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味の傾向:
白鶴のクラウドファンディング企画第3弾の日本酒。たっぷり感じられる糖分と、低アルコールゆえの甘さ控えめなアルコール感のコレボレーションが興味深い甘口酒。まるで貴醸酒のようだ。しっかりした味わいの料理と合わせると、酸が出すぎるので注意。

僕の評価:80点/100点(食事を選ぶけど、この感覚は楽しい)

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ついに最後の1本!白鶴の若手がチャレンジしてつくったクラウドファンディング企画・別鶴プロジェクトによる3本目のお酒のご紹介です。「別鶴(べっかく) 黄昏のテレスコープ H30BY」でーす!第1弾、第2弾のお酒はリンク先をご覧ください。






この別鶴シリーズは「若い人に飲んでもらえるイケてる日本酒をつくる!」というテーマを持った商品でして、手段として低アルコール原酒を採用しています。しかもアルコール度14%ぐらいの穏やかなレベルではなく、11%から13%というかなり攻めた数値でお酒を醸しているのです。

3種類全部のお酒を低アルコールにすると、糖分多めのお酒ばかりで味わいが似たりよったりになるんじゃないかと思っていました。しかし別鶴、そんなことは百も承知よ!とばかり、見事にお酒ごとのキャラを立てて商品をリリースしてきましたよ。さすが、商品づくりはお手の物ですね。

説明書に書かれているこのお酒の特徴は、「完熟した果実のような芳醇な香りとまったりとした甘味」というものです。熟れた感じということは、かなり密度の高い甘さが期待できそうですよ~。「木漏れ日のムシメガネ」と「陽だまりのシュノーケル」が酸味を強調したつくりだったので、こちらは低アル原酒らしい濃厚だけどサラッとした甘さが期待できそうです。

それではスペックの確認です。

アルコール度 12~13%
精米歩合 70%
日本酒度 -35
酸度 2.5
火入れ、純米、白麹一部使用、樽酒一部使用、原酒

他の2本と比べると、日本酒度は真ん中ぐらい、酸度は一番低い数値になっていますね。それでも普通の日本酒と比べたらすごい数値なんですが(笑)。やはり、酸味は控えめにして甘さを強調する仕様になっているみたいです。

低アルコール日本酒の甘さは、アルコールではなく糖分(グルコース)が主体になるので、味わいに複雑味がなくなります。糖分って意外なほどシンプルな味なんですよ。そこを別鶴がどう料理するか、楽しみですね~。

◆こ、これは低アルコール貴醸酒!?

味の第一印象は「みっちり糖分が詰まった感じを満喫できる甘さ!でも飲みやすい上に、酸味がつくる複雑味もあるぞ」というもの。レ、レベルたけー!

予想通り甘さ主体ながら飲みにくさはなく、大成功と言っていいんじゃないでしょうか。やはりアルコール度が低いのが効いてますねぇ。一瞬貴醸酒(お酒でお酒を仕込む濃醇な日本酒)かと思いましたが、スルりと飲めるので夕方のパーティの乾杯の1杯として飲んで欲しいという説明書のコメントも理解できます。

香りはメンソールのようなスーッとする感じがあったのでアルコールの匂い?と思いましたが、違うのかなぁ。他の成分かも。飴のような匂いがありましたが、これは糖分の香りですね。火入れによって出てきた匂いでしょう。

味の後半はしっかり酸味があって、白麹がつくるクエン酸がばっちり出ています。これもお酒のフィニッシュを爽やかにキメてくれますからいいですね!ただ、食中では酸が出すぎてしまい、普通に酸味豊かな日本酒になっちゃってます。これはもったいないなぁと思いました。それなら「陽だまりのシュノーケル」の方がいいですしね。

なので、このお酒を飲むなら肴をしっかり選びたいところです。メイン料理に合わせるのではなく、軽い前菜と一緒に飲むべきですね。お酒の解説書には「チーズ盛り合わせ、ドライフルーツ」と書かれていましたが、間違いのないおつまみでしょう。

◆3本全部よかったぜ、別鶴・・・

ようやく全部の別鶴をレビューしましたが、ほんと全種類うまかったなぁ。まあ、手間がかかって高いんだから当然じゃんという意見もあるかもしれませんが(3本セットで7500円)、弱々しいお酒になりがちな低アルコール日本酒をここまで飲みごたえある商品にしてくれたことには素直に感心しました。

H30BYの新政頒布会などを飲んでみると、軒並み14%になっていたりもっと低いアルコール度のお酒があったりしましたし、去年レビューしたモダン仙禽・亀ノ尾の今年のバージョンを確認したらアルコール度が下がっていたりと、日本酒業界の一部は低アルコールにシフトしつつあるようです。

おそらく無ろ過生原酒ブームの反動が、商品にも反映しつつあるということではないでしょうか。まだ各蔵手探りだと思いますが、この別鶴は1つの成果と言っていいでしょう。いやほんま、皆さんに飲んでいただきたい!関東地方だと飲める機会は極小なのが残念ですがー!

「別鶴 黄昏のテレスコープ H30BY」、甘口によせた低アルコール日本酒という提案です。今後の低アルコール日本酒のバリーションに一石を投じる1本ではないでしょうか。

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名称
:別鶴 黄昏のテレスコープ H30BY(純米、火入れ、原酒)
精米歩合:70%
酒米:白鶴錦100%
酵母:自社培養
アルコール度:12~13%
日本酒度:-35
酸度:2.5
アミノ酸度:不明
蔵元情報:白鶴酒造 株式会社(兵庫県
購入価格(税込):7500/720ml×3本セット
購入日:平成31年4月28日
購入店:Makuake(クラウドファンディング)

別鶴シリーズは、公式通販サイトから買えるよ!