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味の傾向
:夏頃に出荷される生酒の純米にごり酒。アルコール度が17%と高めかつオリがめちゃくちゃ濃いというアクの強いお酒だが、丁寧につくられており飲みやすい。派手さはないのだが細部に気を配られており、いぶし銀の脇役酒と言えるだろう。

僕の評価:70点/100点(目立つところはないのだけど、家でじっくり飲むと感心する)

◆◆◆

長野はいいとこ、一度はおいで~。というわけで長野のお酒である「夜明け前(よあけまえ) 純米にごり酒 生酒 H30BY」をご紹介です。この前行ってきた軽井沢で買ってきたものですね。秋の軽井沢は最高!8月出荷の商品です。

夜明け前というと長野のお酒の中でも関東で売っている方だと思いますが、個人的には地味な印象が強いです。濃い「佐久乃花」や華やかな「川中島 幻舞」、清涼感ばりばりの「大信州」などと比べると特にそう感じますね。

ただ、自宅でゆっくり味わうと「あ、上手だなぁ・・・」としみじみ実感するんですよね。ほんと料理の引き立て役に徹しているお酒というか。それが宅飲みだとよーくわかるんです。前回の1本もそんな感じでしたね。今回もその味わいを期待して購入しました。



スペックです。ちょっと数値は見つけられなかったですね~。残念。

アルコール度 17%
精米歩合 55%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米 にごり酒 生酒 原酒?

ポイントは間違いなくアルコール度、17%というかなりの高さです。おそらく原酒でしょう。通常は食中に向かない度数ですが(苦いため)、にごりのクリーミーさで上手に凌ぐ蔵元もあります。はたして夜明け前はどうか?また夏には珍しい生酒というのも大きなポイント。清涼感あふれる香りと、ピチピチした刺激感が期待できますね。

さあ、飲んでみましょう。

◆丁寧な味わいは食中にもぴったり

味の第一印象(冷酒)は「トロトロのにごりに甘い味わい、強いアルコールの刺激。しかし全てのバランスがよく、飽きたりすることはない落ち着いた1本」というものでした。あー、これぞ夜明け前ですね。超うまい酒とかではないんですが、飲んでて落ち着くんですよ。

にごりは濃いです。激濁系ですね。香りは涼やかな感じ。青草の印象やセメダイン、マジックインキなどがほどよくミックスされていて心地いいです。飲んでみるとシロップのような甘さ。かなり甘いんですがそこまで極端じゃない。飲み込んだ後の余韻は刺激的でアルコール度高いんだなぁとわかるのですが、苦味などは適度に抑えられていて、飲み続けても辛くないんですよね。

今回は特にペアリングを考えたりせず、味噌をつけたエシャロットや肉野菜炒めなどと一緒に飲みました。これが違和感なくていいんです。特別なこと考えなくていい酒質は、地酒というより全国酒を思わせますね。甘みも強くアルコールの刺激もあるお酒ですが、これが料理の邪魔をしないんですよ。にごりがクッションになっているのだと思います。

◆日常酒は信頼のブランドで

相変わらず目立たない脇役酒だけど、すばらしい仕上がりの日本酒だと感じましたね。毎日飲むならこういうお酒がいいです。僕も日本酒飲み始めて10年ぐらいになりますが、飲酒スタイルも定まってきて(宅飲みで夕食と同時)常備したいお酒の理想もわかってきた気がします。夜明け前はその1つでしょう。

日本酒は味わいが幅広いぶん、飲む人のライフスタイルで合う商品が大きく変わると感じます。ウィスキーのように飲む人、ワインのように飲む人、焼酎のように飲む人、ビールのように飲む人・・・皆さんはどんな風に日本酒を楽しまれるのでしょうか?一度ライフスタイルと好みのお酒を紐付けて考えてみるのも楽しいですよ。

「夜明け前 純米にごり酒 生酒 H30BY」、高アルコール度脇役酒というものを見事につくりあげた一品、食中酒好きでしたらぜひ飲んでみてください。


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