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こんにちは~、お酒ミライの神奈川建一です。

みなさん、SAKE100(サケハンドレッド)というブランドをご存知でしょうか?2018年に日本酒メディアSAKETIMESを運営する株式会社Clearがリリースした日本酒です。



メディアがお酒をつくって売るのも相当珍しいですが、SAKE100が最も普通じゃないところはその商品ラインアップ。なんと全ての商品が高級酒なのです!そのお値段は500ml~720mlで、6800円!7300円!16800円!さらに、なんと150000円の商品も!!ドゲー!ここはどこのフランス5大ワイナリーですか?

日本酒ブロガーとしてはすぐ調査しないといけない案件ですが、立ちはだかるのはそのお値段。普段キャッシュレス決済で1%2%の割引を頼りに生活している貧乏な僕には、全種類を飲むチャンスがありましぇん。

そんな僕を哀れに思って、SAKETIMESの小池編集長がSAKE100オフィスで行う試飲会に誘ってくれました!神の所業とはまさにこのこと。DMをいただいた瞬間に、代官山に向かって最敬礼しましたよ。

仲間も誘っていいとのことだったので、congiroさん(日本酒界のダース・ベイダー)、まるめちさん(超甘口番長)、azamiさん(絵が超うまい日本酒白熱教室マンガ版著者)の4人で行かせてもらいました~。

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代官山のSAKETIMESオフィスから少し歩いたところにあるSAKE100オフィスを訪問です。リノベされたばかりのビルが超おしゃれさんで入り口からビビる。ここ入室料取られたりしねぇよな?(貧乏人の発想)

そんなこともなくSAKE100オフィスに着いたら、株式会社Clear代表の生駒さんとSAKETIMESの小池編集長、古川さんに出迎えていただきました。ありがとうございます!

その後は小池編集長と古川さんのプレゼンを受けながらティスティングです。ふははは、腕ならぬ舌が鳴るわぁ!

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ずらりとそろったワイングラス。気合が入るぜ。

SAKE100の掲げるテーマは「100年誇れる1本を」というものです。説明していただいたことを僕流に超大雑把にまとめると、日本酒の良いところを最大限に味わえるお酒を、めちゃめちゃ贅沢に手間をかけてつくろう!というブランドです。

日本酒って他のお酒にないよいところがたくさんあるじゃないですか。高精白米を使った透明感ある甘さとか、無ろ過生原酒の驚くようなフレッシュ感とか、濃密な甘みが熟した感じとか。SAKE100はその日本酒の長所1つ1つにコンセプトをしぼった商品を、一点物のように生産しているのです。なので商品それぞれの味わいが大幅に違います。そのために委託醸造先もぜんぶ異なるのですから、徹底してますわ~。お酒メディアならではのアプローチだと思います。

前置きはこのぐらいで。では、お酒を味わってみるぞ!

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SAKE100「百光(びゃっこ)」楯の川酒造 720ml 16800円(税込)

トップバッターはこのお酒。醸造元は山形の楯の川酒造です。コンセプトは「研ぎ澄まされた甘み」でしょうか。18%という超高精白の日本酒です!キタキタ、日本酒と言えば、まずはこの味わいでしょう!

飲んでみると、雑味を極限まで削ぎ落とした甘みがふんわり口の中に広がります。ああ〜、泣けてきます。うまい。このふんわりというのが大切で、ただ綺麗なだけじゃないんですね。

これぞ日本酒最大の長所の1つですな!ワインともウィスキーとも違う、寿司のような引き算の和食のお酒。それが日本酒なんですよ。

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なんとIWCにてゴールドメダルを受賞。おめでとうございます!


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SAKE100「深豊(しんほう)」数馬酒造 720ml 6800円(税込)

第2弾はこちら!石川県の数馬酒造です。以前飲んだ日本酒応援団のNOTOが好印象だったところですね。こちらのコンセプトは「爆発する旨み」でしょうか。百光とは真逆に、精米歩合70%で生酛、直汲み、無ろ過生原酒と、激しい日本酒の要素てんこ盛りのお酒です。

飲もうとすると強烈な香りが。生酒特有の青いハーブの匂いがプンプンします。元気なお酒だ!口に含むとこれまた激しい。微炭酸、グイグイくる酸味、分厚い甘み、百光と同じ日本酒とは思えない味わいですね。マニアックな日本酒飲みがハマっちゃう系の味です。

ここ10年で一気に広がった個性的な日本酒の特徴をぎゅっと詰め込んだようなお酒です。それこそ20年前にはオフフレーバーとして嫌われていた味ではないでしょうか。それをおいしく飲めるように努力した数々の蔵元の成果が集結したようなお酒ですね。

