こんにちわ~。お酒ミライの神奈川建一です。皆さんお正月酔いも抜けました?
インフィニット酒スクール第5回目の講義レポートです。今回は醪(もろみ)の話!です。
第4回の講義レポートはこちら。
醪とは日本酒づくりにおけるお酒の状態の1つで、酒母完成から絞る前までを指します。酒母で酵母を培養した後、それを元にお酒を大幅に増やして醪を完成させるのです。いよいよお酒らしくなってきましたよ~。
この醪をつくる技術が、長い年月によって磨かれた技「三段仕込み」です。4日間で3回に分けて酒母に水・麹・蒸米を加えることにより、酒母の約20倍にお酒を成長させるのです。うーん、まさに水増し!(違います) この三段仕込みは日本酒の知恵そのものと言ってよく、アルコール度の低下と酸度の低下をギリギリ腐造しないレベルで止め、最適な発酵を実現します。よくもまぁこんなテクを磨いたものです。昔の日本人、すげぇ。
さて、僕ら消費者にとって醪の段階で需要なことは「つくり手は、醪状態の間になにやってもよい」ということ。いや、もちろんオレンジジュース入れるとかダメですよ?入れられるのは水・麹・蒸米それと醸造用アルコールに完成品である日本酒だけですが、かなり自由度があり、それがお酒の味を決めているのだそうです。
例えば最近増えてきた甘い日本酒、特に日本酒度がマイナスにになっているお酒は、麹を大量に投入しているはずです。最後の仕込みである3回目の仕込み(留添え)の際、麹をたくさん入れるのですね(もしくは4段仕込みにして、その時いっぱい投入する)。麹はデンプンを糖にバンバン変えていくので、酵母がアルコール発酵に使う以上の糖が醪の中に残ります。これで甘~い日本酒のできあがり!です。通常の発酵では日本酒度はー4ぐらいが限界なのだとか。それ以下のお酒には、こんなテクニックが使われているのですね~。
また、醸造用アルコールも重要。よく添付によりお酒の香味成分を引き出す・・・と言われるけど、むしろこれは加水であると覚えることが大切です。醸造用アルコールは日本酒に混ぜる前に30%に薄める必要があります。つまり70%は水!加水してるのと同じなのですね。日本酒は水を加えると酸味が目立ってきます。これがアル添のお酒特有の淡麗さにつながるわけですね。鑑評会などに出品されるお酒がほとんどアル添なのは、このすっきり感を使ってバランスの良いお酒を狙うためなのだそうです。
いかがでしたか?醪1つとっても日本酒の製造工程は奥深いです。お酒を飲む前につくり方を知ることができれば、その味をかなり正確に予測することができるでしょう。
◆◆◆
さて、今回のティスティングはこちら。僕の大好きな磯自慢がありますよぉ~。
①の陸奥八仙・純米大吟醸は白麹を使用したお酒。甘味もあるがドライな味です。滑らかさがあるところは、やはり大吟醸。白麹らしく、とにかく酸が強いです。香りはカプイソバランス型で、さすがと言いたいところですが、味の後半の苦味と酸味が邪魔。先生曰く「もうちょっと綺麗にした方がいいね」とのこと。
②の磯自慢は、静岡酵母のNEW-5を使用しているお酒。この酵母は酸をつくらないタイプで、香りはイソ系です。嗅いでみるとセメダインやロウ、畳の匂いなど、確かにといった感じ。極めて薄い香りなので、アル添を疑わせるというコメント。実際は加水のせいでしょうかね?味はコハク酸からくる苦味があり、これがNEW-5の特徴だとか。味はペラペラではなくサラサラな食中酒。さすが磯自慢です。
③の南部美人はM310という酵母を使用。これも酸を出さないタイプで、香りはカプイソ系のもの。しかし、このお酒はカプロンが出ていない!それは糖分が少ない(=日本酒度が高い)せいだとか。カプロン酸は生成されるのに糖が必要な香りで、日本酒度+5ぐらいだとアウト。+3ぐらいだとM310らしくなるそうです。味は苦味がありこれはコハク酸。酸度1.3なのに酸味が強く感じるのは、加水のせいだそうです。
④のいずみ橋は7号系酵母。7号は発酵が強いので、日本酒を辛口にしやすいそうです。このお酒はそれを活かしてかなりドライな仕上がり。酸味と苦味のコンビネーションが辛さにつながってます。それでもお酒に滑らかさがあるのが見事。ここまで極端な味だと、足りない味を足して食事とペアリングを完成させるのが良いそうです。肉料理などがおすすめだとか。
ちなみに先生が評価するお酒は、「滑らかさがあり甘旨さに対して、苦味がちょっと負けてること」だとのこと。滑らかさは特に重要で、これが日本酒の良さ、おいしいと感じるキモなのだそうです。滑らかさは主に熟成でつくられますが、廣戸川などは熟成なしで滑らかさをつくれる稀有な蔵だとか。同じく横山50も要注目だそうです。
◆◆◆
さて、第5回目の講義、いかがでしたでしょうか?日本酒のつくりは、聞けば聞くほど複雑で数多くのテクニックがあるのだなぁと関心します。これはやはり日本酒の特徴と言ってよく、日本酒の味を理解するには、まずつくりから!ということですね。
それでは、また次回のレポートをお待ち下さいね!
