こんにちは~、お酒ミライの神奈川建一です。

今回はいつもお世話になっている横浜市鶴見区の遠州屋酒店・齊藤社長と、友達のナイスガイ・きたろーさんが企画してくれた「日本酒ブロガーと日本酒蔵元の集い」に参加してきたのでレポートしたいと思います。ご招待ありがとうございました!

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最初に誘われた時はごく私的なパーティかなにかかなーと思っていたのですが、公会堂の会議室を借りてビデオカメラ回してレジュメまで用意されているというガチな集いでした。めっちゃビビりながら参加させていただきました!

蔵元側からは山形県・秀鳳酒造場の古頭さん(製造責任者の方)、宮城県・田中酒造店の森川泰敬杜氏(さかやもんさん)、鳥取県・千代むすび酒造の角田さん(製造管理部長の方)がいらっしゃってました。ひえー、恐れ多い。失礼な口きいたらどうしよう~と前日までガクブルでしたが、当日はいつもどおり失礼な神奈川建一でした。ごめんなさいです。

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左から秀鳳酒造場の古頭さん、遠州屋の齊藤社長、田中酒造店の盛川杜氏、千代むすび酒造の角田さんです。

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今回の会が開催された目的は、齊藤社長の日本酒への危機感からだそうです。このままでは正しい日本酒が廃れて、消費者に供給できなくなる!その原因を消費者である皆さんと共有したい!という思いがあるのだそうです。

しかし、最初に聞かせていただいて僕は思った。何か問題点ってあるっけ?そりゃ日本酒はアルコール飲料の中でも売れてないしマイナーだけど、特定名称酒は増えてきてるし若手蔵も頑張っているし勢いはあるんじゃないかな?と。

しかし、販売する側、生産する側から見ればまったく違うとのこと。むしろ法律上、制度上の欠陥で伝統的な日本酒は消えてしまうかもしれない!と。な、なんだってーーーっっ!!??

まず、伝統的なつくり方で醸造された日本酒と近代的な大量生産でつくられた日本酒が区別されずに売られてるのは消費者に正しい価値が伝わらなくてダメである!とおっしゃられます。非常に手間のかかる製法でつくっている中小の蔵元があまりにも不遇であるのが残念とのこと。日本ワインと国産ワインみたいに明確に区別すべきだ!

この近代的な日本酒づくりとは、工業的に酒造りすることができる融米造り(月桂冠が有名)のことだけど、言われてみれば確かに・・・。月桂冠はおいしいものおいしくないものあったけど、どれが融米造りかは僕らじゃわかんないもんな。確かに苦労してつくっている蔵元さんが浮かばれない・・・。

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また、お酒の監督省庁である国税局の日本酒に対する態度にも不信感が多いとのこと。ええっ、そうなんですか!?

先に書いた日本酒の作り方で区別をしない点もそうだし、本来食べ物であり文化である酒を税金でコントロールされるのが、供給側としてはとても辛いのだそうです。例としてビール・発泡酒・第3のビール戦争を挙げていました。あれほど消費者を置いてきぼりにした対応もないだろうとのことです。

う・・・これは消費者としても感じることがある。日本酒の未来を暗くする方向のルールがなぜか存在するんですよね。日本酒の製造免許がなぜか新規で取れないこと、酒販免許が新規はなぜか制限付きのものしか取れないこと、最近発表された日本酒特区における酒造許可の特例が既存酒蔵しか認められないという既得権益を保護する内容だったこと、etc.etc... これはもしかして、国税庁は日本酒をどう発展させていくかには興味がなく、どうやって安定的に税金を確保するかを優先して行動しているだけなのだろうか・・・?

