こんにちわー。お酒ミライの神奈川建一です。
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先日、ホテルウィングインターナショナルプレミアム東京四谷で開催された、インフニット酒スクール主催の「若手蔵元トークバトル2018」に参加してきたので、レポートしたいと思いますっ。

このイベントは今回で3回目、「仙禽」の薄井一樹さん、「新政」の佐藤祐輔さんがメインとなりつつ、毎回ゲストを迎えるガチンコ本音トーク会です。今回は「而今」の大西唯克さんを招いて開催されました。なんて豪華な!この記事を読んでる皆さんも大好きな蔵元さんばかりではないでしょうか?

ホテルなので参加者の皆さんはパリッとした格好をされて来場していましたね。蔵元のお三方もリラックス感ありつつもフォーマルなスタイル。特に新政の佐藤社長はベストとシャツというこなれた着こなし。この方はいつでもカッコいいですよね・・・。


当日は全ての蔵が皆造(かいぞう その年の酒造りが全部終了すること)したとのことで、皆さん気分良くトークに参加できたとのこと。1つでも未完成のお酒が残ってると、やはり蔵元としては安心できないんでしょうね。お疲れさまです!


◆お酒のバリエーションについて
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最初は
大西唯克さん(以下、大西さん)が、生もと造りを新しく始めたことから話がスタート。H29BYから始めた「高砂」という而今とは別のブランドで発売するそうです(当日参加者にも振る舞われました)。1本目は失敗して畑に埋めたそうです(笑)。

大西さんいわく、同じものをつくり続けると、無駄な味雑な味を削ぎをとしていくだけの酒づくりになってしまう。先鋭化して柔軟性のない蔵になってしまうだろうと。1つの蔵のお酒だけで、食事のペアリングできるようになりたいから、新しいチャレンジを始めたのだそうです。

自分の蔵のバリエーションについて話を向けられると、佐藤祐輔さん(以下、佐藤さん)はあまり意識してないなぁとのこと(えー!?)。No.6は生酒、カラーズは火入れ、ぐらいの区分けで、味を意図的に準備して揃えてないとのこと。そうだったんだ・・・。

薄井一樹さん(以下、薄井さん)は、自分は1つの蔵で全アイテム揃える必要はないと考えてる、とコメント。これだけ蔵元がたくさんあるのだから、それぞれの味を市場に提供していけばいいじゃないかと。理想は1つの蔵に1つの商品。ラーメンの味と一緒ですよ、だそうです。この話聞いた時、僕は剣菱を思い出しましたね~。

◆日本酒のコンペについて
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仙禽の「醸」が、SAKE COMPETITION 2018でスーパープレミアム部門で1位を取ったことの話から、日本酒のコンペ、鑑評会についての話題へ。


薄井さんは、世の中コンペはたくさんあって、いいのも悪いのもいっぱいある。自分としてはブラインドティスティングじゃなければその時点で意味ないよね、とのコメント。またコンペで賞取ると、蔵人がすっごく喜ぶのだそうです。蔵人のためにコンペに参加しているという考えがあるとのこと。また全国新酒鑑評会については懐疑的な意見も述べてました。金賞連続受賞してても、市販酒まずくて潰れそうな蔵がいくつもあるんですよ!と。なるほど(笑)。

大西さんは、参加しているのは全国新酒鑑評会のみだそうです。コンペは多すぎる、過剰状態で必要ないものも多いのではないかとのこと。○○で金賞受賞!みたいなのは確かにアピール力あるかもしれないけど、そういう売り文句に酒屋が頼っちゃうことが心配。酒屋の売る力低下につながるのでは。でも、無名蔵や若手が世の中に出ていくには、コンペは大いに役立つと考えてるそうです。

佐藤さんも、コンペは全国新酒鑑評会だけ出品するそうです。これは純粋な技術力コンペティションだから、例えば6号酵母で金賞を取れば業界的にアピールになる意義がある。ただ、多数決だし、市販酒じゃないしと、消費者には意味がないものだと思うとのこと。コンペは味のみの競技だけど、お酒には味以外の背景、ストーリーがある。それを考慮しないのは意味ないのでないか?とのことです。

◆昔と今のお酒の味について
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デビューしてからそれなりの年数が経ったこの3蔵。昔の味と今の味について、なにか思うことはありますかとの質問に対して。


大西さんは、昔のほうが良い味だったとは言われることがある。正直、偶然できたお酒もあったそうです。今は味が落ち着いてきているのでは?と言われることがあるけど、自分もそう思う。まずは自分がおいしいと思うお酒をつくりたいとのことです。

佐藤さんも、昔の味が良かったと言われるのだそうです。確かに昔はアルコール度が16%後半だったり、構造がしっかりしていて濃いお酒だったと思う。若い人、若い頃は、甘く濃くつくりがちなんだと思う。今は飲んですぐ好きになるお酒じゃなくて、複雑でわかりにくい、でも奥深いお酒がいい。そのために全部木桶仕込みにする投資を行なっているところだそうです(5,6年で完成するかも?とのこと。楽しみですね!)

