こんにちわ~、お酒ミライの神奈川建一です。今回も受講してきたインフィニット酒スクールのレポートをお送りしますよッ。


この回のテーマは「日本酒をどうやって理解するか」について。いきなり核心的なテーマきた!実際スクールにおいて前提となる考え方なので、とっくり書かせていただきます。

先生が授業で何度も繰り返し教えてくれるのが「その味、その香りの原因を知らないといけない」ということです。

世の中には色々な方法で日本酒を理解し、表現しようとする試みがあります。味わいの4タイプ分類、ポジショニングMAPなど、皆さんもどこかで聞いたり、学んだことがあるかもしれません。

これらは多大な努力の末メソッドとして理論化されたものであり、素晴らしい成果ですが大きな問題点があります。それは、「味、香りが生まれる原因」について全く語っていないことです。お酒の発酵経路を知らないと、いくら味わいの表現方法を学んでも正しい理解に繋がらないのです。

例えば、独特の甘いフルーティさを生むカプロン酸エチルがよく香る甘口のお酒があったとします。このお酒、甘口だから熟れたリンゴを思わせる香りがするのでしょうか?

正解は「カプロン酸エチルを生産するために糖分が大量に必要なため、結果として甘口になっている」です。カプロン酸エチルは専用の酵母に糖分を与えることで生まれます。生半可な糖度では生産されないので、出来上がる酒もお甘口となるのですね。先生はよく「香りと味は分けて考える」と教えてくれます。

この醸造の仕組みを知らないと、甘いお酒はカプロン酸エチルが香ると間違って覚えてしまいます。カプロン酸エチルを産まない酵母を使えば、甘くてもカプロン酸エチルの出ないお酒はいくらでもつくれるのです。

発酵の原因と結果を押さえることにより、香り、味、色、などを相互に関連して理解することができ、最終的にはお酒を味わうだけで、そのスペックを逆算することができるようになります。それがこのスクールで教えられている理論なのですね。僕は個人的に「味わいのリバースエンジニアリング」と呼んでます。

お酒に色がついているのはなぜか、泡がついているのはなぜか、炭素ろ過するとどの匂いが消えるのか、カプロン酸を過剰に生産すると低アルコール醪になるのはなぜか、etc…お酒の味の原因を知ることで、実にいろいろなことがわかるようになります。

皆さんもお酒を勉強する時は、どうしてこの味わいになるのか?その理由は?という疑問を持ちながら学ぶといいのではないでしょうか。きっと日本酒の奥深さ知ることができますよ。


さて、今回のティスティングです。
DZDjxqIUMAAK5z5



①「獺祭 純米大吟醸 三割九分」
精米歩合 39%
アルコール度 16%
日本酒度 +6
酸度 1.1
アミノ酸度 非公開
酵母 9号系

②「不動 吊るし絞り 無ろ過生原酒」
精米歩合 50%
アルコール度 17%
日本酒度 +1
酸度 1.5
アミノ酸度 1.4
酵母 1801

③「黒龍 垂れ口 純米吟醸 生」
精米歩合 55%
アルコール度 17%
日本酒度 +4
酸度 1.4
アミノ酸度 1.4
酵母 自社

④「田酒 特別純米」
精米歩合 55%
アルコール度 16%
日本酒度 +3
酸度 1.5
アミノ酸度 非公開
酵母 9号



以下先生のコメントです。

①の獺祭はお酒の色が薄い。これはエキスが少ない証拠。アミノ酸も少なく、アミノ酸度は1ないだろう(0.8~0.9ぐらい)。9号酵母を使いカプもイソも出ているが、イソがあまり感じないのはアミノ酸が少ないせいで酢酸イソアミルが生産されてないためである。このお酒の弱点は甘さ旨さが少ないところ。アミノ酸度が低く日本酒度が高すぎる。物足りない薄い味のお酒になっている。アミノ酸度は1.1、日本酒度は+3ぐらいでいいはず。

②の不動は、1年半熟成した純米大吟醸。そのせいでカプロン酸をたくさん生産する1801酵母を使っているが香りはない。余ったから生熟したの?的な商品。設計図どおりつくられたお酒じゃないだろう。アミノ酸度がとても高いので、熟成によりスルフィドという硫黄臭を出す成分が生まれてきている。

③の黒龍は、しぼりたての生酒。新酒なのに色がついてるのはエキス分が多いということ。つまりアミノ酸が多い。新酒かつ17%という高アルコール度なのに滑らかなのは、甘旨のバランスがよいから。苦みもあるが、アルコールとアミノ酸の苦みなので、唾液で流れていく。コハク酸の苦みはこうはいかない。

④の田酒は、9号酵母を使っていてアルコール度も16%あるが香りがない。吟醸造りをしていない証拠。食中酒として設計されてることが香りからわかる。味もアルコール度から考えられるほど刺激がない。これは熟成による滑らかさの影響。繊細な料理には合わないが、煮付けなどのちょっと濃い料理とベストマッチだろう。


ざっとこんな感じです。
いかがでしょうか、これが香味の原因を理解しながらお酒を分析するという実例です。初級なのでほんの触りですが、お酒の見た目すらヒントになるなんて知ると、めちゃくちゃワクワクしませんか?

今回はここまでです。僕もガンガン学んで、このブログの記事のレベルアップを図りたいと思います!

それでは、また次のレポートでお会いしましょう~。




Twitterやってます。お気軽にフォロミー!
神奈川建一(@KanagawaKenichi) 

お酒ミライのFacebookページはこちら。いいね、もらえると喜びます!

Instagram始めました
神奈川建一