resizeP1120778
こんにちわー、お酒ミライの神奈川建一です。毎月通わせていただいてる「インフィニット酒スクール 日本酒初級講座」レポートの第2回です!ずいぶん間があいてすみませんでしたっ。
第1回目のレポートはこちら。

ちゃんと理解して完全に報告しようとすると、どーにも筆が進まなくて・・・。まだ初心者なのに無理してました。今後は一番感心した点を中心に、気楽に書いていこうかと思います。

今回の講義の中心は「水」!日本酒の原料は「米、麹、水」、しかもその80%を水が占めるので、原料としての仕込み水の重要さは言うまでもありません。この点では、ぶどう100%でつくられるワインより、水を主原料にするビールのほうが近いですね。

ポイントとなるのは、日本の水はほぼ軟水であり、それが日本酒の味の特徴になっているということ。

日本は島国であり、川が短い。そのため湧き水は地下に潜って50~100年程度で出てくるので、水に溶け出すミネラル(日本酒で重要なのは、カリウム、リン酸、マグネシウム)が少ないのです(つまり硬度が低い)。逆に広大な大陸であるヨーロッパはなんと500~1000年経って地上に出てくる!そりゃ硬度も高くなるってもんです。

日本の水は、どこを掘っても硬度30~60ぐらい。軟水ミネラルウォーターのボルヴィックが硬度60ですが、エビアンになると硬度300。あのダイエッター御用達のコントレックスは硬度1500!もう、桁違いですな(笑)。

水に含まれているミネラルは、アルコールを発生させる酵母のエサになるのでとても重要です。実際江戸時代に銘酒の地として栄えた灘地区から湧き出る「宮水」は、ミネラルが多く、かつ鉄分など酒づくりに有害な成分が少なかったため、いいお酒の原料として珍重されたそうです。

じゃ、硬度が高い(=ミネラルが多い)ほうがいいのか?と思うけど、これがまた違う。高すぎると酵母活性が激しくなりすぎて、お酒つくる時にコントロールがきかなくなるのだそうだ。特に現代になって発展した吟醸づくりは、低温でゆっくり発酵させるので、酵母活性は落ち着かせるのがセオリー。適度な軟水こそが、理想の水なのですな。


そういった理想の水が取れる地域は、昔から日本各地に存在し、岩手県「金沢清水」、新潟県「信濃川」、静岡県「天竜川」、京都府「御香水」などなど、「名水あるところに銘酒あり」とよばれました。お米は他県から持ってこれるけど、お水はそうはいかない。やはりこの格言は現代でも有効なのだ・・・と、いいたいところですが、先生曰く「今は関係ない」んだそうです(笑)。おいおいおい、ここまで学んでそこですか!

醸造学が進化し、化学的アプローチが基本となった日本酒づくり。今は水に有害成分(鉄・マンガン、重金属、アンモニア、亜硝酸など)がなければ、どうとでもなるそうです。もちろんある程度の制約はあるでしょうけど、おいしい日本酒をつくるのは水ではなく杜氏の腕になっていっている、そういう時代なのです。硬度214という、とんでもない硬水でお酒をつくる油長酒造(風の森の蔵元)を見ると、なるほどなーと実感できるお話でした。


今回の結論は「名水はあくまでロマン。お酒の良さはつくり手が決める」です!


さて、最後におこなったティスティングの感想。この日のラインアップはこんな感じでした。

resizeP1120779

①貴 純米大吟醸2015 精米歩合50% アル度16% 日本酒度+5 酸度1.6 酵母:協会9号

②新政 No.6 R-Type 2016 精米歩合40%(麹米)&60%(掛米) アル度15% 日本酒度±0 酸度1.8 酵母:新政酵母

③大洋盛 北翔 純米吟醸 精米歩合55% アル度15% 日本酒度+0.5 酸度1.5 酵母:G-9

④黒龍 吟風 2015酒門の会 精米歩合40% アル度17% 日本酒度+2 酸度1.3 酵母:自社

以下、先生のコメントなど。

①の「貴 純米大吟醸」は飲んだ時のトロトロ感(テクスチャー)がしっかりしている。これは熟成により発生する日本酒独自のもの。②の新政と比べると、後味にしっかり苦味を感じるが、これはソトロン(熟成成分)とアルコールのせい。1%アルコール度が違うだけででも、大きな影響があることがわかる。

②の「新政 No.6 R-Type」は、注ぐとグラスに炭酸の泡がつく。これはお酒を絞った後、すぐ瓶詰めした証拠(通常は、タンクに入れてガスを抜く)。蔵元がフレッシュな状態で飲んで欲しいというメッセージ。

③の「大洋盛」は、香りがヨーグルト(乳酸)と油脂(高級アルコール)っぽい匂いのみ。活性炭ろ過の証拠。炭素ろ過すると、熟成香であるソトロンと、フルーティさのカプロン酸エチル・酢酸イソアミルは消えてしまう。新潟のお酒は、皆この香りになるのはそのせい。

④の「黒龍 吟風」はアル度17%もあるのに驚くほど澄んでる味。後半苦味があるが、それもアルコール由来のわずかなもの。これはコハク酸が少ないため。黒龍は活性炭ろ過によるコハク酸吸着の技術があるそうだが、これは門外不出だそうだ。


毎回ティスティングがあるのですが、先生の分析力に驚かされてばかりです。プロって恐ろしいわぁ。ひたすら回数こなすだけでなく、その香り、味の科学的根拠を学んでいかないと、そこまで行けませんね。ほんの少しでも理解できるといいなぁ・・・がんばります。


それではまた次回。お楽しみに~。第3回の講義はこちらです。




Twitterやってます。お気軽にフォロミー!
神奈川建一(@KanagawaKenichi) 

お酒ミライのFacebookページはこちら。いいね、もらえると喜びます!

Instagram始めました
神奈川建一