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味の傾向:
アルコールが酒に完全に溶けこんだ、10年超の完熟古酒原酒。見た目通り甘みと苦味があるが、この味の区別もあいまいになるほど味が融合している。濃厚系古酒のある種の完成形。全体のバランスも良いので、誰にでもおすすめだ。

おすすめシチュエーション:その芳醇さを楽しむには、常温か熱燗が良い。どの温度でも味は変わらないが、熱燗にするとアルコール感が増しアタックが強くなる感じ。とにかくお酒としてのレベルが高いので、食前や食後がいいかも。合わせる料理は、燻製やうな重など濃密濃厚系でいこう。

評価:85点/100点(スーパーな完成度。これぞ熟成の神秘だ)

注:今回のお酒は酒屋さんで独自熟成しているものなので、再現性がないです。ご注意ください。

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今回ご紹介するお酒は、当ブログ初の大阪銘柄、奥鹿(おくしか)の「山廃 山田錦五八 H17BY」でーす。呉春とかを差し置いて、しかも熟成酒専門ブランドを最初のお酒に選ぶこのブログ、もうちょっと空気読め!って声が聞こえてきそうだ。すみません、はい。

奥鹿は「秋鹿」という大阪のブランドの熟成銘柄で、ネットで調べると3年超のものを古酒として販売しているみたい。このお酒は平成18年に上槽(お酒を絞ること)されて平成21年に出荷されている。で、その後酒屋さんで売れ残り保管されていたものを買ってきたのがこのお酒だ。買った時は平成29年だったから、11年超の大古酒である!いやー、テンション上がるねー。これで4合2300円って、安すぎる。

お酒のスペックで気になるところは、アル度18~19%という原酒仕様と、山廃による酸度2.0という高酸度。奥鹿は山廃や生もとが多いみたいだから、高酸度が重要なんだろう。原酒というのは、聞くところによると熟成にはいい影響があるみたいだし、非常に期待大である。さっそくティスティングするぞ。温度は50℃前後の熱燗でいくぜ。


お酒の色は言うまでもなく濃い。でも、本当に濃い古酒に比べたら、まだまだ薄いかな。薄口しょうゆぐらいの色だ。香りは・・・あ~~~とろけるぅ~~~、こんな声が出ちゃうような焼き栗感あふれる甘い匂いだ!薬草感もあって、ちょっと養命酒ちっく。しかし、悪い感じはしないぞ。

ずずずっと飲んでみる。うふぇへへへへへへへ、極楽じゃ~~~~~~。すまん、取り乱した。しかし、そのぐらい最高なんだよぉ!!

基本的な味は、甘苦系の滑らかなタイプだ。しかし、これだけでは奥鹿・山廃山田錦五八の魅力は全然わからないぜ。その良さの秘密は、スーパーミラクルな味の融合だ!いや、すげぇ、ほんとすごい。甘みと苦味がありえないレベルで一体化してるんだよ。これこれ、これが熟成酒でしか味わえない味だ!

また、アルコール自体の溶け込み具合も驚き。これ18%以上のアル度だけど、まったく強さを感じさせない。15%の新酒でも体験できないような「アルコールと日本酒の合体」だ。普段飲んでる日本酒が、いかにアルコールと味が分離しているかがよくわかるぜ。

そしてフィニッシュの素晴らしさ!パァァァァッて酸味と苦味がアルコールにのって雲散霧消していくかのような、ストレスのない綺麗な余韻・・・うぎゃおおおおおおおお!これが僕の求めた理想の古酒だぜ!


はあはあ、興奮してしまった。いや~、ほんとよかった。僕の古酒初体験は達磨正宗なんだけど、あの時の衝撃が再び体験できた気がするね。古酒専門ブランドらしく、味が整っていて万人向けにできてる。まあ、日本酒の古酒が万人向けかという議論もあるけどね!

「奥鹿 山廃 山田錦五八 H17BY」、古酒初体験ならこの一杯、そう強くおすすめできる味だった。さすがに同一スペックを見つけるのは難しいと思うけど、ぜひ奥鹿の名前は覚えておいてほしいぞ。

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名称
:奥鹿 山廃 山田錦五八 H17BY(純米酒)
精米歩合:58%
酒米:山田錦100%
アルコール度:18~19%
日本酒度:+4
酸度:2.0 アミノ酸度1.3
蔵元情報:秋鹿酒造 有限会社
購入価格(税込):2300円ぐらい/720ml
購入日:平成29年12月2日
購入店酒の旭屋(神奈川県横浜市)




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