写真 2020-05-23 12 19 22
味の傾向:
熟成した米焼酎を日本酒に添加してさらに熟成したお酒。アルコール度19%台から生まれる味と香りは強烈の一言。しかし、それ以外の味わいは整っており飲みやすい。個性的だがよくできている。

僕の評価:70点/100点(評価困るんですが、狙い通りつくれているのはわかる)

◆◆◆

さあて、今日も変態酒をご紹介だぁ。「高清水(たかしみず) 柱造り完熟生酒 H30BY」であります。あの大手酒造メーカー・高清水の特別なお酒ですね。以前に1本紹介しているシリーズです。



柱造りとは江戸時代におこなわれていた手法で、腐造(お酒が腐ること)を避けるために焼酎を日本酒に加えることです。これぞ元祖アル添(醸造アルコール添加)!ということで、リスペクトして同様のことをしている蔵元がありますね(十四代、菊水など)。

今回の高清水はさらに突き詰めておりまして、10年熟成の米焼酎を添加して、さらに生酒のまま熟成するという荒業を実行しています。これで狙い通りにつくれるなんて、さすが高清水ですわ。まあ、たくさん失敗もあったのだと思います。成功の影に失敗ありですね。

スペックです。しっかりした表記がラベルにあって助かります!

アルコール度 19.6%
精米歩合 60%
日本酒度 +2
酸度 1.8
アミノ酸度 不明
生酒、原酒、2年熟成

まず目を引くのはぶっちぎりで高いアルコール度。19%台とは強烈です。ここまでくると蒸留酒の雰囲気になっていきますね。アルコールの刺激と香りがすごいでしょう。

「原酒、日本酒度低め(=糖分多め)、酸度高め」は熟成酒としては基本のスペックですね。アルコール度が20%近いので、酸度1.8でも酸味はあまり目立たないでしょう。酸度はアルコール度に比例して感じ方が変わるのです(15%なら1.8はとても酸っぱく感じます)。

さあ、飲んでみますか。

◆目に染みる!!

常温で注いでみます。うん?色はあまりついてませんね。もしかして低温熟成なのだろうか。あとはアル添の量が多いかですね。後者じゃないかなぁ。

香りは・・・うぉっ、目に染みるぐらいのアルコールの匂い!醸造酒ばかり飲んでいると、この刺激はキますね~。あとは香ばしい甘い香り。熟成していそうです。

飲んでみましょう。

うぉ!!アルコールきつ!

しかし、甘みや酸味、苦味は綺麗に丸まっていて、思ったより飲みにくくない!

ひゃー、こりゃ派手なお酒です。しかし丁寧につくられているのがよくわかり、熟練の腕を感じさせます。

甘みはチョコレートのような香ばしさがあり上品、酸味は予想通りおとなしい、そして苦味はめちゃくちゃ抑えられている!特に苦味がいいですね。これだけの度数のお酒できっちり抑えるのは見事です。

まあ、とにかくアルコールの刺激だけは隠せないので、これに耐えられないと楽しめないとは思います(笑)。しかし、ただ豪快な酒ではない、その匠の技に感心ですね。

◆焼酎でよいのでは?

さすが高清水、と唸る1本でした。ただ、どういうシチュエーションで飲むのかさっぱりわからなかったですね。食中はどうやっても無理にしか思えないので、ペアリングで味をいじるわけにもいきませんし。ただ、今書きながらロックでテイスティングしてみたら、とても気持ちよかったのでおすすめです。

正直ここまでアルコール度高いと、米焼酎でいいんじゃない?とも思ってしまいます。焼酎派の人はどう感じるんでしょうか。最近勉強として焼酎にも興味わいてきたので、八海山や獺祭の米焼酎から入門してみようかなと考えています。

「高清水 柱造り 完熟生酒 H30BY」、チャレンジャーなあなたに贈る1本です。技術の高さは間違いないですよ!




YouTube動画更新です。今回は日本酒度についてです!



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