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味の傾向:あの醸し人九平次のフラッグシップ純米大吟醸。開栓直後は味が固くそっけない感じだが、2,3週間後ぐらいからどんどん味が乗ってきてうまみが増してくる。2ヶ月経っても香り高く華やかという、普通じゃ考えられない常識はずれの傑作酒。

僕の評価:95点/100点(こんなとんでもないお酒が気軽に入手できるとか、異常)

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ようやくご紹介できます。Twitterではその味わいを何度も報告していた、「醸し人九平次 純米大吟醸 別誂(かもしびとくへいじ べつあつらえ)」です!BY表記を省略していますが、その理由は後述です。

前回、醸し人九平次・純米大吟醸山田錦に感動して、これはフラッグシップも飲んでみたいゼ!と、あぶく銭(注 たまたまゲットした全国共通デパート商品券)を握りしめて新宿伊勢丹で買ったお酒がこれです。まあ、実はこの上にもう1つさらなる高級酒があるのですが、公式がフラッグシップと言っているので、そういうことで!

醸し人九平次の凄いところは、入手難易度の低いところです。この別誂も含めて、ほぼ全部の商品が買いやすいと言っていいでしょう。一時期極端に手に入りにくい時期があったのですが、その反省なのでしょうか。また例外的な限定商品を除いて、全ての商品が火入れというのも驚き。よほど、技術に自信があるのですなぁ。

獺祭もそうですが、高品質日本酒で「どこでもいつでも買える」を実現するのは極めて難しいです。これだけで萬乗醸造の凄さがわかるってもんですよ。伯楽星の蔵元が、一定期間経ったお酒は酒屋から回収して新しいお酒に入れ替えるということをしていると聞きましたが、萬乗醸造もやっているんじゃないかなぁ。

さて、このお酒のスペックをご紹介。「アルコール度16%、精米歩合35%、火入れ」というもの。ほとんどわかんねぇ!(笑) 高精白日本酒の黄金比である精米歩合35%であることからして、最高級日本酒であることはわかります。アルコール度16%なので、華やかな香りを強く狙ったお酒なのでしょう。

醸し人九平次は山田錦と雄町をメインの酒米として利用しているのですが、純米大吟醸山田錦を飲む限り、山田錦は繊細な味わいを目指して醸造しているようなので、この別誂もその方向性かと思われます。

酒米は日本酒において味わいを決定づける要素にはならないのですが、蔵元がその酒米に対してどういう考え方をしているのかというのは参考になるので、萬乗醸造のようにこだわりが強いところは考慮するのはありですね。

さあ、開栓してみましょう。

◆??? なんだこの硬さは?

味の第一印象は「甘みも旨みもとっても少ない。端的に言って味が硬い!」というもの。ええーーー、なんじゃこりゃあ!?

香りもとっても少なくて、とても純米大吟醸という印象はありません。これってもしかして、長期低温熟成しているのか?熟成をすると、フルーティな香りである吟醸香は減っていくのです。

しかし、不思議と感じるのが、これからおいしくなっていくであろう予感です。まだ花開いていない蕾の状態であるという確信とでも言うのでしょうか・・・。酒造りに失敗しているわけではないと、なぜだか信じられるんですよね。実に面白いです。

予感通り香りが強くなってきて、味わいに伸びやかな甘みが増してきたのが開栓17日目です。なんと2週間以上経ってるぞ!そのままぐんぐん味わいはおいしくなって、僕のロットだと1ヶ月半目ぐらいが最もバランスが良かったです。

その味わいは、高精白特有の繊細で雑味ない清涼な甘さがメイン、そこにふわっと膨らむ空気感、エアリーとでも言えばいいのかな?そんなテクスチャーがあって、実に心地よいです。さらにミネラルっぽいニュアンスの苦味、旨み。そういった味わいは余韻にも含まれるのですが、伸びは短く、シュッと消え去ります。も、この儚さがたまらないです。

いやー、何度でも飲みたくなるようなこの味わい!ほとんど単独で飲んだのですが、杯を重ねてもくどくならないので、バンバン飲めちゃいます。飲んでいくと少し苦み増すんですが、むしろ飲みごたえがあって良いです。食事との相性はあまり試さなかったのですが、シンプルな味噌や醤油の味と共鳴する感じが印象深いですね。

最終的に2ヶ月半ぐらいかけて飲みきりました。最後の時点でも全く問題ない綺麗な味でしたね。ちょっと苦味酸味が強めになっていましたが、好みの範囲内でしょう。

時間をかけてちょっとづつ飲みましたが、毎回驚きに満ちてましたね。それでいて安定的。いやいや、こんな超弩級の日本酒がいつでもデパートに売っているとか・・・凄すぎるぜ、醸し人九平次!

◆熟成の可能性は計り知れない

お酒に色がついていないので、パッと見気づかないのですが、ほぼ確実に数年は熟成している日本酒でした。記事の冒頭にBY表記をしなかった理由がこれですね。もしかしたら、熟成期間の違う複数のお酒のブレンドなのかもしれません(これは黒龍の石田屋などが行っている製造方法ですね)。

しかし、開栓からどんどんおいしくなるお酒なんて、初体験でした。噂では聞いていましたが・・・。僕の経験上、吟醸系の日本酒ってのは開栓すると早かれ遅かれ味が崩れていくものという認識でした。黒龍のように耐性があるお酒もありますが、まさか味が尻上がりに上がっていく吟醸酒があるとは!驚きです。

ワインやビールなどの醸造酒の弱点として、開栓するとあっという間に劣化してしまうというものがあります。日本酒も同じく醸造酒なので、特に吟醸系は弱点も同じなのですが、この別誂はまさかの開栓後熟成でおいしくなる日本酒です。これほど家飲みに向いたお酒もありませんね!

しかし、一体どういうメカニズムでこういう変化が起きているのか・・・。めちゃくちゃ気になります。そして、こういうお酒を量産しちゃう萬乗醸造、半端ない技術力です。僕的にとんでもない蔵元に大認定です!

「醸し人九平次 純米大吟醸 別誂」、日本酒のさらなる可能性とポテンシャルを見せつける、”超”日本酒でした。ぜひ買ってみて、ゆっくり熟成を楽しんでみてください。

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名称
:醸し人九平次 純米大吟醸 別誂(火入れ)
精米歩合:35%
酒米:山田錦100%
酵母:協会14号系(たぶん)
アルコール度:16%
日本酒度:不明
酸度:不明
アミノ酸度:不明
蔵元情報:株式会社 萬乗醸造(愛知県
購入価格(税込):4585/720ml