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こんにちは、お酒ミライの神奈川建一です。全12回、1年間通わせていただいたインフィニット酒スクール日本酒初級講座もついに最終回です。

前回のレポートはこちら

いやー、我ながらよく続いたものです。自分でも驚きですね。それだけ菅田ゆう先生の講義が楽しかったということだと思います。

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1年間勉強して強く感じたことは、「お酒の勉強はティスティングを同時に学ばないと絶対ダメ」ということです。日本酒に限らず、お酒に興味を持つと深く知りたくて書籍を買う方も多いかと思いますが、残念ながら本では本当の意味で学ぶことはできません(初歩は学べると思いますが)。

なぜなら、お酒の香味と用語が僕らの脳内で結びついていないからです。日本酒の場合だと、「甘み」と感じる味のうち、どの甘みがグルコース(ストレートな糖分の甘さ)で、どの甘みがアルコール由来のものなのか。「苦み」と感じる味のうち、どの苦みがコハク酸(燗上がりする酸)で、どの苦みがソトロン(熟成成分)なのか。以上のようなことは、繰り返し飲んでトレーニングし、身体感覚として覚えるしかないのです。

ティスティングなしで勉強することは、音楽で例えるなら「どの音にドレミファソラシドが対応するか知らないままで楽譜を読む」ようなものです。音楽に関しては、小学校で感覚を叩き込まれますから大丈夫ですが、お酒はそうはいきませんよね。なので味覚・嗅覚のトレーニングが必要なのです。

そして、一度基本の感覚をつかめれば、本などの情報から多くのことを学ぶことができます。日本酒のデータとされる「日本酒度、酸度、アミノ酸度、アルコール度」から、お酒の味を明確に想像することもできるでしょう。基礎が固まることで一気に知識が広がります。これぞお酒を勉強する醍醐味ですね。

もし皆さんが日本酒(だけでなく、他のお酒も)をもっと知りたいなと思ったのなら、ぜひティスティング中心の教室やワークショップに行ってみてください。もちろん僕はインフィニット酒スクールを推薦しますが、全国にいろいろな良い授業があるはずです。見つけられたのなら、考えるよりまず参加!案ずるより産むがやすしの精神でチャレンジしてみてください。

日本酒、楽しいですよ!

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さて、初級講座最後のティスティングです。今回は通常より多い6つのお酒をやりますよ~。
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①風の森 ALPHAタイプ1 生
精米歩合 65%
アルコール度 14%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
酵母 協会7号

②紀土 無量山 純米吟醸
精米歩合 50%
アルコール度 15.5%
日本酒度 +2.5
酸度 1.6
アミノ酸度 0.7
酵母 K901(協会9号)

③飛露喜 吟醸
精米歩合 麹米50% 掛米55%
アルコール度 16%
日本酒度 +2
酸度 1.7
アミノ酸度 不明
酵母 自社酵母

④而今 純米吟醸 雄町 無ろ過生
精米歩合 50%
アルコール度 16.2%
日本酒度 -1
酸度 1.6
アミノ酸度 1.4
酵母 9号系

⑤手取川 山廃純米 無ろ過生原酒 特別瓶詰
精米歩合 60%
アルコール度 16%
日本酒度 -1
酸度 1.8
アミノ酸度 2.1
酵母 自社K-14(14号系)

⑥菊鷹 ハミングバード 無ろ過生
精米歩合 麹米60% 掛米70%
アルコール度 16%
日本酒度 ±0
酸度 3.0
アミノ酸度 1.5
酵母 K-14(協会14号)



以下、先生のコメントです。

①の風の森は、日本では非常に珍しい超硬水でお酒をつくるメーカー。過剰なミネラルを発酵力の強い協会7号酵母で抑え込む仕込みをする。味の後半に苦味があるが、これはアルコールではなく水の苦みである。このお酒はアルコール度14%で、普通の蔵元ならもっとジュースっぽくなるが、硬水由来の苦みが味に厚みを形成し独特のうまさにつながっている。

②の紀土・無量山は、今までの紀土とは違うスタイルのお酒。最近発売された。近年よく出てきているスタイルで、甘酸っぱくて軽いお酒。このお酒は水が多くてアミノ酸度が低い。そのため甘旨が出ず結果として酸苦が出てしまう。食事の邪魔をするタイプのお酒なので、食中では辛い。

③の飛露喜は香りの濃度が低く、でもアルコール感は感じられる。これは醸造用アルコール添加の証拠。先生の予想では酵母はF701(うつくしま夢酵母)。アル添と加水によりお酒のエキス分が薄まっているので、味の後半にポンッと酸み・苦み・渋み・刺激が浮かび上がる。しかし②と異なり食中でもとても美味いお酒である。

④の而今は、アミノ酸度をしっかり出していく蔵元として有名だ。このお酒が凄いのは、強いアミノ酸で味の後半の酸味苦味をマスキングしてしまっているところ。そのため甘さ旨さが最後まで続きなんとも言えない余韻をつくっている。コハク酸(舌にべったりと残る苦味の原因)を多く出す9号酵母を使いながら、コハク酸が少ないのが素晴らしい。

⑤の手取川はできたての無ろ過生原酒。飲んでみるとトロトロ感が凄い。フレッシュなのに滑らかなのは、高いアミノ酸度のおかげ。麹をしっかり考えてつくり、アルコール度16%で発酵を止めているがゆえの高アミノ酸度である。

⑥の菊鷹は強烈な酸度で有名な商品。しかし、飲んでみると意外と酸っぱくない。まろやかでキレが柔らかい。これは甘旨が酸をしっかりマスキングしているため。このため酸っぱいながら飲みやすさを両立しており、独特の味わいを形成している。ちなみに⑤と⑥は14号酵母系で、酸を出さないのが特徴と言われているが酸度が高い。お酒の味は酵母でなく作り方が決めているという好例だ。

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以上、初級コース最後のティスティングでした!僕的には而今、飛露喜のおいしさ、唯一無二性に感心ですね。やっぱり名のあるところは他と違う何かがあります。

全12回、お付き合いありがとうございました。次回からは中級コースのレポートとなります。ぜひまた読みにきてくださいね!

それでは!


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