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味の傾向:
超甘口かつ超低アルコールにつくられた純米酒。しかし、甘さ以外の酸味、苦味、旨味の要素が抜け落ちていて、まったく物足りない。低い温度の冷酒状態ならギリギリ飲めるが、少しでも温度が上がると駄目である。

僕の評価:50点/100点(素晴らしいキャッチコピーだが、味が追いついていない。残念)

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近所のドン・キホーテの日本酒コーナーで見つけた素晴らしいネーミングのお酒をご紹介です。「上善如水(じょうぜんみずのごとし) 新緑の上善如水 純米 H30BY」であります!

言わずとしれた新潟の日本酒・上善如水の商品です。スーパーでもよく見かけますよね。このお酒は上善如水が毎月出している季節限定品「12ヶ月の上善如水」の2019年4月限定品になります。大手酒蔵で毎月特注品を造っては販売しているってかなり凄いですよね~。SAKETIMESの記事を読むと、2006年からスタートしているようです。

僕がこのお酒を買った理由は、ずばり「買いたくなるような見栄えのいいお酒」だったから。まず「新緑の上善如水」なんてネーミング、素敵すぎません?しかもラベルと瓶の色が緑色に統一されていて、美しい!

さらに

「キウイ由来の酵母で仕込んだ、甘酸っぱい低アルコール」

「キウイからとれた酵母で発酵させました。フルーティーな香りと甘酸っぱい味わい。低アルコールでほろ酔い気分に」

「甘辛:甘口 おすすめの飲み方:冷やして◎」

どうです、試飲しなくても味わいが想像できるこのコピー!秀逸であります。

ぶっちゃけて言うと、キウイ酵母(花酵母)だからって甘酸っぱい味になるわけではありません。というかまったく関係ありません。甘酸っぱい味わいは、杜氏がそう設計して醸したからです。

でも、そんなのどうでもよいのです。「キウイみたいな日本酒?飲んでみたい!」と思わせることが大切なのです。恐らくこのキャッチコピーありきで、マーケティングから逆算してつくられた商品なのではないでしょうか。日本酒は嗜好品であるがゆえに、飲んでもらうまでのハードルがめちゃくちゃ高い飲料です。そこを越えようとするこの企業努力!応援したいですね~。

さてスペックを確認してみますと、「純米 アルコール度8~9%、精米歩合60%、日本酒度-70、酸度2.4、アミノ酸度1.1、火入れ」という数値です。情報公開レベル高ッ!

むちゃくちゃ糖分多めで、アルコール度が凄く低いことがわかります。この前お披露目イベントで飲んだ白鶴酒造の別鶴も、似たようなコンセプトでしたね。極端な日本酒度マイナスは、飲みやすさを志向しているのと同時に、アルコール度が低いゆえの物足りなさをカバーするためだと思われます。ただ、気になるのは酸度。この程度で大丈夫なんでしょうか?2.4という数字は、日本酒度-70に対しては低い印象です。とりあえず、試してみましょう。

◆甘さだけがダラーッと続く、締まりのない味わい

味の第一印象は「ぼんやりとしたダレた甘さだけが漂う、なんとも物足りない味わい」というもの。これは・・・失敗してますなぁ。

吟醸酒ではないので、香りはほんのり程度。それでもフルーティな果実感ある匂いがあるので、低温長期発酵による吟醸造りはしているのでしょう。商品のコンセプト上、もっと香りがあると良いなぁと思います。

そして味わい!「甘酸っぱい」だなんて言葉から想像される爽快感はカケラもございません。やや甘い味が口の中を漂うだけという、なんともコメントに困るテイスト。酸味はあるにはあるのですが、存在感が薄くちょっとでもお酒の温度が上がると、すぐ行方不明になります。やはり酸度が足りていませんね。

このお酒を飲んで感じるのは、アルコールの味が日本酒にとっていかに重要かということです。アルコールは「甘くて、苦くて、刺激的」なのですが、この味わいが糖分由来の甘さを支えて、日本酒らしい味わいをつくり出しているのですね。この上善如水は極端な低アルコールなため、そういった日本酒らしさが失われているのです。

例えによる表現ですが、薄めすぎたカルピス、みたいなお酒ですねぇ。コーヒーでもチューハイでもそうですが、極端に味わいを薄めると気持ち悪くなるじゃないですか。あんな感じです。どうやって飲んでも無理があるお酒ですねぇ。

◆コンセプトは素晴らしいので、改善を期待

恐らく新しい日本酒顧客を開拓しようとつくられた意欲的な新商品であるこのお酒、味わいは残念ながら失敗作でした。これだと、氷結・キウイ味に完全に勝てません。どこをとっても勝ち目がねぇ!

調べてみると、2019年の完全新作なんですね、新緑の上善如水。白瀧酒造も手探りで開発したのではないでしょうか。新しい味わいをつくるためには失敗がつきもの。このコンセプト自体は見事なので、ぜひ経験を糧に次回により良い商品を発売して欲しいですね~。

ほぼ同様のコンセプトである白鶴の別鶴は、相当にハイレベルな低アルコール日本酒に仕上がっていました。方向性は良いということです。白瀧酒造にもきっと素敵な低アル日本酒が生まれるはず。期待してます!

「上善如水 新緑の上善如水 純米 H30BY」、今回は失敗作です。来年度の改善を楽しみにしています。

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名称
上善如水 新緑の上善如水 純米 H30BY(火入れ)
精米歩合:60%
酒米:不明
酵母:キウイ酵母
アルコール度:8~9%
日本酒度:-70
酸度:2.4
アミノ酸度:1.1
蔵元情報:白瀧酒造 株式会社(新潟県
購入価格(税込):1350/720ml
購入日:平成31年4月2日
購入店:近所のドンキホーテ