八海山「越後で候　青ラベル」生原酒なのにとんでもなく飲みやすいデンジャラス・ＳＡＫＥ！ : 神奈川健一のお酒ブログ

味の傾向：冬季限定のアル添・生原酒。１９％というアルコールの高さを感じさせない端正な味に驚く。いかにも新潟らしい辛口だが、甘みの滑らかさ、苦味の抑え方が素晴らしく、食中でも違和感ない。さすが八海山だ。

僕の評価：８５点/１００点（新潟には八海山がある、そのありがたさを噛みしめる逸品）

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さてさて、また今年の新酒紹介に戻ります。今回は冬になれば風物詩のように居酒屋や地酒屋に並ぶお酒、「八海山（はっかいさん）　しぼりたて原酒　越後で候　青ラベル　Ｈ３０ＢＹ」のご紹介です。この特徴的なラベル、どこかで見たことあるでしょう？「越後で候」は「えちごでそうろう」と読みます。

淡麗辛口系日本酒では〆張鶴、久保田と並んで大人気な八海山が出す、１０月～３月限定の季節商品ですね。もう１種類「赤ラベル」と呼ばれる商品がありますがそちらは純米吟醸でして、この「青ラベル」はアル添のお酒です。一応本醸造なのかな？お値段が４合１２３１円（税込）という、と～ってもお買い得な商品でして、毎年楽しみにされている方も多いでしょう。

八海山というと地酒マニアからはどうにもスルーされがちなお酒ですが、僕はかなり期待しています。お酒の質も凄いですが、なにより売り方が丁寧で誠実なのがよいです。新商品の開発も市場ニーズをくみ取ったものを出してきますし、定価販売の販路を地道に広げているのもいい！ビックカメラで八海山が豊富に買えるのは実にありがたいですね～。

八海山はお酒のスペック公開までも熱心で、公式ＨＰに丁寧に記載されています。どこまでスキがないんだ！この越後で候・青ラベルは「生原酒、アルコール度１９％、日本酒度＋４、酸度１．３、アミノ酸度１．４、精米歩合６０％、酵母・協会７０１＆Ｍ３１０」となっております。

目立つのは、高いアルコール度とアミノ酸度ですね。アルコール度が高いのは新潟だから諦めるとして（笑）、アミノ酸度１．４はかなり高い方です。生原酒は強いフレッシュさを楽しむお酒ですが、刺々しさ、荒々しさが副産物として出てしまいます。そこをうま味であるアミノ酸度でカバーする設計を感じさせますね。さあ、どうでしょうか？

◆なにこの滑らかさ・・・！？

味は「アルコール度１９％とは思えない飲みやすさに驚く、キンキンに冷やしてゴクゴクいけちゃう系日本酒」でした。す、すっげ！なんだこりゃぁ！

上に書いた通り、こんだけアルコール度高いのに、飲みづらさというものがまるでないんですね。滑らか～なまろ味がアルコールと生酒の刺激を綺麗に吸収しちゃってる。口当たりのアルコールの甘さも綺麗、キレの苦さも適度に〆ている。なんて飲みやすいんでしょ、危険すぎるぅ！

そして味全体のすっきり感！無駄な味がないというか、鍛えぬかれた細マッチョのようなボディです。これは炭素ろ過の成果だと思いますが、これも飲みやすさに大いに貢献してます。つか、技術力高すぎっしょ。なんとアルコール度１９％なのに、食中いけちゃうんです。もう、わけがわかりませんね！

香りは炭素ろ過特有のアルコールメインのタイプですが、ここに生酒らしい青っぽい若草の感じが混じってメンソールのようです。これがまた涼し気なんですわ。真冬で涼しげってのもどうよ？という感じですが、体が暖まる料理のアクセントとしてはいい仕事してくれるんですよ。味噌がたっぷり入った季節料理とか良いでしょうねぇ。魚の味噌煮込みとか、くぅ、食いてぇ！

◆改めて八海山の凄さを知る

いやー、八海山ヤバイ、まじヤバイ、そんな感想を感じる一本でした。いろいろ地酒飲んでるからこそ、レベルの高さが分かるという感じですね。こういうセリフが吐けるぐらいには舌が育ってきたのかなぁと、自画自賛しております（笑）。

フールティな華やかさや、糖分の乗った強い甘さ、刺激的な酸味などで勝負しているお酒ではないので、そこを日本酒の原酒に求める方には向かないと思います。研磨したような美しいアルコール感、食中でいい役割を演じる辛口のうま味、そういうところに興味がある方はぜひ飲んでみてください。こんなにハイレベルなの！？と驚くこと請け合いですよ。

最近飲んだお酒では、飛露喜・特別純米無ろ過生原酒と好対照でしたね。どちらもアルコール度の高い原酒ですが、いろんな味を詰め込んで楽しませてくれる飛露喜と、無駄を削ぎ落としてお酒としての存在感を丁寧に消している八海山、いやぁ、どっちも最高ですね。皆さんはどちらがお好みでしょうか？

「八海山　しぼりたて原酒　越後で候　青ラベル　Ｈ３０ＢＹ」、脇役系生原酒として出色のデキ。ぜひ一度自宅で試されるのをおすすめします！