薄井さんは、ちなみに木桶はうちが先に始めたからねと佐藤さんを牽制しつつ(笑)、うちも前のほうが良かったと言われる。けど、当時の状況(日本酒の市場におけるバリエーション)と今は違うから、同じ味をつくってもしょうがないだろうと。同じお酒だとしても、同じレシピを使ったりはしない。毎年、毎ロットどんどん変えていっているのだそうです。

ここの話は面白かったですね。佐藤さんの「ミュージシャンもファーストアルバムが一番良かったって言われ続けるんですよ」という話とかも。難しさが価値になるというのはワインの世界でもそうだと思うのですが、果たして日本酒ではどうなのか?提供する側はもっと勉強する必要が出てきそうです。そして市場はどういう評価をするのか。興味深いですね。

◆お酒の流通について

お次はお酒の流通について。昔ながらの酒屋さんとAmazonに代表されるEコマースについて。僕もこれには特に興味があるので、楽しんで拝聴しました。

大西さんは、今は専門店にのみ卸している。バーコードも付けてないそうです。やっぱり専門知識がある人が、ちゃんと語って売って欲しいとのこと。でも、自分が好きなカメラはAmazonで買ってしまう。今後は大きいところばかりが残っちゃうのかな。

佐藤さんは、新政もネットはあまり推奨していない。ネットでカートに入れられてもなぁ。やはり話をして売ってほしい。地酒屋に頑張ってほしい。新政は、ある県の1つの酒屋にだけ販売権を与えて、商圏というのを考えてる。ネットになると商圏も関係なくなるし、最終的にAmazonに食われてしまうだろう。

薄井さんは、お2人の話はわかるけど、90年代に無ろ過生原酒が広まったのはヤマトのクール便のおかげ。流通は時代の流れだから、メーカーにできることは限られてるのではないか。

対して大西さん、やはり販売はお酒を表現できる酒屋さんに任せたい。僕らは本音はお酒だけつくっていたいのです。その手助けをしてくれる販売者はとてもありがたい。ちゃんと蔵にきてくれて、人付き合いを含めてお酒を理解しようとしてくれる酒屋さんは嬉しい。

続けて佐藤さんは、とても同意、酒屋さんを通して顧客の顔が見える、誰が飲むかがわかることが大切だと。顧客がわかればチャレンジもしやすくなる。流通も酒づくりの一部。うちの酒は誰にでも向いてるわけじゃないからね。

大西さん、万人に向けてつくれないから、絞ることもやはり大切だと。

薄井さんは、流通はより大切になった。昔ははせがわ酒店まで流れればそこまでで良かったけど、今はその先の飲食店まで見ていかないといけないのでは。

皆さん正しい価値の伝達のために流通の大切さを切実に感じているようですね。でも、薄井さんがおっしゃるように時代の流れもあるのは事実。まだまだ日本酒の流通は変化していくのでしょう。

◆H30BYに向けて

1時間ほどのトークショーも終盤。最後に次のシーズンのお酒づくりについて、皆さんが語ってくれました。

まず佐藤さん、木桶が21本となるそうです。これによりラピスも木桶化。麹づくりを箱麹から蓋麹に変更して、より繊細な麹づくりを目指すとのこと。これは昔新政でやってたことなのですが、今では佐藤さんしかできないので、H30BYは自ら作業するそうです(!)。お米を空気圧で移動させるエアシューターも廃止したので、よりコントロールされたモダンなお酒がつくれるとのことです。

大西さんは、「高砂」銘柄でどんどんチャレンジしていくとのこと。生もとをやったが、次はスパークリングをやりたいのだそうです。もうパストライザー(熱湯で瓶のまま火入れする機械)も導入済みだそうです。木屋正酒造の火入れのレベルが上がりそうですね!

薄井さんは、木桶は2つ買うそうです。これによりクラシック仙禽は木桶+生もととなり、モダン仙禽とより明確な味の違いが表現できるだろうとのこと。木桶導入による手間の増加のためか、H30BYは生産量が15%低下するそうです。どこまでも進化し続ける意気込みですね。


いやー、まだまだ進化を続ける3蔵元、ファンの皆さんも次のお酒が楽しみで仕方がないのではないでしょうか?大西さん、佐藤さん、薄井さん、とても楽しいトークショー、ありがとうございました!

◆蔵元も参加する利き酒大会!
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その後、インフィニット酒スクールの受講生を中心とした利き酒大会の部に移ります。これはブラインドで5種類のお酒を利き、火入れ回数やアルコール度、精米歩合や酵母名を当てるという企画。予選が行われ、第3部の交流会にて決勝がおこなわれるのですが、決勝には蔵元の3人もエントリーするのです。

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まあ、余興なんですが、蔵元のみなさんのこの渋い顔(笑)!つくるプロとはいえティスティングで当てるのは難しいのです。佐藤さんは「10号酵母のお酒当てろとか、無理でしょ?」と苦言をコメントしてました。後日主催者である菅田先生が言ってましたが、彼らはいいお酒つくる訓練はたくさんしてるけど、お酒を飲む訓練はしてないから当てられないのだそうです。興味がある人はぜひスクールに通うといいですよ!(僕の初級体験記はこちらから


交流会では各蔵のお酒がこれでもかと提供されました。これ以上ないってぐらいの宴でしょう!ありがとうございました!

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薄井さんによる乾杯の音頭。

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トークショーに出てきた高砂の生もと(黒いラベルの方です)。ぐっとスッキリですね~。

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約3年ぶりに飲んだ新政の天蛙。しかもオーク樽仕様!

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あのNo.6 A-typeもありましたよー。

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而今の吉川&東条飲み比べ。贅沢っしょ!

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仙禽の生もと、ナチュール・サンクです。これ、家で飲んでみたいんだよなぁ。

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なんと各蔵元のお酒でつくった洋菓子が提供されました!なんと豪華な!

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ずらりと並ぶ仙禽のお酒達。あの醸もありましたよ~。

以上、神奈川建一のレポートでした。当日参加された蔵元の皆様、実行委員会の皆様、ありがとうございました!ここまでお読みいただいた皆さんも、ありがとうございます!








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