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味の傾向:
香りから味までアルコール感がズドーンとくるクラシック系日本酒。このお酒は甘さ控えめの超辛口でつくられているので、アルコールの苦味が強く出ている。そのため好き嫌いが出るが、好みに合うなら見事なハイコスパを楽しめるだろう。

お酒の特徴:酒税法改正前から存在することを示す「無鑑査」の名称、他に辛口と甘口が存在、量販店で簡単に買えるお手軽酒、熱燗もおすすめ、苦味はお酒の基本の味

僕の評価:70点/100点(苦味さえクリアできれば良い酒。人は選ぶ)

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はい、今日は久しぶりのスーパー酒(スーパーで買えるお酒の意)をご紹介します。今回のお酒は「一ノ蔵(いちのくら) 無鑑査本醸造 超辛口」となります~。この幾何学的な蔵元のロゴマークが素敵なんですわ!こちらは超辛口ということで、ラベルも男らしく真っ黒デザイン。もー、女子供は近づくなとでも言いたそうな見た目です。歴史あるお酒なのですが、今で言うところのストロングゼロ・ドライみたいな商品だったんでしょうね。

実はこのレビューのために、同じお酒を2回購入しました。しかも2回目には比較のために一ノ蔵・無鑑査本醸造・辛口も用意したり。このお酒はなかなか味を捉えるのが難しく、苦労してしまいましたよ~。最初の1回目はあっという間に飲んでしまい、なにがなんだかわからなかったんですよね。おいしいのか、そうでないのかすらわからないというダメっぷりに愕然としてリベンジしました。いいレビューをお届けできればよいのですが。

お酒の特徴としては、一ノ蔵が長く販売するアル添の本醸造でして、量販店で4合900円ぐらいで買えるお酒です。バリエーションが「甘口、辛口、超辛口」の3種類あり、それぞれの日本酒度は「-5~-3、+4~+6、+9~+10」となってます。アルコール度は全部共通で15%ですね。めっちゃ分かりやすい商品構成!いいですね~。前回の辛口は冷酒と熱燗で良いバランスを見せつける良酒でしたが、この超辛口はどうでしょうか?

◆甘さ極小!それゆえの苦味大盛り感

味は「一切アルコール感を隠さないエタノール満載のお酒。でもちゃんとお酒として成立しているさすがの完成度」というもの。日本酒度+10らしく甘みはほんの少しでしたね。それでいてアルコール感はそのままなので、味の後半に苦味が目立つこと目立つこと!これが「辛口」の場合は適度に甘みとうま味があって、特に食中で上手に食事に混ざってくれるんで気持ちいいんですが、この「超辛口」そんなヌルいことしてくれないので、ひたすら硬派な味です!(ちょっとはしてくれるんですが)

ただ、安物のパック酒などと違うのは、そのアルコール感がありつつもうま味を塗りつぶすようなことにはなっていないので、しっかり日本酒しています。本醸造ですが、醸造用アルコールは少なめなんでしょうね。

しかし、このお酒は人を選びますよ。主流の地酒日本酒とは印象がまるで違いますね。最近の日本酒がアルコール感(甘味と苦味と刺激)を丁寧に隠していることがよ~くわかります。きっと昭和50年ぐらいはこういう味が普通だったのではないでしょうか。なので、初めて飲むとびっくりするかもしれませんが、慣れてくると素朴な和食と相性が良いのが確認できます。コロッケ、いかの姿焼、お好み焼き、ソースが似合う料理がおいしそうな予感です。

ちなみに特徴的な香り(酸味とマジックインキの匂い)から炭素ろ過が行われていることがわかりますが、同様に炭素ろ過している八海山などの新潟系淡麗辛口と比べても強烈な苦味でしたね~。逆に言えば八海山は、うまく平成のお酒にリニューアルしてるんじゃないかなと感じました。

◆昭和のお酒、平成のお酒

飲んでみて、昭和のお酒だなと強く感じました。昔はこんな味だったんだって納得です。アルコールなんだから苦いの当たり前だろ!って感じだったんでしょうね。昔の20歳はお酒に慣れるまで時間かかったんだろうなぁ。コーヒーに慣れるために回数こなす時にミルク入れられないようなもんですよ。きっついな!今なら氷結とかストロングゼロとか、アルコール感ないアルコール飲料がたくさんありますから、いい世の中になったもんです。最近の日本酒も、まさにこれですね。

氷結といえば、似たような缶チューハイでハイリキレモンという古いお酒があるのですが、これが飲んでみると凄くアルコールの苦味と刺激があるんですよ。ああ、これが昭和かー!と膝を叩いて理解しました。日本のお酒は、50年ほどかけてどんどんアルコール感を排除していく方向で進化しているのかもしれませんね。

「一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口」、完璧に昭和酒、でもそこがいいという日本酒でした。一杯目でマズい!って思っても、ちょっと頑張って飲んでみてください。タイムスリップできるかもしれませんよ!

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名称
:一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口(H29BY 火入れ)
精米歩合:65%
酒米:不明
酵母:不明
アルコール度:15%
日本酒度:+9~+10
酸度:不明
アミノ酸度:不明
蔵元情報:株式会社 一ノ蔵(宮城県)
購入価格(税込):900円ぐらい/720ml
購入日:平成30年9月10日
購入店:近所のスーパー








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