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味の傾向:無ろ過生原酒らしい弾けるようなフレッシュさとガスを楽しめる、手作り感あふれる純米吟醸酒。トロリ甘い口当たりに、後半のピリピリした刺激&明確な苦味のキレ。好きモノにはたまらない味だろう。

おすすめシチュエーション:きっちり冷やして、グラスの中で少しづつ温度上げて楽しむのがオツな感じ。香りが強すぎると感じたら、蛇の目のような器で飲もう。合わせる食事は不要と言っていい、お酒単独で楽しむお酒。肴を用意するならば、濃いめのスナックとかもいいかも。スコーンとかチートスとかカラムーチョとか。

評価:75点/100点(よくできているが、個性がほしい)

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皆さんゴールデンウィークですな!黄金週間!この期間にどれだけの美味しい酒が、「ゴールデンウィークだから~」という言い訳と共に開けられるか気になる神奈川建一です。貴重なお酒って、飲みタイミングがやたら難しいよね・・・。

さて、今回のお酒は彩の国・埼玉の「五十嵐(いがらし) 純米吟醸 無ろ過生原酒 直汲み H29BY」である。横浜関内にある酒クズ日本酒ファンの聖地・丸十酒店にてズラリと商品がそろっていたので、おー大プッシュなのかな?と思い購入。通常の商品は天覧山というらしくて、五十嵐はそれらをベースに、無ろ過生原酒オンリーのブランドとして誕生したそうだ。まだH29BYで2つくり目?らしくて、これからのブランドと言えそう。

お酒のスペックは、もちろん無ろ過生原酒でかつ直汲み(搾って即瓶詰めして出荷するお酒のこと)。この前飲んだ長野の佐久の花と同一のスペックである。アルコール度や精米歩合もほぼ同じということで、こりゃー比較がはかどりますね。さて、飲んでみようか。


そそいでみる。色はまあ、普通でしょうか。香りが問題だ。なんとプラスチックやゴムのようなケミカルな匂いがドバーッと出ている!こりゃ、ヤバイでしょ。居酒屋で出せるの?この香り自体は翌日から消えていき、数日経つといい感じにピーチのような甘い香りに整うだけど、開栓直後が楽しい直汲みのお酒でこの香りはなんとかしないといけないのでは。

飲んでみる。うはーっ、甘味どーん!うま味どーん!ピリピリ刺激ばーん!の無ろ過生原酒の見本のようなお酒だ。これは好きな人にはたまらないでしょう。ガス感も十分にあり、後半のキレも強い苦味が舌を刺激しつつ甘味をサッと流してくれる。濃い味なので、苦味もそう気にならないバランスですな。舌触りもザラザラしていて、酒粕の粒子をごくごく飲んでいる実感がわいて楽しい。

お酒的には早飲みのためのお酒なので、開けて数日好みのタイミングの時に飲むのがいいだろう。10日ほど経つと苦味と酸味が過剰になってバランスが悪くなる。このブランドは一升瓶が基本でこの4号瓶は珍しいそうなのだけど、一般客にはあまり売るつもりないのかなー。さすがに個人で一升は無理ゲーでしょうねぇ。


さて、前回の佐久の花・純米吟醸・手詰め直汲みと比べてみての感想だけど・・・ほとんど変わらねぇ!それぐらい似ている。まー、僕がこの手のお酒はあまり得意じゃないから、そこは割り引いて聞いて欲しいけど、自宅で別の日に飲む限りは印象はほぼいっしょだ。カプロン酸高生産性酵母を使って、同じ後処理(無ろ過生原酒直汲み)すると、個性を出すのは至難の技ですな。お酒の設計書が似通ってると、あっさり同じ味になる。日本酒の後処理が、いかに味に影響を与えるかの見本のような体験だったぜ(後処理に興味がある方は、こちらをどうぞ)。


「五十嵐 純米吟醸 無ろ過生原酒直汲み H29BY」。難易度高いのは承知で、明確な個性を出して欲しいと思ったお酒だった。無ろ過生原も競争相手が多いから、頑張って欲しいものである。

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名称
:五十嵐 無ろ過生原酒直汲み H29BY
精米歩合:55%
酒米:麹:吟ぎんが 掛:美山錦
アルコール度:17%
日本酒度:+3
酸度:1.4
蔵元情報:五十嵐酒造 株式会社(埼玉県
購入価格(税込):1620/720ml
購入日:平成30年3月8日
購入店丸十酒店(神奈川県横浜市)






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