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こんにちは~。お酒ミライの神奈川建一です。

今回は11月に開催されたインフィニット酒スクールの特別授業・熱燗編のレポートをお届けしたいと思います。

日本酒最大の特徴とも言える温めて飲むスタイル「熱燗」、皆さんも寒い季節にお世話になっているのではないでしょうか。僕も熱燗専用マシーンを買うぐらい好きです!

でも謎も多いのが熱燗ですよね。温度変化で甘・旨・酸・苦がどう変化するかもわからないのに、「燗冷まし」まである!冷酒状態のお酒の味わいだってよくわからないのに、これ以上悩ませるなー!(ガッシャーン)

そんな時に今回のスペシャル講義が告知されたので、速攻で申込みました。この記事で授業の内容を皆さんとシェアしたいと思います~。

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まず基本となるのは、この温度変化による味わいの感じ方のグラフになります。

冷たい温度から熱い温度に向かうことで

・甘さ(+旨さ)は強くなっていき、37度付近でピークを迎えてその後下がっていく。

・酸度は一定で変化しない。

・苦味はどんどん減っていく。60度でほぼ消滅する。

・この味わいグラフは、温度を上げていく場合でも下げていく場合でも変化しない。

温度の上げ下げによりこのような味の変化が生まれます。甘み苦みは体感的に理解しやすいですが、酸味が変化しないのは意外ですね!

例えば苦味ですが、温めると減少するので苦いお酒は熱燗にすればよいことがわかります。古酒やクラシックな山廃が熱燗に向くのは、苦味が減って飲みやすくなる点も理由の1つなのです。

また、冷→燗でも燗→冷でも味わいの変化が同じなのにはびっくり!てっきり違うのかと思っていました。なので、このグラフをしっかり覚えれば、いろんな応用がきくということですね。

今回僕が一番興味深かったのは、口内での温度変化と甘味(+旨味)の関係です。

冷酒でも熱燗でも、口に含むとその時点から温度が体温方向に変化していきます。冷酒なら15度くらいから30度台へ、熱燗なら50度ぐらいから30度台に向かいます。グラフを見るとわかるのですが、どちらの変化も甘味が増す方向なのです。

この味わいの変化を人はうまいと感じているのですね。俗に言う「甘味が膨らむ」という現象です。これが日本酒が冷酒でも熱燗でもおいしい理由の1つでしょう。燗冷ましが好まれる理由でもあります。

実際32~37度ぐらいでお酒を飲むとわかるのですが、口に含むと甘い!と感じるのですがその後が物足りないのです。ただ甘さがだら~と続くだけという感じですね。考えてみればこの温度帯での飲酒はメジャーじゃないです。口に含んでどう温度変化させるか?を考えながら飲むと、より一層日本酒を楽しめる気がしますね。

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今日のティスティングは4種類なのですが、なんとそれぞれ3つの温度で味わうというエクストリームなティスティングでした!12杯のお酒をガンガン飲んでは吐いていく授業は、まさに強行軍でしたね(笑)。



①東洋美人 一歩 羽州誉
アルコール度 15.8%
精米歩合 40%&50%
日本酒度 ±0
酸度 1.5
アミノ酸度 1.0
酵母 9号系

②八海山 特別本醸造
アルコール度 15.5%
精米歩合 55%
日本酒度 +4
酸度 1.0
アミノ酸度 1.2
酵母 K-701

③菊姫 純米ひやおろし
アルコール度 18%
精米歩合 65%
日本酒度 ±0
酸度 1.8
アミノ酸度 1.4
酵母 自社

④菊姫 山廃純米
アルコール度 16~17%
精米歩合 70%
日本酒度 -2
酸度 2.5
アミノ酸度 1.8
酵母 自社



まず①の東洋美人。フルーティな吟醸系として味わいます。

15度(温度)だと綺麗なフルーティな香りと苦味のない甘い味わいは絶品。「着実に十四代に近づいている」と先生のコメント。

35度では甘みドン!ではじまる味わいに。悪くないけどつまらない印象でしょうか。

55度では香りはアルコール感強めに。個人的には温めるともったいないかもと感じました。ただ味わいは酸がメインになり面白さがありましたね。先生はアリじゃないかなとのことです。


②の八海山はもちろん淡麗辛口の味わい。アル添すっきり系としてティスティングします。

15度ではいつもの八海山の味わいです。僕は好きですね~。

35度では甘さが15度の時よりもずっと前面に出てきます。この味わいの膨らみ、悪くないですね。先生は常温がいいお酒だねとのコメント。

55度では香りのアルコールのみ!という印象がすごい。味わいは甘さが存在しなくなってびっくり!これはこれで面白い料理との相性が生まれそうだと思いました。


③の菊姫ひやおろし。アルコール度の高さが特徴です。

15度の時点でアルコールの香りが強っ!と感じます。味わいは甘みも旨味も酸味も苦味も多いザ・菊姫なテイスト。きてますわ~。

35度では予想どおりボリューム感が増えます。甘みと旨みが増えたのでしょう。15度より苦味は減っています。

55度では香りがキツい!鼻が痛いぐらいです。味わいはバランスがよいようです。さらに苦味が減っていますね。


④の菊姫山廃純米。これは酸・アミノ酸度高めの熟成系として飲みます。

15度では③と同じく甘旨酸が強いのですが苦味はむしろ少なく感じるというバランスのよさ。こりゃすごい。

35度、香りはソトロンが綺麗に香ります。さすが菊姫。味わいは酸味が増して酸っぱい!あまりバランスがよくないような?

55度ですが、全てのバランスが整い見事な味わい!こちらでも苦味がなくなり、とっても飲みやすい。いいです~。


高い温度での甘味と苦味の減少(場合によっては消滅)と、35度という温度帯の微妙さをしっかり経験できましたね。特に菊姫2種の55度は面白かったです。濃醇な味わいの中に苦味が消えていく感じなんですよね~。

先生が注意点として上げてくれたのは

「日本酒度±0ぐらいのお酒は+5に比べて温度を上げてもドライになりすぎないので熱燗はアリ(①③④のお酒)」

「アルコール度数の高いお酒は燗する時に香りに注意すること。エタノール臭がキツイ(③④のお酒)」

「熱燗が向くわかりやすいお酒のグループはない。スペックを見て総合的に判断しないといけない(①のお酒など)」

でした。熱燗にすると甘さが減ることを理解して甘いお酒を温めるのは、かなりアリだなと感じましたね。

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熱燗特別講義レポート、いかがでしたでしょうか。これは奥が深すぎて沼すぎると思いましたよ(笑)。しかし指針となるグラフを理解できたのはよかったです。

加えて、口の中での温度変化を僕らは「おいしい」と感じているのだ、という知見は目からウロコでした。僕らの体温が日本酒の味の秘密だったなんて、まるでよくできたミステリーの種明かしみたいだと思いませんか?

今回はここまでになります。また次回のレポートでお会いしましょう~。