こんにちはー、お酒&Tシャツ屋の神奈川建一(@KanagawaKenichi)です。


resizeP1040545

突然ですが、みなさんはタイムスリップできるとしたら、日本の何時代に行きたいですか?戦国時代?なんか即殺されそうですw 平安時代?渋いですねー、でも警察権力というものがまるでないので、武装して行きましょうね。

こう、安全で文化的な時代・・・といったら、やはり江戸時代が一番魅力的ではないでしょうか。僕らが大好きなお酒の文化としても、日本酒(生もと製法の確立)、居酒屋文化の形成、江戸前寿司の成立といい、まさに発祥の時代です。これはその実物を見てみたいと思いませんか?

しかし、残念ながらドラえもんがいないので、僕らは江戸時代にいけません。が、ドンウォーリー!島根の蔵元が江戸時代の文献を元に、当時のお酒を再現してくれました!それが今回ご紹介するお酒「開春(かいしゅん) 寛文の雫」です。


注:今回はわりとマニア脳全開でいきますので、ところどころ謎の言語が混じります。わからない方はググるか、生暖かい目で見てくださると嬉しいです。


resizeP1040541
このお酒、まず日本酒としてのスペックが凄いです。精米歩合90%、酸度4・5、日本酒度-80、酵母無添加生もと造り、三年古酒!この数字の羅列を見ただけで、身悶えちゃいますよね!ハァハァ


こういう結果になったのは

江戸時代は精米機などはなく、足踏みを基本とした、ほぼ人力の精米を行っていたため、精米歩合は9割がいいところだった

現代では不要となる部分がお米に残っているため、お酒を造ると今の日本酒よりも糖度と酸度が大幅に高くなる。そのため高酸度、日本酒度大幅にマイナスなお酒ができた。

古酒は江戸時代、今よりも広く一般に飲まれており、このお酒が古酒なのもその再現

といった感じで造られたからだと推測できます。別にむりやり変態スペックにしてるわけじゃないんですねぇ。そりゃそうか。裏のラベルには「和漢三才図」を参照してとありますが、これは江戸時代成立の図入り百科事典のこと。これを書いた医師は、なんと30年かけて記述したらしいですよ。まさにこの本の為に生まれてきたような人です。すげぇ。

resizeP1040536

さて、前置きが長くなりました(ほんとにな!)。さっそく、江戸時代に花見にでも行きましょうかっ!常温で飲んでみます。


トクトクトクトクトク・・・・

色凄い茶色やねん

くんくん・・・・

!?!? 醤油の匂いがするー!!

もう、完全に醤油です。色も色だし、前知識なければ、絶対間違えるでしょ、コレ!友人に飲ませようものなら「俺を殺す気か!?」なんて、事件のもとになっちゃうかもってレベルです。醤油飲み過ぎると死ぬって言うじゃない。

いやー、これはどうしてなんだろ。確かに日本酒と醤油は製造方法その他で共通項あるけど、ここまでとは。興味深いです。

resizeP1040539


とにもかくにも飲んでみないとわからないッ。GO!GO!だッ。

・・・・・・醤油の味がする・・・・

さすがにそれだけではなく、古酒的なあのカラメル味もします。が甘さと酸っぱさが忽然となった奇妙な味で、薬用酒のよう。そして飲みきった後の後味が生臭く、つい「うっ」ってなんりそうになります。

いやはや、江戸時代のお酒ってこんな味だったんですか~。はーまったく別物と言って過言じゃないですねぇ。日本酒はワインと違って、製法も味もどんどん変化するって言われますけど、これでとっても納得です。

しかし、これは飲みにくい。ぬる燗はマシになりますが、やっぱりキツい。はー、どうしよ、一升瓶で買ったんだよなぁ、これ。


そんな憂鬱な気分でググっていたら、こんな記事を発見。





「昔の日本酒は、酒屋が水で薄めて売ってたらしいよヨ!三倍ぐらいに薄めるのオススメ」(超要約)


な、なんだってーーーーー!!??

半信半疑のまま、水でがっつり割ると・・・・おおお!すんごい飲みやすい!!でも、しっかりあの味は残っており、お酒のんでるって実感に曇りなし。なんと、当時のお酒は水割りするものだったんですね!


詳しくはリンク先のブログを読んでいただきたいのですが、僕はここで長年の疑問が氷解しました。それは「なんか昔の武将や江戸っ子って、なんか今の日本人よりお酒強すぎない?日本人の遺伝的なアルコール耐性の低さは、昔から変わらないはずなのに・・・」というものです。

なんのことはない、薄いお酒を飲んでいたから、がぶ飲みしても平気だったんですね!なにせ3倍に希釈すれば、アルコール度数は5%ぐらいです。ビールと同じぐらいですもの。これぞ、本当の三倍醸造酒!ですなw

いや、もう飲んだとたんに、歴史の裏側を見た!なんて感動がありました。こんな体験、そうそうできませんよね。いやー、実に興味深いお酒でした。買って良かったなぁ。


このお酒の名誉の為に書いておきますが、もともと僕が興味を持ったきっかけは、恵比寿のGEM by motoにて同じお酒の7年古酒をいただいたためです。同じお酒ですが、日本酒度などのスペックも異なり、色も完全に真っ黒な凄いお酒でした。そしてこちらはさらりと飲めてしまう素敵な味。なので、僕が持ってる3年古酒バージョンも、熟成が進めば味が変化するかもしれませんね。
323232434
これがGEM by motoで飲んだ寛文の雫。すっごい黒いお酒でしょ。



まさにタイムマシン、日本酒の歴史が体験できてしまう希有なお酒「開春 寛文の雫」、知識の探求に熱心な方や、もう一般の日本酒では満足できないクレイジーなドリンカーに飲んでいただきたい。まさにスペシャルなお酒です。飲める機会がありましたら、ぜひ!

resizeP1040547
名称:開春 寛文の雫 H24BY 
精米歩合:90%
酒米:温泉津町福光産 山田錦100%
アルコール度:14.5% 
日本酒度:-80 
酸度:4.5 
蔵元情報: 若林酒造 有限会社
購入価格(税込):3240円/1800ml 
購入日:平成28年1月20日 
購入店:米村本店


購入アドバイス

島根県に住んでもいないかぎり、素直に通販で買いましょう。僕が見た限りでは3年古酒であるH24BYしか見当たらないけど、探せば他の年度に作られたものも見つかるかもしれません。


オススメ酒販店

米村本店
検索すると一番最初に出ます。迷わずここで良いと思いますw 島根のお酒は、土地柄か常温保管のタイプが多いみたいなので、一升瓶でもわりと安心して買えそうですね。