次回のレポートはこちら
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インフィニット酒スクール第5回目の講義レポートです。今回は醪(もろみ)の話!です。
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醪とは日本酒づくりにおけるお酒の状態の1つで、酒母完成から絞る前までを指します。酒母で酵母を培養した後、それを元にお酒を大幅に増やして醪を完成させるのです。いよいよお酒らしくなってきましたよ~。
この醪をつくる技術が、長い年月によって磨かれた技「三段仕込み」です。4日間で3回に分けて酒母に水・麹・蒸米を加えることにより、酒母の約20倍にお酒を成長させるのです。うーん、まさに水増し!(違います) この三段仕込みは日本酒の知恵そのものと言ってよく、アルコール度の低下と酸度の低下をギリギリ腐造しないレベルで止め、最適な発酵を実現します。よくもまぁこんなテクを磨いたものです。昔の日本人、すげぇ。
さて、僕ら消費者にとって醪の段階で需要なことは「つくり手は、醪状態の間になにやってもよい」ということ。いや、もちろんオレンジジュース入れるとかダメですよ?入れられるのは水・麹・蒸米それと醸造用アルコールに完成品である日本酒だけですが、かなり自由度があり、それがお酒の味を決めているのだそうです。
例えば最近増えてきた甘い日本酒、特に日本酒度がマイナスにになっているお酒は、麹を大量に投入しているはずです。最後の仕込みである3回目の仕込み(留添え)の際、麹をたくさん入れるのですね(もしくは4段仕込みにして、その時いっぱい投入する)。麹はデンプンを糖にバンバン変えていくので、酵母がアルコール発酵に使う以上の糖が醪の中に残ります。これで甘~い日本酒のできあがり!です。通常の発酵では日本酒度はー4ぐらいが限界なのだとか。それ以下のお酒には、こんなテクニックが使われているのですね~。
また、醸造用アルコールも重要。よく添付によりお酒の香味成分を引き出す・・・と言われるけど、むしろこれは加水であると覚えることが大切です。醸造用アルコールは日本酒に混ぜる前に30%に薄める必要があります。つまり70%は水!加水してるのと同じなのですね。日本酒は水を加えると酸味が目立ってきます。これがアル添のお酒特有の淡麗さにつながるわけですね。鑑評会などに出品されるお酒がほとんどアル添なのは、このすっきり感を使ってバランスの良いお酒を狙うためなのだそうです。
いかがでしたか?醪1つとっても日本酒の製造工程は奥深いです。お酒を飲む前につくり方を知ることができれば、その味をかなり正確に予測することができるでしょう。
◆◆◆
さて、今回のティスティングはこちら。僕の大好きな磯自慢がありますよぉ~。
①陸奥八仙 純米大吟醸 No.52 精米歩合40% アル度16% 日本酒度非公開 酸度非公開 酵母:まほろば吟・まほろば酸
②磯自慢 純米吟醸 大井川の恵み 精米歩合55% アル度15~16% 日本酒度+5 酸度1.2 酵母:NEW-5
③南部美人 本醸造 精米歩合60% アル度15~16% 日本酒度+5 酸度1.3 酵母:M310
④いずみ橋 秋とんぼ 山田錦 生もと純米 精米歩合80% アル度16% 日本酒度+14 酸度:1.7 酵母:7号系
①の陸奥八仙・純米大吟醸は白麹を使用したお酒。甘味もあるがドライな味です。滑らかさがあるところは、やはり大吟醸。白麹らしく、とにかく酸が強いです。香りはカプイソバランス型で、さすがと言いたいところですが、味の後半の苦味と酸味が邪魔。先生曰く「もうちょっと綺麗にした方がいいね」とのこと。
②の磯自慢は、静岡酵母のNEW-5を使用しているお酒。この酵母は酸をつくらないタイプで、香りはイソ系です。嗅いでみるとセメダインやロウ、畳の匂いなど、確かにといった感じ。極めて薄い香りなので、アル添を疑わせるというコメント。実際は加水のせいでしょうかね?味はコハク酸からくる苦味があり、これがNEW-5の特徴だとか。味はペラペラではなくサラサラな食中酒。さすが磯自慢です。
③の南部美人はM310という酵母を使用。これも酸を出さないタイプで、香りはカプイソ系のもの。しかし、このお酒はカプロンが出ていない!それは糖分が少ない(=日本酒度が高い)せいだとか。カプロン酸は生成されるのに糖が必要な香りで、日本酒度+5ぐらいだとアウト。+3ぐらいだとM310らしくなるそうです。味は苦味がありこれはコハク酸。酸度1.3なのに酸味が強く感じるのは、加水のせいだそうです。
④のいずみ橋は7号系酵母。7号は発酵が強いので、日本酒を辛口にしやすいそうです。このお酒はそれを活かしてかなりドライな仕上がり。酸味と苦味のコンビネーションが辛さにつながってます。それでもお酒に滑らかさがあるのが見事。ここまで極端な味だと、足りない味を足して食事とペアリングを完成させるのが良いそうです。肉料理などがおすすめだとか。
ちなみに先生が評価するお酒は、「滑らかさがあり甘旨さに対して、苦味がちょっと負けてること」だとのこと。滑らかさは特に重要で、これが日本酒の良さ、おいしいと感じるキモなのだそうです。滑らかさは主に熟成でつくられますが、廣戸川などは熟成なしで滑らかさをつくれる稀有な蔵だとか。同じく横山50も要注目だそうです。
◆◆◆
さて、第5回目の講義、いかがでしたでしょうか?日本酒のつくりは、聞けば聞くほど複雑で数多くのテクニックがあるのだなぁと関心します。これはやはり日本酒の特徴と言ってよく、日本酒の味を理解するには、まずつくりから!ということですね。
それでは、また次回のレポートをお待ち下さいね!
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