こんにちはー、お酒ミライの神奈川建一です。今回もインフィニット酒スクールの講義をレポートしていきますよ。

前回の記事はこちら




中級第7回はティスティングの再確認ということで、学習のペースをスローダウンさせて、じっくりお酒を味わってみました。

先生がおっしゃるには、人の感覚というのは適当なもので、翌日には違ってしまうこともしばしばだそうです。もちろん味覚・嗅覚も毎日ころころ感覚が変わるもので、これは皆さんも日本酒飲みながら感じていることだと思います。

そのため、ティスティングではお酒のスペック(アルコール度、日本酒度、酸度、アミノ酸度など)を見ながら行うことが重要なのです。これらの数値だけで日本酒の味全てを表しているわけではありませんが、科学的に確かな数字を意識しながら飲むことで、感覚のブレに惑わされることなく日本酒の味を理解することができるのです。

お酒の勉強をするなら、最初はスペック見ながら飲むことで自分の感覚を矯正し、その後ブラインドティスティングで実践に移るのが近道ということです。スポーツで言うところのフォームができ上がってから初めて試合に出れると同じですね。

中級コースの僕らは、ひたすら数値をにらめっこしながらティスティングを繰り返しています。まだ試合にも出れないのは悔しいですが、ここをしっかりやっておかないとその後も全部間違っちゃうと思うので、歯を食いしばってやるしかありません。

この矯正がまた難しいんですよ。僕なんかは最初の一杯目は酸味を強く取っちゃう体質のようで、どうしても酸度を強く感じるんですね。こういう自分の癖も理解してティスティングにのぞまないといけないんですもん。

日本酒の味自体もエグい!日本酒度+10でアルコール度19%のお酒ってどう感じると思います?これが甘いんです(アルコールが甘いため、高アルコール日本酒は日本酒度に関わらず甘く感じがち)。誰だよ、日本酒度を辛口の基準だと言った奴は!

また数値の相対的な差異も大切で、同じ酸度のお酒でもアミノ酸度が低い方が酸っぱく感じます。全ての数値が相互に絡み合っているので、頭がこんがらがるんじゃあ!とちゃぶ台返しすることもしばしばですよ、もう。

お酒を勉強すると一生かかっても無理だなぁと思うこともあります。でも、だからこそやりがいもあるんですけどね。皆さん、ぜひこの沼に入りましょう(笑)。

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今回のティスティングです。じっくり5本行います。
写真 2018-12-23 22 14 31



①五凛 純米大吟醸 山田錦
アルコール度 16%
精米歩合 45%
日本酒度 +4
酸度 1.4
アミノ酸度 不明
酵母 14号系(自社)

②立山 特別本醸造
アルコール度 15.2%
精米歩合 59%
日本酒度 +4.5
酸度 1.5
アミノ酸度 1.3
酵母 9号系

③寫樂 純米
アルコール度 16%
精米歩合 60%
日本酒度 +2
酸度 1.4
アミノ酸度 不明
酵母 F7-01

④黒龍 垂れ口 本醸造 生
アルコール度 18%
精米歩合 65%
日本酒度 -7
酸度 1.6
アミノ酸度 1.5
酵母 自社

⑤農口尚彦研究所 本醸造 無ろ過原酒
アルコール度 19%
精米歩合 65%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
酵母 不明



以下、先生のコメントです。

①の五凛は、外見と香りから1年以上は貯蔵していると推測されるお酒。フルーティだけどオイリーな香りはイソアミルアルコールが酸化している証拠(=時間がたっている)。やや黄色の色もソトロンの存在をあらわしているので同様です。

味わいはアルコールが甘旨を増加させているタイプ。アミノ酸は少なく(1.0~1.1ぐらい)滑らかさはなかなか。苦味が強いのが弱点のお酒だ。


②の立山は炭ろ過をしているお酒だ。色と香りから判別ができる。泡が出ているのでフレッシュさを目指していることがわかる。

五凛と比べるとあきらかに薄味だが刺激があるのはアル添のせい。アミノ酸度1.3のおかげで味が厚く、酸度1.5あっても柔らかく感じるお酒である。


③の寫樂は夢の香とうつくしま夢酵母を使った福島酒。純米だが香りもフルーティでフレッシュさもあり今風のお酒だ。

味わいも甘酸っぱく後味がすっとキレていくモダンなタイプ。このすっと消えていく感じはアミノ酸度が低い証拠(1.0~1.1ぐらい)。この収斂味はわかりやすいサインなので、見逃さないこと。


④の黒龍は全ての数値が規格外な季節限定酒。にごりで泡があるのでフレッシュなのだが色が黄色い。これはアミノ酸が多いサインである。

旨みがたっぷりなため、あるはずの酸味も苦味も目立たないお酒となっている。ここまで濃いと飲んだだけではスペックはわからないだろう。自分のものさしが定まらないため、どこを根拠に数値を予測していいか判断つかないのだ。


⑤の農口尚彦研究所はアル添の無ろ過原酒。香りをかぐとフルーティさがなく穀物感ばかりなので、吟醸づくりしていないことがわかる。

味わいはアルコール度19%の味わいが前面に出過ぎている。苦すぎ刺激強すぎ。予想は日本酒度+5、酸度1.5~1.6、アミノ酸度1.3。アルコールのせいで日本酒度+5でも甘く感じる。正直農口さんのお遊びじゃないかと。


今回はこんな感じでした。立山と黒龍面白かったですね~。農口さんはえーっとという感じ。どうすんのよこれ?みたいな。アルコール度高いお酒は本当に難しいですねぇ。

これからもひたすらティスティングの日々です。そこで気づいたことをシェアしていきたいので、次回もぜひ記事を読んでくださると嬉しいです!

それではまた。