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こんにちは~、お酒ミライの神奈川建一です。今回もインフィニット酒スクールの講義レポートをお送りします。

前回のレポートはこちらをどうぞ。



中級・第4回目の今回は、今まで学んだことの再確認でした。その授業の中で、興味深かったことをお伝えしますね。

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まず「麹(こうじ)」のお話から。

麹はご存知の通り、お米を酵素活性で分解してアルコール発酵の素となる糖分などを生産する重要なものです。ただ、僕ら消費者の側からはいまいちよくわからない要素ではないでしょうか。よく蔵元紹介の写真とかで、蔵人さんたちがお米の上に種麹を振っているところは見るんですが、「え、なんか味に影響あるのん?」とか思いがちです。

しかし、昔の格言に曰く「1麹、2モト、3造り」。この言葉に偽りなく、麹ってのは日本酒においてダントツに重要なんです!

30年ぐらい前の話になりますが、当時は麹菌の種類なんて1種類しかないようなものでした。もちろん杜氏の腕が味わいを左右するのですが、味の方向性はどの蔵も似たりよったり。その原因が麹のバリエーションの少なさだったのですね。

しかし現在は、麹菌の種類はどんどん増えていて選択の幅がとても広がっているのです。糖分を多く生成するものから苦み成分を少なくするものまで、色々な麹菌が全国の蔵で利用されているそうです。また、それらを使った新しい麹造りの技術も一気に発展し、10年前では考えられないようなお酒も発売されるようになりました。

わかりやすいのが「低精白なのに雑味なく綺麗な味のお酒」でしょう。仙禽の赤とんぼ(精米歩合90%)などが有名です。昔はこんな精米歩合でお酒をつくったら、樹脂やオイリーの香りバンバンで間違いなく飲みにくい雑味たっぷりの味になったはずです。現在では麹の酵素力を大幅に強化することにより、めちゃくちゃ米を溶かすことができるからこそ実現できるのです。ニュー低精白日本酒は麹技術の向上で実現したお酒なのですね。

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次に「アミノ酸」の話。

日本酒におけるアミノ酸は、麹の酵素活性によりお米のタンパク質から変化して生まれるものです。タンパク質は玄米の中の7~8%。対して糖分(ブドウ糖)の素となるデンプンは70~75%です。圧倒的に糖分が日本酒の主要な成分なのですが、実は日本酒の味わいを決めるのはアミノ酸なのです。

なにせアミノ酸は種類が多い!20種類はありまして、日本酒のいろいろな味わいをつくりあげています。主要なのでも、アラニン(甘・旨)、グルタミン酸(旨)、アルギニン(苦)、アスパラギン酸(旨)など、覚えるのが大変なぐらいです。

逆に量が多いはずの糖分ですが、こっちは味わいがシンプルです。複雑な味わいではないのですね。同じく糖分から生成される有機酸(乳酸、リンゴ酸、コハク酸)もわかりやすいですし、エタノール(アルコール)もわかりやすく「甘い・苦い・刺激的」です。

香りに関してもアミノ酸は活躍します。シンプルな糖分由来の香りに対して、アミノ酸の香りは複雑です(高級アルコール、酢酸イソアミル、酢酸エチル)。そして日本酒で嫌われるオフフレーバー(悪い香)ですが、これもアミノ酸が原因だったりするのですね。先生曰く、臭いのはだいたいアミノ酸!だそうでして(笑)。アミノ酸の存在は、日本酒のメインと言っても過言ではないのですね。

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では、今回のティスティングです~。

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①福寿 大吟醸
精米歩合 50%
アルコール度 15%
日本酒度 +4
酸度 1.3
アミノ酸度 0.8
酵母 不明

②蒼玉 純米吟醸 玉苗
精米歩合 55%
アルコール度 15%
日本酒度 -2
酸度1.6
アミノ酸度 1.0
酵母 自社培養

③自然郷 芳醇純米
精米歩合 60%
アルコール度 16%
日本酒度 +5
酸度 1.9
アミノ酸度 不明
酵母 不明

④菊鷹 ハミングバード 無ろ過生
精米歩合 60%&70%
アルコール度 15%
日本酒度 ±0
酸度 3.0
アミノ酸度 1.5
酵母 K-14(金沢酵母)



以下、先生のコメントです。

①の福寿はアル添の大吟醸。香りはリンゴ風のカプロン酸エチルがメインである。アルコール度15%なので優しい印象だ。山田錦のせいか、余計なオイリー系の匂いがない。山田錦は香りも味もきれいなことが多い。温度が上がっても匂いが薄いのは、アル添の特徴。

味わいはやや甘く舌ざわりがとても滑らか。これは加水に加えてアル添でもお酒本来のエキスを薄めているから。アル添はお酒を滑らかにする。味の後半に収れん味が強いのはアミノ酸が低い証拠(0.8)。また、独特の苦さがあるがこれは醸造用アルコールの味だ。

②の蒼玉はアルコール度15%の純米吟醸酒。香りはイソベースのカプといったところ。酸度が高めのお酒だが、そういう場合はより酢酸イソアミルを感じやすくなる。また①と違って香り全体が濃いので、純米酒とわかる。

味わいは酸味が爽快なお酒。日本酒度-2と低いがあまり極端に感じないのは、酸味でバランスを取っているため。また余韻がサッと消えていく印象だが、これはアミノ酸度が低いせい。余韻の長さはアミノ酸度に比例する。

③の自然郷はアルコール度16%の純米酒。こちらは酢酸イソアミルのバナナの香りがしっかりくる。①や②と違いアルコール度が高いので、香りも濃厚だ。カラメルの香りのソトロンもあるが、青っぽいアセトアルデヒドの匂いでマスキングされている。

味は甘さも強く酸味もあるタイプ。日本酒度+5なのに甘いのは、アルコールの甘さが出ているから。アルコール16%はそれぐらい甘い。酸度は1.9もあり、これはかなり高いが味わいはそこまででもない。これもアルコール度が高いせいでバランスが取れているからだ。

④の菊鷹は無ろ過生酒の純米酒。香りにフルーティさはなく、吟醸造りしていないことがわかる。オイリーな匂いが強く、お米が大きい(=精米歩合が低い)と予想できる。

味わいはとても濃い印象。アミノ酸が高いことがわかる。アミノ酸が高いと通常はベタッとした印象になるので、このお酒は高い酸度でなんとかしている。一瞬アルコール度が高い印象を受けるが、それは酸度がとても高いせい。酸は刺激もあるので、アルコールの刺激感と間違えやすいので注意だ。

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今回はここまでです。だんだんアミノ酸の重要度が全面に出てきたなぁと感じます。アミノ酸は香りも味もさまざまな要素を持っているので理解するのは一筋縄じゃいかないのですが、ここを避けては通れません!ぜひとも正体をつかんでやるぜ!

同様に麹の話も興味深いですね。消費者からは遠い存在である麹ですが、そちらもいつかじっくり学んでみたいものです。

それでは、また次回のレポートでお会いしましょう~。