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味の傾向:
菊姫定番のにごり酒。価格が安い普通酒ではあるが、トロリとした濃厚な飲みごたえが人気で流通量も多い商品である。苦み多めの味わいをにごりのテクスチャーでカバーしている設計なので、普通酒らしい荒々しいテイストを気軽に楽しめる。

僕の評価:70点/100点(良くも悪くも普通酒ですね)

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どもです。最近涼しくなってきましたね~。こうなると日本酒が本格的においしい季節が来たぜ!ってガッツポーズをしたくなります。そしてそんな秋が似合うお酒をご紹介。「菊姫(きくひめ) にごり酒 H30BY」であります~。まあ、飲んだのは暑い9月だったのですが(笑)。

菊姫というと、僕的には旨みたっぷりのいかにも熱燗が似合うお酒というイメージなのですが、意外と飲んだ種類は少ないです。菊姫は超高級酒から普通酒まで、扱うジャンルも多ければ商品数も多いブランドです。もう少し突っ込んで飲んでみて、銘柄の目指す方向性を知りたいですね~。

このにごり酒は菊姫の定番中の定番で、毎年新酒の時期である12月から販売される商品です。が、最近は一年中入手しやすいようで、いろいろな酒屋さんで見かけますねぇ。4合瓶で1000円ちょっとというリーズナブルな価格な上、幅広い料理に合う味わいが酒飲みに支持されています。

さて、お酒のスペックです。

アルコール度 14%
精米歩合 70%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
醸造用アルコール添加 加水 火入れ にごり

非公開データが多いのが残念ですが、注目ポイントはけっこうありますね。僕が注目するのは醸造用アルコールの添加と14%という度数です。醸造用アルコールというのは30%濃度のアルコール水溶液なので70%は水です。つまり加水と同じ。またアルコール度14%という日本酒としては低い度数からわかることは、かなり水を加えて薄めているということ。つまりこのお酒はかなり水が多く、お米のエキス分は薄いということです。

さて、菊姫はこのお酒をどう料理しているのでしょうか?

◆値段相応の味を技術でレベルアップ!

味の第1印象(冷酒)は「トロトロのにごりの舌ざわりが絶品。これが大雑把で苦みが強い味わいをフォローしているのに感心する」という味でした。なるほど~、そういうつくりか!

お酒の色は澱(おり)が混ざると真っ白です。まるで甘酒の様!香りも似ていて、蒸米のような麹の匂いがふんわりします。これ熱燗だったらもっと香るだろうなぁ~。

舌ざわりは上に書いたとおりすごくいい!このヌメッとした感じはやっぱり心地よいです。なんで人間はこういうの好きなんでしょうかねぇ。洋食のバターを溶かしこんだソースとかそうですよね。人類共通なのだろうか。不思議です。

飲み込んで舌の上でよーく味わってみると、意外と苦いことがわかります。このアルコール感だけ浮いた感じは、水の多いアル添のお酒の特徴ですね。いわゆる安い普通酒にありがちな味わいです。菊姫も普通酒は醸造用アルコールも多めなのでしょう。しかも、加水も多めですしね。当然の味なのです。

そこをトロトロのにごりでうまくカバーしているのが、このお酒のよく出来たところですね。その点が評価されて、いろいろなところで定番として飲まれているのでしょう。基本はややアルコール感が目立つ普通酒なので、乾杯酒ではなく晩酌酒として日常の食卓にこそ似合うお酒だと思います。

◆味覚の進化を感じる

以上、菊姫・にごり酒のレビューでした~。昔の日本酒らしさを色濃く残すお酒なので、日本酒に慣れた人用かなと思いました。どちらかというとおじさん向きなのかも。四谷の鈴傳角打ちで一番人気なのもうなずけますな。

それと、実は3年前ぐらいにもレビューしているのですが、その時と感想がけっこう異なっているんですよね。もちろんにごりのトロみには感動しているのですけど、苦みにはそれほど注意を払っていないのがわかります。



こう、自分の舌が進化したなぁと嬉しくなったりします。それと知識の増加ですね。やっぱり好きなことを勉強するとより好きになります。いいですよ、趣味の勉強。皆さんもチャレンジしてみてください。

「菊姫 にごり酒 H30BY」、しっかり普通酒、しかし凡百の同類とは違うぜ!というのがわかるコスパのいい佳作。日本酒に慣れてきたら一度は飲んでみてください~。

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名称
:菊姫 にごり酒 H30BY(アル添、火入れ、加水あり、にごり酒)
精米歩合:70%
酒米:兵庫県三木市吉川町(特A地区)産山田錦100%
酵母:不明
アルコール度:14%
日本酒度:不明
酸度:不明
アミノ酸:不明
蔵元情報:菊姫 合資会社(石川県
購入価格(税込):1100/720ml
購入日:令和1年9月15日