写真 2019-12-10 21 19 12 (1)
味の傾向:黒龍酒造の新年最初のお酒。生原酒らしい濃厚な甘さと清涼感があるが、綺麗にまとまっていてすばらしい完成度である。一番のポイントは、高いアルコール度のお酒なのにしつこくなく飲みやすいこと。醸造用アルコール添加の上手な使い方を楽しめるぞ。

僕の評価:80点/100点(隙がなさすぎて困るぐらい)

◆◆◆

新年あけましておめでとうございます!2020年最初のレビューはこちら、「黒龍(こくりゅう) 垂れ口 R1BY」であります。もちろん新酒になりますよ~。

毎年黒龍の最初のお酒としてリリースされるこちらは、本醸造のうすにごり生原酒となります。他に純米吟醸の商品もありますね。毎年楽しみにされてる方も多いでしょう。お値段は4合で1265円(税込)というお買い得価格!黒龍からのちょっと早いお年玉みたいです。


このお酒の特徴は、黒龍としては珍しいアルコール度18%という高アルコール日本酒であることですね。福井の料理に合う最高のお酒づくりを目指す黒龍は、基本的にアルコール度控えめな食中酒が多いのですが、これだけは例外です。ガツンと豪快に搾りたての日本酒の味わいを楽しんで欲しいということなのでしょう。

さて、スペックです。インフィニット酒スクールの授業で詳細を確認できたので、それを載せてみます。

アルコール度 18%
精米歩合 65%
日本酒度 -7
酸度 1.6
アミノ酸度 1.5
生酒、うすにごり、原酒、アル添

いやはや、すごい数値です。アルコール度は上に書いた通りですが、さらにマイナスな日本酒度(糖分が多い)と高いアミノ酸度!これだけアルコール度が高いのに糖分が残存しているということは、4段で仕込んでいるのでしょうか。強烈に甘そうですが、そこは黒龍ですからバランス感覚に期待したいところです。

まあ、飲んでみましょうか!

◆飲みにくさが消えていく

味の第一印象(冷酒)は「濃密な甘さがあり後味も苦く刺激的だが、恐ろしく飲みやすい」というもの。あー、こりゃあかんやつだ。ムロゲン好きな人が飲みすぎて撃沈するやつだ!

お酒の色は新酒の生原酒らしく緑色があります。そこにほんのりにごりが。香りもこれまた生原酒らしい青っぽいクールな印象!しかも艶やかさすらあるというのがたまりませんね~。

味わいは予想通り甘くて旨いです。濃厚。しかし不思議と軽いんです。ベタッとしていない。味の後半はアルコール度が高いので当然ピリピリ刺激感があり苦いのですが、飲みきった後の余韻が不思議なほどあっさりしている。このためお酒がクイクイ飲めちゃうんです。あー危険すぎる!!

これぞ高アルコール度のアル添日本酒のメリットです。濃いのに飲みやすいんです。新潟の酒蔵が出すタイプにもこれが多くて、21度で飲みやすい怖いお酒もあります(笑)。醸造用アルコールが添加されることでお酒のエキス分が薄まりスッキリするのですね。それでいてアルコール度は維持されるのでこういう味わいになります。

黒龍の場合は、様々な味わいのバランスも絶妙で、もうこれしかない!というテイストで完成しています。醸造用アルコールの添加は杜氏の腕前が非常によく出るので、酒蔵の実力がよくわかります。黒龍、高木酒造、磯自慢、八海山あたりのお酒を飲んだときには意識してみてくださいね。

◆飲み会に間違いのない1本

これはもう、ぜひ自宅パーティなどで飲みたいお酒ですね。派手で飲みやすく日本酒そのものを楽しむには最適な1本です。安いですしね!他のお酒に負けないパフォーマンスを見せてくれるでしょう。

逆に日々の晩酌にはあまり向かないかも。お酒メインで肴はオマケみたいな飲み方が一番合うので、食中で飲むとやっぱり辛いんですよ。濃い肉料理ならいけるかな?と思って豚キムチに合わせてみましたが、苦さが目立って見事に撃沈しました。素直に濃厚なチーズとかがよかったかもしれません。

「黒龍 垂れ口 R1BY」、相変わらず黒龍には脱帽しかないことを再確認した1本です。間違いなくおすすめしたいと思います!