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味の傾向:
搾った直後のフレッシュ感を最高の形で味わえる傑作。強いシュワシュワ感と一緒に甘酸っぱい味が流れ込んでくる、ラムネのような味わい。そこに日本酒ならではのキメの細かいテクスチャーが加わる。素晴らしい。

僕の評価:85点/100点(日本酒を知らない人に飲ませたい銘柄第1位です)

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醸し人九平次、仙禽から続く、定番酒を再評価しよう運動(参加者・僕1人)のために選んだお酒がこれです。「風の森(かぜのもり) ALPHA TYPE1 H30BY」であります~。いやー、やっぱりこれを紹介しないと定番酒を語ったとは言えないですよね!

当ブログでは、ブログ開始直後にたくさん風の森を紹介しました。このALPHA TYPE1も今回で3回目のレビューです。前より上手く評価できるように頑張ります。あ、恥ずかしいから過去の記事は探さないでね!

風の森は明確なコンセプトがある銘柄でして、全商品が生酒、無ろ過、原酒、純米となっています(例外的に1本だけ火入れあり)。つまり出来たてのお酒を即瓶詰めして、お客さまの元へ届けたい!という狙いのブランドなのです。そのフレッシュさを無駄なく味わって欲しいがために、なんと全商品の4合瓶化まで実行!これは主に飲食店からずいぶん批判があったそうですが、凄い覚悟です。蔵元の胆力が感じられますね。

加えて風の森をつくる油長酒造特有の個性として、「超硬水を使って、発酵力の強い協会7号酵母で醸す」というものがあります。日本という国はどこでも軟水の水が出てくる奇跡のような土地を持っているのですが、油長酒造の近くからは何故だかヨーロッパの水に負けないぐらいミネラルが含まれた硬水が湧き出ちゃったのです。現代の日本酒では、どこの水でも醸造技術により同じような味わいをつくることが可能ですが、油長酒造だけはそれが不可能なのですね。これが逆にユニークな味を生み出すのです。

このお酒のスペックを確認しますと、「無ろ過生原酒、アルコール度14%、精米歩合65%」というものです。うーん、ちょっと非公開部分が多いですね。もうちょっと教えてください!(笑) でも、ここで一番重要なのは、このお酒がアルコール度14%という、日本酒としては低アルコールとカテゴライズされる度数を持っているということです。つまり、ほぼ間違いなく甘い(発酵をあまりしていないので、糖分が残っている)、アルコールの刺激&苦味が少ないということです。アルコールの影響が少ないのは一見いいことのようですが、ボディが弱くペラペラのお酒になる危険性があります。さあ、どうでしょうか。実際に飲んでみましょう。

◆超うまい炭酸入り青リンゴジュース

味の第一印象は「凝縮感のある甘さを、しっかりとした酸味と炭酸のシュワシュワ感で流し込む、インパクト抜群の味」というものでした。キター!これよ、これが風の森ALPHA TYPE1だ!

香りは風の森特有の青リンゴな感じです。いや~、これ嗅ぐと油長酒造だぜ!って盛り上がります。7号酵母というバナナ系のフルーティ香を出す酵母を使っているのですが、不思議とリンゴっぽい感じがするんですよね。面白いなぁ。

味わいの中心は間違いなく濃厚な甘味です。この甘さがくどくならないために、口当たりからはっきりとした酸味が存在します。これがまた絶妙なんですよ。「甘酸っぱい~」と叫びたくなる!それに加えて炭酸のシュワシュワ感。このALPHA TYPE1はほとんど発泡酒と言えるぐらいの炭酸が存在しています。これがまた、濃い甘さに爽快感を与えているのですね。

そしてそして、さらに凄いのが後半のキレ。抑えられていた甘みが大爆発したかのような豪快なインパクト!これ、ほんと絶品、めちゃめちゃ美味しいです。恐らく旨味成分が極めて少ないがゆえに、甘みを過剰に感じるのではないでしょうか。そしてその甘味を綺麗に切る酸味&苦味が出てきます。この苦味はアルコールではなく、硬水のミネラルですね。これが味わいを単調にしないために役立っています。うーん、素晴らしい・・・。

◆初日に飲みきろう

いやー、やっぱり傑作ですわ、このお酒。しかも品質はいつも安定しているし。更に驚きなのが、4合瓶1242円(税込)という価格。安すぎませんか!?僕の中では楽器正宗と並ぶ、変態コスパ酒です。ありがとうございます!

食中に飲んでみて面白いなと思ったのが、これだけ個性的なのに料理を選ばないところです。もちろん最高のペアリングとかを追求することもできますが、適当に食事を合わせても邪魔しないんです。きっとアルコール度14%ゆえに、料理を邪魔する苦味や刺激が少ないんじゃないかと思いますね。こういうところは、氷結やストロングゼロに近い印象を持ちました。

ちなみに上に書いたティスティングメモは開栓初日のものです。このALPHA TYPE1唯一の欠点として、翌日になると炭酸が大幅に少なくなり味わいが大きく変わるのです。そして僕は、圧倒的に開栓直後が大好きです。ただ、2日目以降の味も好きという人も多いので、ここは僕の好みですね。ちなみに、炭酸が抜けた後は熱燗がおいしかったりします。まるで梅酒のように爽快なので、試してみてください。

「風の森 ALPHA TYPE1 H30BY」、やっぱり傑作は今も傑作でした。もし飲んだことがなければ、ぜひとも一度はご自宅で試してみてください。

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名称
:風の森 ALPHA TYPE1 H30BY(無ろ過生原酒 純米)
精米歩合:65%
酒米:秋津穂100%
酵母:協会7号
アルコール度:14%
日本酒度:不明
酸度:不明
アミノ酸度:不明
蔵元情報:油長酒造 株式会社(奈良県
購入価格(税込):1242/720ml
購入日:平成31年2月13日
購入店岸田屋酒店(横浜市緑区)