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SAKE100「天彩(あまいろ)」美吉野醸造 500ml 7300円(税込)

3つ目は奈良県の美吉野醸造が醸すお酒。あの泣く子も黙る花巴をつくる蔵元です。コンセプトは「極上のデザート酒」。酵母無添加のお酒を貴醸酒として仕込んだ超々濃密な甘口酒です。これだけで花巴好きな人はそそられるのではないでしょうか(笑)。

色はめっちゃ黄金色、そしてワイングラスで飲もうとすると容赦なく漬物臭が襲ってくる。手加減ねぇ!味わいはみりんを思わせるずっしりとした重厚な甘みです。しかし、荒々しさはなくしっとりと上品。これは12%という低アルコールのおかげ。余韻も軽く苦味もほとんどないです。上手だぁ。

アイスワインを参考にしたであろうこのお酒、狙いがはっきりしている分上々の仕上がりです。特に苦味をしっかり排除できたのがいい!チーズ食べながら食後に飲んだら最高ですよ。香りがネックなので、平盃の利用などをアピールしておいたほうがいいかと思いますね。

と、ここでティスティングは終了の予定なのですが…

な、な、なんと、現外も飲ませていただきましたー!うえええーー!?

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SAKE100「現外(げんがい)」沢の鶴 500ml 150000円(税込)

阪神大震災を生き延びた24年前のお酒を熟成して完成したお酒です。コンセプトは「奇跡のヴィンテージ」でしょうか。まだまだ知られていない日本酒の熟成酒の良さを、歴史的なストーリー込みで商品化した日本酒です。震災でも倒れなかったタンクに残っていた本醸造の酒母からつくられているそうですよ。

注いでみます。綺麗にブラウンの色が付いているので、高級酒の風格十分。さすが時間の重み!香りはちょっと覚えていないのですが、味わいは不思議な軽いアルコール感があって個性的。普通の純米の古酒とは違います。これはもともと本醸造としてつくられたお酒だからですね。アル添と加水ありの仕様がこの味をつくってるのかと思います。

かなり不思議な味です。congiroさんはマディラワイン(アルコールを添加したワイン)みたいって感想を話してまして、ああーなるほど~と思いました。もう日本酒とは思えない味わいに到達していますが、これも間違いなく日本酒です。熟成酒って味が普通と大幅にかけ離れているから、酒屋でも居酒屋でも扱いが少なく飲む機会が限られていると思うんですね。それがSAKE100のラインアップに入ってるというのはすごくいいと思います。

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これほどまでに個性的な日本酒を、4人の参加者同士でああでもないこうでもないと感想を言い合うのはめちゃくちゃ楽しかったです!ご招待ありがとうございました!


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最後に集合写真をパシャリ。左から小池編集長、congiroさん、まるめちさん、僕、azamiさんです。至福のひとときだったな~、うへへ。

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終わった後は渋谷で反省会です。反省は大事。反省はビール。皆それぞれSAKE100に感じた印象が異なり、実に興味深かった。

僕は最初に書いたとおり、日本酒のいいところをギュッと集めた商品を外の世界に紹介するブランドだと感じましたね。そのぐらい尖ったお酒に仕上げてあるけど、手間がたっぷりかかっているので上品な雰囲気すらあるんです。これなら普段日本酒にそれほど接しない人にも、必ず日本酒の価値が伝わるでしょう。

そしてこのお酒を、お酒に高いお金を出す富裕層に向けて発売したのも重要です。なにせSAKE100の一番の売れ筋は16800円の百光なのですから。安いとパーティなどに持っていく時に困る、なんて意見もあるそうで!

お酒に高い代金を出すことに躊躇がなく、また新しい価値に関心が高い層が富裕層なのでしょう。そこを攻めるべきマーケットと見定めたのはさすがです。

今までの各社の日本酒普及活動って、ごく普通の人を想定していたと思うんですね。もしくは若年層か。もちろんそれはそれで重要な取組みなんですけど、別のルートもあるんじゃない?と問いかけたのがSAKE100だと思います。他の蔵元も取組んでいたことですが、SAKE100はブランドとしてわかりやすいのが素晴らしいですね。

お話をうかがったら、今後の展開もまだまだ続くそうです。こりゃあ~、目が離せないですわ!皆さんも機会に巡り会えたらぜひ味わってみてください。SAKE100のチャレンジはこれからも続きます!


僕の百光レビューはこちらをどうぞ。