写真 2020-05-23 12 38 59
味の傾向:
アルコール度が17%ある純米吟醸酒。フルーティかつ爽やかな香りから想像できる通り、味わいもさらりとしていてスッキリ。まさに理想の食中酒だが、17%の度数が酒に厚みを与えている。重めの料理もこなせるポテンシャルがあるぞ。

僕の評価:70点/100点(地味こそ大那の長所と言わんばかりの味)

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今回は栃木のお酒をご紹介です。「大那(だいな) 純米吟醸 那須五百万石 R1BY」であります。いやー、ここのお酒買うのすっごい久しぶりです!

お酒飲むようになって通い始めた酒屋さんが以前からここのお酒扱ってまして、初期の頃は何度か買った思い出がありますね。当時から地味さをウリにしていたので、派手なお酒を知り始めるとだんだん飲まなくなった感じです。若かったなぁ(笑)。

裏ラベルにも「大那のお酒は脇役」とまで書く徹底っぷりがここの特徴です。その流行に惑わされないスタイルが信頼されているのでしょう、いろいろな酒屋で販売されていて飲食店でも見かける機会が多いです。ようやく僕もそのよさがわかってきた気がします。

スペックを確認です。シンプルですが特徴のあるお酒ですね。

アルコール度 16.8%
精米歩合 55%
日本酒度 +2
酸度 1.8
アミノ酸度 不明
火入れ、純米、吟醸づくり、加水あり

やはり注目ポイントはアルコール度。ほぼ17%でかなり「強め」のお酒だとわかります。普通に考えれば食中でアルコールの苦味・刺激が出てしまい、料理の邪魔をすることもある度数です。さあ、大那はこれをどう仕込んでいるのか?

日本酒度+2、酸度1.8は酸度高めのお酒ではよくあるバランスですね。アルコール度からするとどちらもそんなに過剰じゃなさそうですが、どうでしょうか。

◆加水を活かした設計

グラスに注いで色を見てみるとうっすら黄色です。火入れしていることはよくわかりますね。この色だと原酒でもないなーと感じます。原酒はいろいろな点が濃いので、色でけっこうわかるんですよ。

香りは爽やか~!いいね、これは。わかりやすい!バナナ系の香りですが、それよりも爽やかさが全面に出ています。アルコールのスーッと感じに、少し残った青っぽい香りがそういうイメージをつくっています。上手。

飲んでみる。おう、派手さなし!甘さかなり控えめ。こういうのを前向きな地味さと言うんでしょうね!

上に書いた通り甘さは少ないです。アルコール度17%で日本酒度+2なのに、この印象は面白いですね~。きっと甘い糖分であるグルコース(ブドウ糖)が少ないのでしょう。

舌触りはかなり滑らかです。これは加水の証拠ですね。きっと19%ぐらいまで発酵させて、水を加えて16.8%に落としたと思われます。

この滑らかさと全体的な酸味の高さのおかげで、スッキリした綺麗な食中酒に仕上がっています。まったく迷いがないお酒ですね。

◆いつの間にか瓶が空になる

いやー、まさしく大那という感じのお酒でした。僕の場合、こういうお酒は一升瓶で買ってもいつの間にか飲みきってしまうんですよ。いくら飲んでも飲みづらくならないので、危険です!

アルコール度高めだけどしっかり加水しているところがいい影響となっています。通常だとアル添もおこなってさらに滑らかにするものですが、大那は酸味を活かしてスッキリ感をつくっていますね。基本をよく理解している蔵元だなと思います。

「大那 純米吟醸 那須五百万石 R1BY」、アルコール強めの食中酒という面白い1本。合わせる料理を考えるのが楽しいお酒だと思います!