
味の傾向:甘~い飲みくちに雑味が混じる、軽やかな日常酒。単純な味の評価はイマイチだが、なぜかグイグイお酒が進んでしまう。飲んでも飲んでも味は濃くならず、気分は晴れやかだ。お酒に慣れてくるほど、良さが実感できる味。
おすすめシチュエーション:個人的には苦味が目立たなくなる冷酒をおすすめ。ただ熱燗、常温が悪いわけじゃないので、好みを探ってほしい。食中から食後にぴったり。合わせる料理はマジなんでもOK。静岡らしく、おでんや生しらす、アジの干物や餃子などいかがだろうか。
評価:65点/100点(日本酒として及第点。しかし晩酌酒として最高の品)
◆◆◆
今回ご紹介のお酒は、静岡の名蔵元・土井酒造場の「開運 佳撰(かいうん かせん)」であーる。今年の静岡旅行の際、泣く泣く蔵元訪問を諦めた土井酒造場。この年末になって、念願のローエンド商品を手にれたぜ(一升瓶で1794円!)。これ、地元流通なのに、なぜか横浜で買えたのだ。もう、そういう仕入れする酒屋さん、大好きだ!
静岡の地酒は、一番安いお酒(多くは普通酒)がやたらにおいしいので、注目している地域。磯自慢・本醸造、喜久酔・普通酒、初亀・普通酒・急冷美酒、などなど、今年飲んだものはめちゃ自分好みだった。この開運も「普通酒最高ですよ!」のアドバイスをいただき、運良く見つけたので期待しまくりだ!
ちなみにこの開運・佳撰、蔵のHPでは本醸造と表記されている。しかし、いろんな酒販店のHPでは普通酒と紹介されている・・・どっちですか?(笑)まあ、ちゃんと精米歩合表記されているし、公式に従って本醸造としておきます。まあ、どうでもいいことだけどね!
とりあえず飲んでみよう。冷酒で香りを嗅いでみる。ほおお、軽い匂いだけど、バランスのいい甘い香りがするぞ。驚いたことに本醸造にありがちなアルコールっぽさがない。こりゃ~、期待値が上がるね!
口をつける。あれれ、邪魔な苦味も酸味もあるのに、なぜだかお酒が減っていくぞ?そう、特においしい!ってわけじゃないのだ。いや、味は好きだよ?静岡らしいトロッとしたお菓子のような甘味が、うま味と共にバランスよく味わえるし。しかし、口当たりから無駄な苦味があったり、中盤から後半にかけて無愛想な酸味が出てくるし。お酒の味としてのランクは、かなり落ちると思う。
しかし!これが不思議と飲み続けてしまう。ほんとびっくりするんだ。ちょっと凝った純米吟醸何杯か飲むと、すぐこの開運・佳撰に移りたくなるほどだ。その正体は計算されたお酒の「軽さ」だ。どんだけ飲んでも苦さは強くならず、むしろ慣れてきて気にならなくなる。酸味や甘味も濃くなることがなく、どんな料理にもマッチするし、そのままお酒だけ飲んでもツラくなることはない。結果、とんでもないスピードで一升瓶を飲みきってしまったのだ。
いやー、毎日飲みたいお酒って、味で決まらないんだなーとしみじみ実感したぜ。お酒が選ばれる要素ってたくさんあるけど、味よりも値段や気軽さみたいなものが大切なんだろうな~。静岡は日本酒生産量はたいしたことないけど、こういうお酒をポンポンだせちゃう蔵があるから、やっぱり要注目県だと思う。
「開運 佳撰」、もしあなたが毎日日本酒を飲むような人なら、ぜひ一度試してみて欲しい。飲み飽きないお酒の強さ、実感してもらえると思うぜ。

名称:開運 佳撰(本醸造 H28BY)
精米歩合:60%
酒米:麹米・山田錦 掛米・はえぬき 酵母・静岡酵母
アルコール度:15~16%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:株式会社 土井酒造場
購入価格(税込):1794円/1800ml
購入日:平成29年11月26日
購入店:秋元酒店(横浜市港南区)
酒米:麹米・山田錦 掛米・はえぬき 酵母・静岡酵母
アルコール度:15~16%
日本酒度:不明
酸度:不明
蔵元情報:株式会社 土井酒造場
購入価格(税込):1794円/1800ml
購入日:平成29年11月26日
購入店:秋元酒店(横浜市港南区)
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コメント
コメント一覧 (4)
そうなんですよねぇ、美味けりゃ良いってモノでもないんですよね、日常酒。
現在の日本酒が史上最も美味しい説とかを否定するわけでわありませんが、何か迷宮に迷い込んでいる感はあります。
獺祭以降の良酒の世界の空気を吸って育った良き造り手の皆さんが、この辺りをどう料理していくのかで、今後の日本酒界の在り方は変わっていくような気もします。
飲み手側も、飲酒1年生が美味しいと感じないお酒を付き合いだったり見得や意地で飲み続けて、いつの間にかそれを「うまい」と感じるようになる… というような飲酒経験を積んでくれるような時代でもないですし、なかなか難しいですね。
コメントありがとうございます!開運佳撰の記事、気に入ってもらえたら嬉しいです。
おっしゃる通り、こういうお酒を飲むと、昔は無理して飲んでお酒に慣れていったんだろうなぁって実感しますね。古いチューハイ系飲料(ハイリキレモンとか)でも同じ印象を持ちます。たった数十年でずいぶん変わるものですよね。
フルーティ系の吟醸酒や、ストロングゼロのようなジュースのようなお酒が流行ってることを考えると、この開運のようなお酒は淘汰されていくのでしょう。それはそれで寂しいのですが、新しい晩酌酒をつくらないといけないということなのでしょう。各蔵がどうチャレンジしていくか、楽しみでもあります。
静岡・藤枝の志太泉酒造さん 私のお勧めです。4月初旬に季節限定の『ふねでしぼったしだいずみ』が発売されます。取扱店で予約しておけば確実ですが・・
という普通生原酒です。たぶんなんだこりゃ!と良い方向のコメントになると期待したいです。自分は現在3本予約してます。
コメントありがとうございます!志太泉さんのお酒はまだレビューしたことがないので、ぜひとも一度飲んでみたいですね~。期間限定酒、入手できたらしっかり飲んでみたいと思います。情報提供ありがとうございます!