒の熟した匂いが香る。あ~この熟成酒感、僕の好みですねぇ。

ごくりごくり。べらぼーにうめぇ!一言で言うと「まろやかで軽い」!甘味が強いタイプだけど、驚異的な滑らかさとじんわりしみる苦さが味にコクを与えている。後味はビターチョコレートみたいだ。こんな味なのにスルスル飲めちゃうのも驚きである。酸味がいい働きをしているからだろう。アル添のお酒だけど、醸造用アルコール感がまったくないのも信じられない。

温度を変えても最高だ。冷酒ならグッとヘビーになり重厚な甘苦さを堪能できる。これだけしっかりしてると、揚げ物を食べながらでも余裕である。ぬる燗にすると、いままでメインだった甘さと苦さは引っ込み、気持ちい~酸味がメインとなる。控えめに言って、バランス感覚最高でしょう。


ここまで褒めちぎっているけど、恐ろしいことにこのお酒は一番安いお酒なのである。上位のお酒がまだ4種類もあるのだ。剣菱は変身を4回残している・・・お前はフリーザかッ。さらにこの瓶は日本酒定番の4合瓶ではなく、5合瓶。25%増量が年中無休で!最高すぎる!

日本酒好きなら、偏見捨ててまず飲んでみて欲しい。こんなお酒がいつでも手に入るなんて、見逃す手はないぜ!

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名称:剣菱(火入れ、アル添)
精米歩合:不明
酒米:不明
アルコール度:16.5%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:剣菱酒造 株式会社
購入価格(税込):1030円/900ml
購入日:平成29年10月3日 
購入店:近所のスーパー




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