味の傾向:ヌメるような滑らかさが特徴的な、ピリピリと酸が立つ純米吟醸酒だ。モモのような甘さがあるが、フルーティというほど甘すぎず酸っぱすぎず、中庸な味が心地よい。食中で味が活きるので、いろいろな食事の組み合わせが想像できる、試行錯誤が楽しいお酒。
おすすめシチュエーション:全部冷酒で飲んだけど、ぬる燗も楽しいんじゃないかなーと思う。開栓したてのヌメりが最高の時は食前で、開けてから日数が経過した後はさまざまな食事とともに飲むのが良いだろう。食事は選ばないけど、個人的にはタレの焼き鳥とか推したい。
評価:70点/100点(日本酒として合格点。他にはない味をつくれているのがいい)
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今回は石川県のお酒をご紹介!僕にとって石川県といったら菊姫なのだが、最近良く聞くのがこの「奥能登の白菊(おくのとのしらぎく) 純米吟醸」である。老舗の酒屋から、新進気鋭のお店まで売ってるのを見て、もしかして要注目の蔵?と簡単に影響されて買ってしまったのだ。基本的にミーハーなんです、僕。
スペックで注目したいのは日本酒度ー4に酸度1.5というバランス。糖を多くして酸度高めにする設計は、最近良くみるけど、このお酒の酸度はぎりぎり適正レベルなので、いい感じほんのり甘そう。くわえて気になるのは10号酵母を使っているところ。wikipediaによると、10号酵母は酸を出さないらしいので、それで1.5というのは高い。なにか造りに工夫があるんじゃね?と興味津々だぜ。
さて、冷酒でそそいでみる。もちろんワイングラスやで~。香りは・・・ほほう、レモンサワー?いや、そこまで極端じゃないけど、黄色をイメージさせる香りだ。酸っぱさを演出する乳酸が出てて、酢酸イソアミルというバナナ系果物をイメージさせる香りがそんな印象をつくってるのかな。アルコールや青臭さの匂いはなく、すっきりとバランスがとれてる印象だ。いいね、上手だね。
飲んでみる。ヌルヌルのトロトロや~、とろろ芋かよ!と言いたくなる極上の滑らかさ。こりゃ~いい感じに熟成させてますねぇ。蔵元さんグッジョブ!この舌触りにモモ系の甘さがのっかると、じつ~に美味なのだっ。その甘さも控えめなので、よりヌメリの方が前に出てくる。僕のような甘み苦手派でもばっちり楽しめる!
そして注目の酸味なのだが、極めて特徴的。簡単に言うと「とげとげしい酸味」だ。シャープとかいうのではなく、本当にとげとげしいの。酸味だけ独立してウニのような針たくさんのとげのような形で存在しているような・・・。これ、恐らくかなり原酒に加水してるんじゃないかな?日本酒は加水すると甘味や苦味は薄くなるけど、酸味は変わらないので、相対的に酸が立つのだ。これは皆さんも手持ちの日本酒に水入れて飲むとわかるぞ(おちょこ一杯に水数滴ぐらい)。ぜひ試してみて欲しい。まさにあの感じだ。
へー、こういう味を理想としてるのかぁ。これ狙ってこういう味にしてるよね。能登の料理にはこういうのが合うのかな。僕個人としては苦手なお酒だ。どーにも鋭い酸味が杯を重ねるのを辛くするんで。でも、これは趣味の範囲で、これが好き、これがこの飯に合う!ってのはありだと思う。中庸な食中酒なので、幅広いペアリングが期待できるのもいい。扱う酒屋が増えてるのもわかるなぁ。
「奥能登の白菊 純米吟醸」、造りの良さはビンビンに感じる良酒だった。好みにずばりハマれば最高の酒。機会があったら飲んでみて欲しいぞ。
名称:奥能登の白菊 純米吟醸(H29BY 瓶燗火入れ)
精米歩合:55%
酒米:山田錦36% 五百万石64%
アルコール度:16%
日本酒度:ー4前後
酸度:1.5
蔵元情報:株式会社 白藤酒造店
酒米:山田錦36% 五百万石64%
アルコール度:16%
日本酒度:ー4前後
酸度:1.5
蔵元情報:株式会社 白藤酒造店
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