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味わいの傾向:
穏やかなフルーティな香りに低アルコールが似合う純米吟醸酒。味わいは甘さ控えめで酸味が際立つスッキリ系だ。加水感がある淡いお酒なのだが、それゆえ繊細で薄味な料理に似合う。ぜひ合わせる料理込みで味わいたい。

僕の評価:70点/100点(クラシックな味わいだが、薄味の魚介とは無類の相性を誇るぞ)

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今日は日本酒定期便saketakuで届いたお酒をご紹介します(詳細はこちらの記事をどうぞ)。今回送ってもらったお酒は愛媛県の「雪雀(ゆきすずめ) 純米吟醸 H30BY」となります~。saketakuはいつも僕の知らない銘柄を送ってくれるので、新鮮な気持ちで飲めますね。しかも、科学的なデータと、それにもとづいたアドバイスが付いてくるので最高ッス。

このお酒をつくる雪雀酒造は、ラインアップを見る限り普通酒と本醸造が充実しているので、いかにも地元を支えてきた地酒メーカーという感じですね。この蔵元の面白いところは、飲みやすい低めのアルコール度にこだわっていることです。15%台のお酒に加えて、14%、13%のお酒も販売してるのですよ。

この純米吟醸もそんな低アルコール日本酒の1つです(一般に15%を下回ると低アルコールと呼ばれます)。スペックを確認してみると「アルコール度14%、精米歩合60%、日本酒度+3.0、酸度1.4、アミノ酸度1.4、火入れ」となっています。ここでのポイントは、このお酒は原酒(加水調整されていないお酒)ではない低アルコール酒であるというところです。

風の森・ALPHA TYPE1のような原酒で低アルコールのお酒は、アルコール発酵が未熟でアルコール度が低い時に搾って瓶詰めしているので、アルコールに変化していない糖分がたくさん残っています。それゆえ基本的に甘いです。対して、この雪雀・純米吟醸のように、発酵をしっかりしてつくった高アルコールのお酒に、水を加えることで薄めて低アルコールにしているお酒は、水の割合が増えることによって酸っぱく感じられるようになります。このお酒は「軽くて酸味がある」味わいが想像されるのですね。

さあ、飲んでみましょう。

◆他のお酒や食事との相性で輝く脇役酒

味わいの第一印象は「水でお酒が薄まった淡麗な味。酸味が際立ち、色々な使い道が楽しめそう」というもの。うむうむ、スペック通りの味ですね。素直だわ~。

香りは、ほんのりとリンゴとバナナが入り混じったような印象です。ほどほどの強さなので基本的に目立ちませんが、シチュエーションによっては明確に香るのでいい感じですね。食事の香りと対比すると、より目立つ感じです。

味わいの基本はクラシックなテイストで、今風のジューシーさやドライな感じはありません。昔からの2回火入れ酒って印象ですね。上に書いた通りはっきりした酸味がありますが、過剰というほどでもないです。また苦味も少ないので、味の後半・キレの部分で強い辛さを感じることもないですね。14%というアルコール度に似合った淡い味わいで、安心して料理に合わせられそうです。まさに脇役、食事の黒子ですね。

◆古きよき味わいも使い方しだい

はっきり言って、単独で飲むと地味で物足りないお酒です。水っぽさも強く、残念に感じる人もいるかもしれません。しかし、この雪雀・純米吟醸は、飲みきるまでに色々キラリと光る仕事をしてくれたのですよ。

まず食事との相性。たまたまふぐ刺しが手元にあったので合わせてみたら、これが最高。白身魚が持つ特有の旨味が、日本酒の味わいと混じり合って超絶品!こういう古典的な組み合わせは、やっぱりクラシックな軽い日本酒ですね~。

また、他のお酒との対比もいい。醸し人九平次の後にこのお酒を飲んだのですが、レモン水のような爽やかさに驚きました。今どきの糖分たっぷりでエキス感のあるお酒との対比が、面白い印象を与えてくれたようです。

まさに、使い方しだいでダメ酒にも優良酒にもなる見本のような日本酒でしたね。

「雪雀 純米吟醸 H30BY」、お酒の価値は他の食品との関係で決まる、そんな事実を再確認した佳作でした。

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名称
:雪雀 純米吟醸 H30BY(火入れ)
精米歩合:60%
酒米:麹・山田錦 掛・五百万石
酵母:協会1901号
アルコール度:14%
日本酒度:+3
酸度:1.4
アミノ酸度:1.4
蔵元情報:雪雀酒造 株式会社(愛媛県
購入価格(税込):1404/720ml
購入日:平成31年3月31日
購入店saketaku(頒布会サービス)