一生懸命頑張っている小さな蔵元はこういう現状をどうにかできる力もないし、このままでは日本酒の正しい価値を伝え続けられないだろうと斎藤社長考えているそうです。それは酒販店も同様であるとのこと。ただ、消費者の声だけは国税庁は無視できないともおっしゃられました。ぜひ僕らに現状を知ってもらい、広く世に広めて欲しいのだそうです。

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うむむむ~、聞かせていただきながら唸ってしまいました。買う側である僕らには見えない辛さが、売る側、つくる側にはあるんだなと。そうだよなぁ、やりたいこと何でもできるのなら、とっくに日本酒は今よりメジャーなお酒になってるもんなぁ。皆優秀な人ばかりだもの。

僕としては、国税局側の意見とか調べられなかったし聞いたこともないので、簡単に判断はできないとは思います。向こうは向こうで正しいと信じる原理で行動しているのでしょうし。しかし、僕も前々から食品である日本酒を管理するのが、消費者庁や農林水産省ではなく国税庁というのはおかしいのでは?と思っていました。

仕事をしている方はわかると思うのですが、理不尽な業界ルールで本当にお客さまのためになることができない事例ってたくさんありますよね。今回の齊藤社長のお話は、日本酒業界にも同じことがたくさんあるんだよということだと思います。日本酒業界は一部の超大手とその他零細企業といういびつな産業構造であるため、より問題の深刻さが激しいのではないでしょうか。

今回の会も含めて、最近は流通側、生産者側の意見を直接聞く機会が増えてきました。ありがたいことですね。僕は消費者なんで消費者の立場ばかりから意見を述べますけど、今後は相手側の事情も察しつつ建設的な記事を書いていきたいなと思います。

齊藤社長、きたろーさん、今回はお招きありがとうございました!

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追記

蔵元側の参加者の皆さんから聞いた、興味深いお話を書いてみます!

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秀鳳酒造の古頭さんのお話「地理的表示・GI山形について」

僕は山形県の蔵元の団結力がすごいと思ってまして、特にこの国に認められたGI山形の取得は見事だなぁと思ってました(ワインで言うボルドーやブルゴーニュのような正式なブランド表記と同様のものです)。どうしてこういう先進的な取組みができたのですか?という疑問があったのです。

古頭さんのお話では、それは山形県が他県より厳しい状況に追い込まれているからだそうです。県内人口の急減、特に若年層の減少は深刻で山形に住むことに未来が見えなくなっている。そこをなんとか打開したい思いで一丸となっているとのこと。

なるほど、強烈な危機感ゆえの取組みなんですね・・・。こういうのも関東だけで暮らしていると見えにくい現実です。他にも取組みの本気度が高い県、例えば福島や秋田もそういう事情がからんでいるのかもしれませんね。


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田中酒造店の盛川杜氏のお話「晩酌と日本酒とチューハイ」

盛川杜氏のお話の中で、日本酒が売れなくなりチューハイなどのRTD(氷結やストロングゼロなどを表す業界用語)が売れるのは、日本人が余裕がなくなり晩酌の時間が減っているからだという意見がありました。日本酒はゆっくり時間をかけて楽しむものであり、手っ取り早く酔うのが目的のRTDとは対極に位置しているというお話です。

これは実感としてわかりますね。僕は夕食に平均2時間はかけます。日本酒好きの皆さんも結構食事の時間が長いのではないでしょうか?またストロングゼロの酔いの回り方の早いこと!確かにあれは時短が目的の商品なのかもしれません。ビールの数倍早いですもんね。

アルコール飲料そのものについての忌避感も、もしかしたら日本全体の余裕の無さが関係あるのかもしれません。飲みニケーションに頼らないコミュ力が育ってきたという良い面もありそうですが、国民の日常生活の変化にはいろいろな示唆が含まれていそうです。


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千代むすび酒造の角田さんのお話「日本酒の味の伝え方」

これは僕からの質問で、日本酒の味のわからなさ具合がひどすぎる!もっとわかりやすくなりませんか?と聞いてみました。

角田さんのお話では、確かに日本酒は味わいがわかりづらい。なので、お酒単体の味よりも合わせる料理のシチュエーションで価値を伝えるべきだとのことです。地元の料理に合うのが地酒である。まだまだいい提案方法は追求できるとのお話でした。

これはごもっとも!と感じました。僕もようやっと料理とのペアリングに興味が出てきまして、その法則に感心があります。でも、お酒の売り場でそういう提案のし方はあまり見ない印象ですね。県のアンテナショップ等では実践できているのでしょうか?関心があります。

お三方、貴重なお話、ありがとうございました!