写真 2020-05-15 22 27 36
味の傾向:
新潟の八海山がつくるアル添の吟醸酒。八海山の技術力が発揮されていて、とにかく見事。水と醸造アルコールで薄まった水っぽいお酒なのに、不思議と甘みとふくよかさを感じる。これで飲みやすいんだから、鬼に金棒だ。

僕の評価:85点/100点(設計が完璧すぎる)

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淡麗辛口大好き~な僕がご紹介する新潟酒、もちろん辛口デス!「八海山(はっかいさん) 吟醸 八海山 R1BY」になります。もう最近好きすぎて困る銘柄ですね。お酒の勉強会でも常連になります。

八海山は商品開発の熱心さにも感心していて、最近は日本酒以外の広がりが見事だと思いますね。甘酒とかビールとか。すべての商品は「魚沼」の魅力を届けるためにある、そんな哲学がバリエーション豊かだが芯の通った商品展開を可能にしているんでしょうねぇ。カッコいいなぁ。

日本酒ではスパークリングと熟成酒方面に深堀りしている印象です。越後で候とか1年熟成ありますし、スパークリングは「あわ」が高級品として発売されましたし。あ~、どっちも飲んでみたいです!お金が足りねぇ!

さて、スペックです。八海山はアミノ酸度まで全部公開。製品品質にどこまで自信あるんだよって感じです。素晴らしい。

アルコール度 15.5%
精米歩合 50%
日本酒度 +5
酸度 1.0
アミノ酸度 0.9
アル添、加水あり、吟醸づくり、火入れ

八海山のレギュラー商品を飲む際に注意してほしいのは、ここのお酒は酸度がすごく低いということです。このお酒は1.0ですが、これは日本酒の理論上の最低値です。八海山は酸味がとても少ないのです。

日本酒は「アルコール度、日本酒度、酸度、アミノ酸度」という数値が複雑に影響しあって味わいが形づくられます。酸度の低さはお酒にどういう影響をもたらすのか、ぜひここに注目してみてください。

さあ、飲みますよ~。

◆精密機械かよ、というレベルの味わい

グラスに注いだら色と香りを確認ですが、八海山ではそこは期待ができません。だって必ず透明の色で、香りはオイリーなアルコールの匂いなんだもん。活性炭ろ過(脱色脱臭作用がすごい)バリバリなんだもん(笑)。

一応フルーティな吟醸香が残っているらしいですが、僕程度じゃまったくわかりましぇん。

ゴクリと飲む。あああああ、これよこれ、水っぽいのに水っぽくないんです。このありえない味わいの同居こそが八海山のポイントです!

基本すんごく薄味です。そりゃ加水してアルコール度15%にして、さらに醸造アルコール添加しているんですから、もともとのお酒のエキスは薄まりまくってます。

しかし、確かに甘味と旨味がじんわり感じるんですよ。このおかげで「水っぽい」ではなく「淡麗」というポジティブな印象を受けるんです。めちゃくちゃ質のいい白身魚を食べた時のような感じですね。

この味わいの秘密が低い酸度です。酸味が少ないので、相対的に甘味と旨味が感じやすくなっているのです。このお酒はもともと甘味も旨味も少ないのに、舌はそう捉えないのですね。これぞ八海山マジックです。

以上の理由から「薄味なのにしっかり甘味と旨味を楽しめる」という相反する印象が同時に存在するお酒になっています。こういうお酒はそうそうお目にかかれない。素晴らしいですわ!

◆もっと八海山を飲もう!

いやー、もうメロメロになっちゃうお酒です。大好き。もちろんこのお酒が好きじゃない人はたくさんいると思います。だって薄すぎるもん。無ろ過生原酒が好みの人には物足りないでしょう。しかし、日本酒の1つの味わいを極めた蔵元であることは間違いないと思います。

けっこう飲まれていると思うのですが、あまり皆さん話題にしないお酒だと感じます。しかし、こんな普通のお酒ですらここまでこだわって設計されているのが八海山なのです。もし皆さんがイメージだけで避けているようでしたら、ぜひ一度飲んでみてください。食中での働きの素晴らしさに、きっとびっくりするはずですよ。

「八海山 吟醸 八海山 R1BY」、淡麗辛口の吟醸酒ここに極まれり、です。これ飲まずに吟醸酒は語れませんな。