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味の傾向:
あの真澄が長野県のスーパー・ツルヤのためにつくったPB商品。アルコール度13%という低アルコールなのだが、流行の甘口低アル原酒ではなく、むちゃくちゃ味の薄い食中酒だ。酸味がややあるが、甘さも苦さもすごく少ない。料理を支える黒子のようなお酒である。

僕の評価:80点/100点(あまりにもユニークなため。好き嫌いは絶対激しい)

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今回はウチにしては珍しい店舗限定のプライベートブランドをご紹介。「真澄(ますみ) 純米吟醸 やわ風 H30BY」です!軽井沢行ってきたお土産ですね。秋の軽井沢は最高だぜ~。BYは推測です。

言わずと知れた長野県のトップメーカーである真澄が、同じく長野県で高い人気を誇るスーパー・ツルヤ専用の日本酒としてつくった商品です。ツルヤはもともと別荘地へ来る人達をターゲットにして生まれたスーパーらしくて、観光客がふらっと立ち寄っても良さがわかるいいスーパーマーケットでしたよ~。

以前他の方が持ち込んだこのお酒を飲ませてもらって衝撃を受けて、長野行ったら必ず買ってやろうと狙っていた商品です。どうやらツルヤで通年販売されているぐらい人気みたいですよ。

さて、スペックです。PB商品なので情報はあまりありませんね。

アルコール度 13%
精米歩合 55%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸造り、加水あり、火入れ

このお酒、見ての通りアルコール度が13%とかなり低いのですが、なんと原酒ではなく普通に加水した商品なのです。おそらくアルコール度15%ぐらいの原酒をつくってから水を加えて13%にしたのではないでしょうか。そこから導かれる結論は「めっちゃ味が薄いお酒になる!」です。

いやー、こんな極端なお酒見たことないですよ。これをスーパーがPBとして売るという理由が興味深いですね。さあ、飲んでみましょう。

◆水のようで水じゃない

味の第一印象(冷酒)は「甘くも苦くもない!ほとんど水・・・だけど水じゃない!」というもの。よもやここまで振り切っているとは。水っぽいお酒と言うと上善如水ですが、その比じゃないっすよ。

色は予想通りかなり透明です。そりゃたくさん加水すれば色は淡くなりますからね。香りは吟醸づくりしているのでフルーティな香り。しかし、これもアルコール度が低すぎるのでほんのちょっぴりです。ワイングラスを使わないと見つけられないでしょう。

お酒だけ単独で飲むと、甘さも苦さもほんの少しという日本酒なのかよ!?と言いたくなる味わい。酸味はそれなりにあります。あと飲み込んだ後はじんわり苦いのですが、これはおそらくコハク酸でしょう。アルコール飲料独特のピリピリする刺激感も少なく、よくもまあこんなお酒つくったなと思います。

んじゃおいしくないのか?いえいえ、これががっつりご飯を用意した夕食にめちゃくちゃフィットするのです。もう染み込むんじゃないかってぐらいピタッと!できたてのご飯に塩魚とか最高でしょう。他にはきのこの炊き込みご飯とか・・・。素材の味を活かした料理の邪魔をしないので、なるほどこれがツルヤの狙いかぁと得心します。食品スーパーならではの視点ですね。

◆日本酒の目的とは

日本酒を単独で飲むことを想定していない、超薄味系食中酒でした。ここまで極端なお酒は初めてですね。八海山などの淡麗辛口系や灘の大手酒蔵商品はかなり食中酒寄りですが、この真澄・やわ風ほどではないです。単体で飲むと硬水のミネラルウォーター飲んでるみたいなんですもん(笑)。さすがに人によって評価が分かれると思いますが、僕は好きですね。

ここ数年は強い味わいのお酒、お酒単独で飲んで楽しいものが人気だと思います。それはそれで面白いのですが、食事の脇役としての日本酒ももっと追求されていいはずです。食品スーパーがこういうお酒をつくっちゃうあたりに、そんなメッセージを感じちゃいますね。皆さんはこのお酒を飲んだ時、どう感じるでしょうか?

「真澄 純米吟醸 やわ風 H30BY」、生まれるべくして生まれたスーパーマーケットPB日本酒でした。ぜひ飲んでみて、このお酒の存在意義を考えてみてください。