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味の傾向:
うま味が少なめでアルコール度15%という食中酒に適した度数の純米酒。甘さも控えめなのだが、酸味と苦味、特に後者が目立ちすぎるのが痛い。香りはいいので残念だ。

僕の評価:55点/100点(アミノ酸度低い日本酒は、苦味をどうにかしないと致命的ですね)

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2回連続で高知の高木酒造のお酒です~。「土佐金蔵(とさきんぞう) 特別純米酒 H30BY」となります。前回の豊能梅と一緒にsaketakuより届いた日本酒ですね。頒布会サービス・saketakuについては、こちらの記事をどうぞ。

蔵元のHPを見ると豊能梅が主力で、この土佐金蔵は平成15年から立ち上げた新規ブランドのようですね。純米食中酒を目指した銘柄のようです。15年以上続いて販売されているということは、ブランディングとしては成功しているようですね。

高木酒造については、僕個人としては初体験の蔵元なので全く事前情報がなかったのですが、届いたお酒が2本とも低アミノ酸度(うま味成分が少ない)という明確な特徴があったのが面白いと思いました。そこをウリにする蔵元ってかなり珍しいです。

このお酒のスペックは「アルコール度15.5%、日本酒度+3、酸度1.7、アミノ酸度0.8、精米歩合60%、火入れ」というものです。やはりアミノ酸度0.8が目立つこと目立つこと(笑)。この度数で酸度1.7は、かなり強めの酸味を予感させます。あと、お酒に付いてきた鑑定書を読むと炭素ろ過しているようなんですね。新潟ほど徹底的なものじゃなさそうですけど、どういう影響があるか気になりますねぇ~。

◆苦さが食事の味をぶち壊し

味は「うま味も甘みも控えめな軽やかなお酒。そのせいで苦味が目立ち、味の最初から最後まで残る。結果としてキレも悪く飲みづらい」というものでした。これは・・・残念な商品ですね・・・。

うま味成分であるアミノ酸度が低いのに苦味が多いと、食事の味を邪魔して食中酒として失格になるという、悪い日本酒の典型例みたいな味になっています。舌に残り続けるタイプの苦味なので、キレも悪く飲み続けるのが辛いですよ。これ、アルコールの苦味じゃないですよね。コハク酸(舌に残りやすい苦い酸)かなぁ。

日本酒において、苦味は必要のない要素ではないです。適度に感じる苦味はお酒のボリューム感を増やして、飲みごたえのある味を作ってくれます。しかし、そのためにはたっぷりとうま味成分が必要だと思うんですよねぇ。そこが上手くいっているお酒は、菊姫・山廃純米などが有名ですね。個人的には、うま味は苦味のクッションになると思ってます。

このお酒の酸味は綺麗なはずなんだけど、苦味に引きづられて心地よくない雰囲気になっています。こういうお酒に出会うと、苦味の適切なコントロールこそ日本酒の重要ポイントだと思いますね。

ちなみに香りは綺麗なリンゴ系でして、サワークリームのような爽快感も交じる丁寧なものでした。別に手を抜いてつくっているわけじゃないのはわかります。設計図通りのお酒にならなかったのかなぁって感じますね。

◆ドライなお酒も難しい

前回の豊能梅・純米吟醸とは正反対に、うま味の少なさが悪く出たお酒でした。酒造りは難しいですね~。高木酒造が昔からこういう酒造りをしていたのかはわかりませんが、同じ蔵元が醸してもこういう差が出るわけです。全商品の品質を均一に保つのが、どれだけ難しいかということですね。

聞いた話によると新政は商品ごとのバラツキが大きいみたいですし、花陽浴は苦いお酒はめっちゃ苦いことがあります。有名な蔵元でも失敗することはあるのです。逆に、いつも安定しているところは凄いですね。僕の個人的な経験では、仙禽です。あそこはどれ飲んでもマジうまい。

「土佐金蔵 特別純米酒 H30BY」、アミノ酸度の低いお酒は両刃の剣だなと感じた一本でした。日本酒って難しいです。

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名称
:土佐金蔵 特別純米酒 H30BY(火入れ)
精米歩合:60%
酒米:五百万石100%
酵母:AA41、AC17
アルコール度:15.5%
日本酒度:+3
酸度:1.7
アミノ酸度:0.8
蔵元情報:高木酒造 株式会社(高知県
購入価格(税込):1620/720ml
購入日:平成31年1月30日
購入店saketaku(頒布会サービス)