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味の傾向:
黒砂糖を思わせる、和風甘口テイスト満載の古典系日本酒。いまどきの日本酒度マイナスで表現する甘口酒ではなく、醸造用アルコールによる甘さを活かした、辛くて苦くて甘い!というお酒だ。なんというか60代以上推奨って感じがする。

おすすめシチュエーション:蔵元の推奨は常温から燗。しかし、甘さが減退する冷酒もなかなかいい。熱燗だと飛び切り燗などもおすすめ。完全な食中酒なので、味噌やみりんをたっぷり使ったベタな和食に合わせよう。もつ煮込み、牛丼、親子丼、ブリの照焼き、居酒屋メニューがぴったりだ。

評価:65点/100点(筋のいいお酒だが、あまりにも日本酒のトレンドから離れていて、勧めにくい)

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今回ご紹介するお酒は、奈良の梅乃宿酒造がつくる「山香(さんか) 本醸造」だ。お客さんの多くが飲食店という酒屋で、「これ熱燗に最高だよ!」とのご推薦に即購入した一品。居酒屋さんなどで定番のお酒らしく、なんと一升瓶で1750円(税込)。この普通酒ライクな価格設定に、僕の期待もうなぎ上りでさぁ!

このお酒、山風香というカテゴリーの商品の1つだ。「山香」が伝統系、「風香」が革新系(モダン系?)と別れた商品構成になっているみたい。公式HP(見やすい!)見ると十字チャートがあるんだけど、山香シリーズはどれも伝統に振り切った味らしくて、すっごくわかりやすい(笑)。しかし、本醸造とはいえ65%精米でこのお値段・・・そりゃあ居酒屋さんは嬉しいですよ。一番お手頃な熱燗酒として、メニューに載ってるのかな。


さて、いってみよう。まずは常温から。お、けっこう色がついてるねぇ。黄緑色、やや淡いっていったところか。香りは、色から想像できる通り香ばしい。う~ん、カラメルというより炒ったナッツかな?そこにふんわりアルコールの甘さが漂う。ふーむ、これ系ではうまくまとめてるじゃない。この蔵、あまりアル添のお酒つくってないけど、醸造用アルコールの使い方上手だな。

ごくりごくり。あっっっっまぁぁぁぁぁぁいいいいいいいい!!!ちょッ、甘すぎるだろ!えー、こうくるの!?驚きだよ!!

ぱっと飲んだ感じは灘酒のような甘辛型なんだけど、後味もがっつり甘いのでとにかく「甘い!」の印象が残る。いや、つくりは悪くないですよ?そういうタイプだと割り切って飲めば、アル度15%からくるバランスの良いアルコール感や、本醸造なのに純米酒かと思わせる自然な味の流れなど感心するところがいくつもある。しかし、この味は僕らの世代(20代~40代)には辛い。「みたらし団子の甘辛さを10倍にして、さらに黒糖をふりかけた」ような味だ!

ちなみに冷酒(5℃ぐらい)にすると甘さがぐっと減って飲みやすい。後味は苦味や酸味が程よく出ていい感じの食中酒に。熱燗は飛び切り燗(65℃ぐらい)が気持ち良い。酸味がカッと効いていて、苦味もあるけど許せるレベル。しかし、しかし、どちらも隠せない甘さがある。特に熱燗は冷めると即甘さが帰ってくるので、もー!って感じになる。熱燗機で煮続けたい!


勧めてくれた酒屋さん、悪気はまったくなかったと思うけど、これ僕らの大先輩レベルのお客さんが集う飲食店向きでしょ?淡麗辛口ブームを過ごした人達でも辛いっすよ、これ。やっぱり後味、キレの部分でも甘さがべったり残るとなかなか厳しい。流行りの甘口酒などは、酸度でうまく調整したり、微炭酸感でフォローしたりするけど、このお酒、そういう甘え許してくれないもんな。

「山香 本醸造」、素性のいいお酒だけど、正直皆さんに勧める理由がなかったお酒だ。日本酒って甘いものなんだな・・・と再認識できた一本である。

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名称
:山香 本醸造(H29BY 火入れ)
精米歩合:65%
酒米:山田錦&アケボノ
アルコール度:15%
日本酒度:+3.2
酸度:1.3
蔵元情報:梅乃宿酒造 株式会社(奈良県)
購入価格(税込):1750円/1800ml
購入日:平成29年1月17日
購入店青木萬吉商店(神奈川県川崎市)









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