味の傾向：お手軽に買える菊正宗のワンカップ系商品。杉樽に貯蔵して香りを移した昔ながらの日本酒だ。強めの杉の香が立ち昇り、味わいは甘く、それでいてさっぱりしている。後半はアルコール感がパァッと弾ける感じだ。慣れてくるとスルスル飲めてしまうぞ。

合わせた料理：松茸（偽）と豚しゃぶの出汁仕立て、茹で里芋＋醤油

僕の評価：７５点/１００点（このクラシックな味わいをいつでも楽しめるのが最高）

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　こんにちはー、忘年会シーズン終了して財布が軽い神奈川です。そんな時は安いワンカップ酒に限る！というわけで「菊正宗（きくまさむね）　樽酒ネオカップ」をご紹介です。コンビニでよく売ってるアレになります。

　ありとあらゆる味わいを追求しまくっている昨今のマニア向け日本酒界ですが、樽酒ってあまり見ない気がしますね。新政や満寿泉が洋酒の樽でやっていますが、杉樽による伝統的な樽酒はマイナーなのかもしれません。しかし、瓶流通がメインになる前は、全ての日本酒が樽酒だったこともあるのです。温故知新、樽酒もいいですよ。

　この樽酒ネオカップは、菊正宗が前から販売している定番商品です。以前は瓶詰めの一升や４合の商品もあったのですが、なんと最近そちらは全商品純米酒化しました。これには驚きましたね～。そのため、昔から販売されている醸造用アルコール添加の樽酒は、このネオカップのみなのです。きっと既存のファンのために残してくれたのでしょうね。

　さて、スペックです。日本酒度のみ公開されています。

　アルコール度　１４～１５％

　精米歩合　不明

　日本酒度　＋２．５

　酸度　不明

　アミノ酸度　不明

　生もと、アル添、加水あり、火入れ、樽酒

　精米歩合不明ですが、おそらく７０％ぐらいでしょうね。数値的に軽い食中酒であることが読み取れますが、日本酒度がわりと低くて甘そうな印象です。純米樽酒の方は＋５なので、これまた興味深い差ですね～。

　さあ、飲んでみましょう。

　味わいの第一印象（常温）は「フワ～っと強めに香る杉の匂いにテンションが上がる！濃厚でありつつも軽い甘さに舌鼓」というものでした。いやー、これこれ。この甘味が最高なんです。ちなみに開けるとカップギリギリこぼれそうなほどお酒が入ってます。ここも好き～。

　上に書いた通り杉の香りがかなり強めに出ています。アル添による香り強化の効果ですね～。本来ならマジックインキや樹脂のような香りもあるはずですが、杉の香りに隠れてしまってますね。まるで森の中にいるみたい。

　味は甘い！シロップみたいなんだけど、アル添の効果により滑らかさが増していて飲みやすい。いいね～。味の後半はアル添の宿命でアルコール感がガッときて弾けて消える感じです。ここは好みが分かれるでしょう。

　今回も千葉麻里絵さんの「最先端の日本酒ペアリング」（Amazonリンク）を参考にして料理を選びました。「松茸と豚しゃぶの出汁仕立て」！もちろん松茸なんて買えないので、エリンギ＋永谷園の松茸のお吸い物というあわせ技でセコくつくりましたよ。

　これに熱燗の樽酒を合わせるのですが、もーめちゃくちゃうまいですね。個人的には似たもの同士ペアリングだなーと感じました。すだちの酸味と樽酒の酸味がピタッと合うのです。そして熱々の熱燗にトロける豚肉・・・最高！あと茹でた里芋＋醤油＆熱燗もやばかった。このお酒は暖めて本領発揮するお酒かもしれません（カップそのままでレンチンもできますよ）。

　あー、やっぱり好きです、このお酒。ずっと売ってくれる菊正宗に感謝です。杉の香りと独特の渋さは慣れが必要かもしれないけど、飲めるようになるとお得感ハンパないですよ。醸造酒よりも蒸留酒好きな人のほうが馴染みやすいかも知れませんね。

　純米酒の方も比較用に飲みましたが、ずっとエキス感が強く酸味も高いお酒でした。こちらは飲みごたえがありましたね。ネオカップの方はアル添の特徴が明確に出ています。同一傾向のお酒を純米とアル添で飲み比べられるので、日本酒勉強したい人にもおすすめです。

　「菊正宗　樽酒ネオカップ」、お手軽にクラシックな樽香を楽しめる素敵なカップ酒です。そのまろやかな甘さを味わってみてください。