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味の傾向:
月桂冠が新発売した180ml瓶のお手軽日本酒。フルーティな香りとすっきりしたドライな味わいが売りの1本だ。クラシカルなテイストでおおむねよくできているが、不要なはずの酸味が残っていたりと大吟醸としては残念な感じだ。

僕の評価:65点/100点(悪くないけど欠点もあるし厳しめで)

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連続して月桂冠の新作をご紹介!「月桂冠(げっけいかん) THE SHOT 大吟醸」でありまーす。前回ご紹介した本醸造の弟分です。キャッチコピーは「華やぐドライ」。またコピーがお上手ですね、月桂冠さん!飲む前から味わいがわかっちゃうような文章がすばらしいです。

聞いた話によると、この大吟醸は昔から続く月桂冠の味わいを承継したテイストに仕上がっているそうです。そして前回のTHE SHOT・本醸造は、今までと違う新しい味わいを追求したとのこと。あの味を体験した後では、なるほどと納得ですね。



しかし、この瓶のデザイン、かっこいいと思いません?まるでブラックコーヒーのよう。でも缶コーヒーにはない上質さがあって、お酒の瓶とわかるのがいいですねぇ。

さてスペックです。本醸造と同じく大半の数字は非公開です。

アルコール度 15~16%
精米歩合 50%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
火入れ、加水、アル添

まあ、ほんと非公開すぎて語るところがないのですが・・・(笑)。よくある大手酒造メーカーさんが出している安めの大吟醸とほぼ同じスペックですね。商品の説明を読むと「リンゴのような」というフレーズがあるので、カプロン酸エチル系酵母(リンゴやミルクを思わせるフルーティな香りを出す)を使っているのは間違いなさそうです。

ではでは、飲んでみましょう~。

◆このドライさは気持ちいい!けど酸味が邪魔

味の第一印象(冷酒)は「喉が渇くほどのドライな仕上がりが心地いい。でも不要な味があるのが残念」というもの。うーん、悪くないけどあと一歩かな~。

香りは確かにリンゴのような感じがある。けど、フルーティさはそこまで強くはなく、酸っぱい匂いとマジックインキ的なオイリーな香りがメイン。これも本醸造と同じく炭素ろ過してますね(活性炭で余計な味と匂いを取る技術)。お酒の色も限りなく透明に近いので、間違いないかと思われます。

味は徹底的に甘さを排除した旨みと滑らかさメインの味わい。これはいいですね、好みです。新潟系の辛口に比べると味の膨らみが少ないかもしれませんが、口当たり綺麗でこれぞ清酒!という感じがたまりません。

ただ問題は、何回か口に含むと邪魔な酸味が強まってくることなんですよね~。このお酒、古いスタイルの設計なので、酸味がなければないほど心地よくなるはずです。この酸味がせっかくの綺麗なドライテイストを邪魔しちゃっているんですね。食中でも雑味として残ってしまいます。

◆もっと大吟醸という言葉を大切にしてほしい

その昔、日本酒において酸味はできる限り排除するものと言われていたそうですが、このTHE SHOT・大吟醸を飲むとなるほど~と納得できちゃいますね。今の酸味豊かなタイプの日本酒は、それでもおいしく飲めるよう設計されているから高い酸度が許容されているのです。

この酸味、コスト的な兼ね合いで残ってしまったのだろうなと思います。つくっている方は酸味がない方がおいしいのはわかっているけど、そこまで手間をかけれないからこうなったんじゃないかと。大手酒造メーカーの大吟醸はそういうのが多くて、正直やめてほしいなぁと思います。名乗るなら吟醸でいいじゃない。



大吟醸というのはその蔵の最高傑作につけるべき名前なのです。スペックが数値を超えているから機械的に付けられる名前じゃないと思うんですよね。買う方だってその名前にふさわしい味わいを期待するはずです。特定名称酒の存在意義の低下がはなはだしい昨今ですが、こういった大手の姿勢もその原因じゃないでしょうか。

「月桂冠 THE SHOT 大吟醸」、いままでの大手製造大吟醸の中ではかなりの出来。しかし、まだまだ名前に及ばないといったところでしょうか。

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名称
:月桂冠 THE SHOT 大吟醸(火入れ、加水あり、アル添)
精米歩合:50%
酒米:不明
酵母:不明
アルコール度:15~16%
日本酒度:不明
酸度:不明
アミノ酸:不明
蔵元情報:月桂冠 株式会社(京都府
購入価格(税込):250円ぐらい/180ml
購入日:令和1年8月ぐらい