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味の傾向:
茨城県内でほとんど消費されてしまう隠れた銘酒。純米生酒のこのお酒は穏やかな香りと苦味が特徴だ。この苦味は食中ではフワリと消え、料理に合わせて酸味や甘味が絶妙なバランスで主張してくる。

僕の評価:75点/100点(晩酌派の人は見かけたら、ぜひ自宅で飲んでみよう)

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今回は酒飲み仲間内で人気のお酒をご紹介します。「霧筑波(きりつくば) 本生 特別純米酒 H30BY」です!聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。

茨城の地酒ですが、大半が県内で消費されてしまうため、東京などにはめったに出回らないそうなんです。友達に熱狂的なファンが何人かいて、めちゃめちゃ布教活動してるんですよね。これも福島の友人から送ってもらいました。

地元消費優先で東京に出てこないお酒というと新潟の鶴の友を思い浮かべますが、この霧筑波も同様の雰囲気を感じます。郷土料理が並ぶ毎日の食卓に合うお酒をひたすらつくり続けている酒蔵、昔はどこの蔵元もそうだったのでしょう。今は時代が変わったので霧筑波のようなお酒は珍しくなりましたね。



スペックを確認です。数値は不明ですが酵母や杜氏さんの名前が記載されているのが面白いですね。

アルコール度 15%
精米歩合 55%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
生酒、加水あり、純米、小川酵母

さすがに飲まないと語ることがないスペック(笑)。地元消費でアルコール度15%ですので、間違いなく香り穏やかな食中酒でしょう。純米なのでアル添のようなアルコールが浮いた感じもないはずです。安心して飲める反面、長所が感じられるかがポイントですね。

◆苦い・・・でも、料理相性抜群!

味の第一印象(冷酒)は「甘さ控えめの味わい。後半に苦味がしっかりあるのだがこれがキモ!」というもの。これじゃ全くわからないと思うので、料理と合わせて解説しますね~。

香りは予想通りおだやかです。生酒なので青っぽい畳のような匂いはありますが、ほんのりとという感じ。フルーティな香りも混ざっていますが控えめですね。いかにも晩酌酒といった感じで、その手のが好きな僕はテンション上がります♪

で、上に書いた通り明確に苦い味わいがあるのですが、これが料理と一緒に飲むとサッと消えるんです。これすごいですよねー。おそらくアミノ酸由来の苦味じゃないかと思うのですが、一部のハイレベルな食中酒はこういう不思議な味わいを持っているんですよ。この苦味、影でいい仕事をしているんだと思います。

例えば甘い料理(きんぴらごぼうとか味醂を煮詰めたやつなど)だと爽快な酸味がぐっと出てきて、脂っこいもの(カルパスとか生ハムとか)だと甘~いシロップのような味わいが主張してくる!おお~、この変化自在な感じ、まさに理想の食中酒ですわ!

◆傑作食中酒の予感

ちょっと飲んだだけでは地味で妙な味があるけど、飲み続けると手が離せなくなるお酒ですね。田酒の特別純米や黒龍のいっちょらいを連想する、かな~りレベルの高い1本と思われます。1杯飲んだだけではよさがわかりにくいと思いますので、ぜひともご自宅でしっぽり4合瓶空けてみてほしいですね。

茨城の料理の味付けってどんなタイプかは知らないのですが、きっと霧筑波が合うのでしょう。茨城に行く機会があったら、ぜひ地元料理と一緒に飲みたいですね。

「霧筑波 本生 特別純米酒 H30BY」、茨城に行けばきっと見つかる1本、ぜひ夕食のテーブルに並べて味わってみてください。