写真 2019-08-13 21 12 46
味の傾向:和歌山の蔵元がつくる純米酒。このお酒は加えられた水の量が多いのが特徴。水で薄まったお酒特有の滑らかさと酸味の高さが、ややフルーティな香りと糖分由来の甘さに上手に混ざっていいバランスになっている。この銘柄らしさを十分に楽しめるぞ。

僕の評価:75点/100点(安くておいしくて満足できる理想の安酒)

◆◆◆

今回は和歌山のお酒をご紹介!「紀土(きっど) 純米酒 H30BY」です~。このお酒は僕が開催した日本酒の勉強会第1回で使ったお酒ですね。アルコール度15%日本酒の代表としてセレクトしました。



紀土は僕が日本酒飲むようになった頃から酒屋さんでよく見かけていて、何度か飲んだのですがあんまりいい印象はなくて。当時は無ろ過生原酒みたいな派手なお酒にハマってましたからねぇ。軽く滑らかな酒質の紀土は好みじゃなかったのでしょう。

しかし、最近飲む機会が増えて、あれ、このお酒むっちゃいいんじゃね?と感じるようになってから興味が倍増です。紀土の特徴を言うなら「淡い」という点で、マイナス方向の表現だと「薄い」ということです。しかし、それを銘柄の特徴としつつ、時代のニーズに合ったお酒を醸していると思うんですよね~。

今回のお酒は紀土の一番お値打ちな商品で、4合瓶で約1000円、一升瓶で約2000円!や、安っ!地酒の純米でこのお値段には驚きですな。純米酒は醸造用アルコールによる水増しができないから、高めのお値段が普通なのですよ。

ではスペックです。

アルコール度 15%
精米歩合 麹米50% 掛米60%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、火入れ、加水あり

見た感じ特別なところはなにもなさそうです。アルコール度が15%なので、刺激の少ない食中酒を目指した商品なんだろうなぁとは思いますが。あと、ラベルに明記されていませんが、協会7号酵母(一番使われている酵母。発酵力が高い)を使用しているようですね。

では、飲んでみて探ってみましょう!

◆杯を重ねるほど好きになる

味の第一印象(冷酒)は「糖分たっぷりのお酒を水で薄めまくったお酒。ベースの味わいは甘さ。そこに酸味がだんだん加わる。そして飲めば飲むほどうまくなる!」というもの。おお~、紀土らしさがばっちり出ている~!

お酒の色はやや黄金色。香りはちょっとバナナ系のフルーティな感じだけど、セメダインや乳酸の刺激的な香りがメインかな。でも、全体的に穏やかで、香りは強くない印象です。うん、食事の邪魔をしなさそうだ。

飲んでみると味が淡い!これよこれ、これが紀土の味です。基本の味は甘味です。もともとはけっこう糖分多めので甘いお酒だと思うのですが、水をたくさん加えることでバランスを取っているのですね。水が多いのでとても滑らかな舌ざわりです。こういう感覚は、焼酎やウィスキーを水割りする人の方がより理解しやすいでしょう。

水を多く加えると日本酒は酸っぱくなります。このお酒もそうなのですが、その酸味の使い方も上手なんですわ。初めの1杯目はそこそこの酸味なのですが、飲み続けていくとかなり後味がドライな印象に変化し、これが食事中に活きるんですよ~。いわゆる辛口とは違うのですが食事のアクセントになる味わいで、それでいて全体の印象は「淡い」味なので邪魔をしない。うーん、よくできてるなぁ。

◆安酒のニュースタンダード

首都圏で販売される地酒だと、一番安い商品って一升瓶2000円ぐらいが多いと思うんですね。黒龍のいっちょらいや十四代本丸がそうですし。ただほとんどがアル添の本醸造でして、飲み始めたばかりの人には勧めにくかったのも事実です。独特のお酒っぽさがあって、これが苦手な人も多いですし。

そこでこの紀土・純米酒ですよ。やはり純米酒は安心度が違う!このお酒は加水が多い(=水増しが多い)がゆえにお安いお値段を実現できていると思うのですが、それがそのまま個性につながっているんだから見事だよなぁ。ほんと、安心して勧められます。まさに新しい時代の普通酒、安酒ですね。

他にも純米大吟醸・山田錦50が同様の味わいでハイコスパを実現しています。こっちも早くレビューしたい!

「紀土 純米酒 H30BY」、淡いお酒はこうやってつくるもの、そんなお手本を見るかのようなハイレベルな安酒ですね。

写真 2019-08-13 21 12 39
名称
:紀土 純米酒 H30BY(火入れ、加水あり)
精米歩合:麹米50% 掛米60%
酒米:不明
酵母:協会7号酵母
アルコール度:15%
日本酒度:不明
酸度:不明
アミノ酸:不明
蔵元情報:平和酒造 株式会社(和歌山県
購入価格(税込):1026/720ml
購入日:令和1年9月15日