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味の傾向:
途方もない滑らかさと豊かな甘味・うま味が凝縮された、傑作純米吟醸酒。味の前半、中盤、後半にしっかりとした味の変化があり、お酒単体で楽しいひと時を味わえる。つくり手の技術力を感じる、見事なお酒だ。

おすすめシチュエーション:食前酒として楽しもう。温度は高めの冷酒(10℃~15℃)がおすすめ。甘さの濃度が凄いので、食事との相性は難しい。単体で飲むのが吉だろう。肴はミックスナッツなど、お酒に影響しないのが良い。

評価:80点/100点(明確な個性。今飲むべきお酒)

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今回のお酒は、酒どころ福島県の中で、うなぎ上りに評判を上げている蔵元・松崎酒造店の「廣戸川(ひろとがわ) 純米吟醸」だ!インフィニット酒スクールの授業で出会ったお酒なんだけど、こいつはグレートですぜ!その良さを今回は語ってみるぞ~。

福島県は、全国新酒鑑評会で5年連続金賞受賞数No.1というぶっちぎりの酒王国。この場で目立つのは並大抵じゃあできない。そんな中でここ数年、ぐいぐいと注目度を上げているのが若手の廣戸川。はたしてその秘密は何にあるのか?さっそく解き明かしてみよう。


開栓してワイングラスにそそいでみる。冷酒だけど冷蔵庫から出して、少し放置するのがポイント。香りも味もちょっと高めの温度がおすすめだ。香りは明確な青りんご!うひょう、こいつはイイ。鼻孔をくすぐるとはまさにこのことだぜッ。わずかにミルク感もあり、かなり濃厚。青っぽさはないから、しっかり火入れしているのだろう。

飲んでみる。あれ・・・このお酒片栗粉混ぜてる?って感想が漏れるぐらいに恐ろしく滑らかなお酒ですよ、社長!すっごい、これ。酒飲みなら皆に味わって欲しい。これが日本酒だ!ってね。そのぐらい日本酒ならではの素晴らしいトロみを味わうことができるぜ。これぞ熟成による廣戸川ならではのうまさだ。


特徴としては、明確な味の変化の流れがあるところ。口当たりは甘さとうま味がバーン!と流れ込んできて、口の中を楽しませてくれる。その後上に書いた滑らかさを味わうタイムがあり、次第にピリピリしたアルコールの刺激と共に酸味がフィニッシュに導いてくれる・・・パーフェクトだ。いやぁ、美しい。開栓後数日すると、味にチョコレート感が加わり、より熟成っぽく変化する。これもまたいいのだが、なるべく早く飲みきるのがいいだろう。

このお酒のポイントは、完全な食前酒であること。単体での完成度が高すぎて、食べ物との相性が難しいのだ。普通の肉や魚の料理では甘さが浮きすぎて辛く、肴もチーズやイワシ缶ですらイマイチ。ドライフルーツ(レーズン)では甘さが消滅してしまい、ようやくミックスナッツで落ちついたという難敵だった。

こういう設計なのだろう。僕が飲んだ中では花邑純米の考え方が近い。食中酒としてなら、廣戸川でも純米や特別純米の方がいいとTwitterでもコメントいただきましたし。なので、この純米吟醸は食前の一杯として楽しんで欲しいぜ。

「廣戸川 純米吟醸」、今の福島の凄さを感じるならまさにこのお酒!ぜひぜひ、自宅に招待してほしい。

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名称:廣戸川 純米吟醸(火入れ H28BY)
精米歩合:50%
酒米:不明
アルコール度:16%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:松崎酒造店
購入価格(税込):1620円/720ml
購入日:平成29年11月4日 
購入店伊勢五本店 中目黒店(東京都目黒区)