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味の傾向:
ばっちり熟した旨みたっぷりの味が、高アルコールとギリギリ調和している穀物系生原酒。一年半の自宅開栓常温熟成を経ている。開けた時はこりゃだめだ!というぐらい刺々しい味だったが、夏を越えて冬を通過して、グッドコンディションに入ったようだ。まだまだ伸びる印象である。

おすすめシチュエーション:ぬる燗もいけそう!と思ったのだが、苦味出すぎてNG。常温が良いだろう。アル度が高いので、2杯目以降に食事と一緒に飲もう。料理は濃いもので。うな重、ラム肉の香草焼き、根菜のチーズ焼き、などなど。僕はカレーうどんが良かった。

評価:80点/100点(まさに日本酒の熟成をそのまま味わえるお酒。面白い)

注:今回のお酒は僕が自宅で熟成したものなので、再現性がないです。ご注意ください。

◆◆◆

さて、初めての自家熟成酒レポートだぜ!いや~、これやりたかったんだよね。3年前に古川修・著「世界一旨い日本酒」を読んで、常温開栓熟成なる世界があるのに驚愕して以降、地味に台所下に日本酒をいくつか放置してきました。ようやくレポートにできるぐらいの味ができたので、ここで満を持してご紹介するぜ!

お酒は、兵庫県の「奥播磨(おくはりま) 霜月 純米吟醸生酒 H27BY」である。フルボディの旨口系として有名な銘柄。兵庫だけど灘地区みたいな海側ではなく、ずっと山の方に蔵があるそうだ。このお酒は純米吟醸の生原酒で、日本酒度+9、酸度1.6、アル度17~18%、アミノ酸度1.8(おそらく)という、見るからにゴツいお酒である。

これを開栓したのは29年の2月なんだけど、その時はもー飲めたものじゃなかった!当時のメモを見ると「ううう、苦い!新酒っぽい!濃い!ちょっとこれは辛いわ~」と書いてある。発売時点でひやおろし的に熟成したお酒なのだけど、生原酒ゆえかまだまだ青い新酒っぽい感じがたくさん残っていて、キツかったんだよな~。一体何と一緒に飲めばいいんだよ!みたいな感じね。とても飲めなかったので、台所下に放置したのだ。瓶詰め時期が28年の11月なので、30年の4月で約1年半。さて、どう変化したのだろうか?


そそいでみる。まあ、そんなに時間は経っていないので、そこまで色は付いていない。香りは見事に整っている!うおー、嬉しい。雑さはない、ピシッと筋が通った穀物の匂いだ。上品な麦パンのような感じ・・・うむ、綺麗だ。この1年半で不要な香りが抜けたような印象だなぁ。

常温で飲んでみる。うぉふぇ~~(恍惚)。ナッツのコク、アーモンドの酸味、さつまいもの甘さが忽然となった、ザ・熟成酒だ!よくぞ、ここまで育った!なんか、涙出る(笑)。あんな、駄目だった我が子が、こんなに立派に・・・みたいな。

いやー、それにしてもスマートにまとまっている。酒屋さんの自家熟成とかでも、味がバラけてることはけっこうあるけど、これは蔵元熟成のような感じに味が整っている。後味がややアルコール感強くて、あーまだ若いなって感じだけど、もう2,3年置けばきっと良くなりそうだ。強いアルコール度のおかげで返り香(口の中で感じる香り)もブワッと膨らみ、実に気持ちがいい。こりゃ成功だ!


しかし、素人が適当に放置するだけでこんなに完成度高いお酒ができる奥播磨・・・もともとそれ系の人には人気の銘柄だけど、ここまで凄いとはねぇ。感動したわ。ただ、あの開栓当時の味は、本当に好む人いるのかなぁ?蔵元は、新酒が贔屓されすぎる今の日本酒シーンに対するアンチテーゼとしてつくった、ひと夏ごえのお酒と言っているけど、正直未完成だったぞ。まあ、いいお酒に育ったから許すけどね!

「奥播磨 霜月 純米吟醸生原酒 H27BY」、自宅での生熟成を十分に楽しませてくれたお酒だった。皆さんも飲めない!と思ったお酒は、とりあえず放置してみるといいかもしれないぜ。

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名称
:奥播磨 霜月 純米吟醸生原酒 H27BY
精米歩合:55%
酒米:福の花100% 酵母:協会9号系
アルコール度:17~18%
日本酒度:+9
酸度:1.6 アミノ酸度:1.8(おそらく)
蔵元情報:株式会社 下村酒造店(兵庫県)
購入価格(税込):1722円(たぶん)/720ml
購入日:平成29年1月3日
購入店伊勢元酒店(東京都荒川区)
こちらこちらのページの数値を参考にしています。






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