写真 2020-06-21 18 58 50
味の傾向:
黒龍がつくる純米吟醸酒。純米酒なのにアル添したお酒のように「水っぽい」のが特徴だ。甘みはあるが、後半の苦味も強い。これが魚介類の生っぽさとピタリと合う。さすが黒龍、完璧な食中酒である。

合わせた料理:アジの刺身、アジのなめろう、豚肉の味噌しぐれ煮

僕の評価:80点/100点(魚介類に完璧な相性。最高)

◆◆◆

はい、みんな大好き黒龍のお酒だよ!「黒龍(こくりゅう) 純吟 R1BY」のご紹介です。もう説明するまでもありませんが、日本酒界の頂点に君臨する西の横綱であります。東はもちろん高木酒造です。

僕自身の経験では、黒龍はわかりにくいお酒でした。日本酒にハマりたての頃に買って飲んでみたのですが、なんか苦くて地味というのが感想でしたね(笑)。同じ感想を持った方もいるのではないでしょうか?(もちろん、最初からうまい!と感じた方もいると思います)

この純吟は黒龍にしては珍しい純米のお酒ですね。まあ、それ以外に特筆すべき点はないので、最高の純米食中酒を目指したお酒なんだと思います。ファンとしてはどんなアプローチなのか期待しちゃいますね。

公式サイトのおすすめ料理を見てみると「さばの味噌煮、茄子の田楽、イチジクの白みそ練り胡麻ソース、白みそのお雑煮。中華料理では茄子と豚肉のピリ辛味噌炒め、フランス料理をアレンジして、タラのポワレ白みそクリームソース」と、味噌づくし(笑)。なのでしっかり味噌料理を用意してみました。

スペックです。ちょっとネットでは詳細が見当たらなかったですね。すいません。

アルコール度 15%
精米歩合 55%
日本酒度 +4.5
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、火入れ、吟醸づくり、加水あり

言うことねぇ~。まあ、アルコール度15%に日本酒度+4.5ということで、甘くも辛くもない食中酒だとわかります。黒龍としては定番中の定番と言えるでしょう。なので、僕の興味は「純米」をどう活かしているかですね。

さて、飲んでみましょう。

◆これ本当に純米酒なの?

もちろん冷酒でグラスに注ぎます。ふむ、若干黄色いですね。糖分多くない上に加水されているのに黄色いということは熟成でしょうね。同じ黒龍のいっちょらい(吟醸)は色がほぼ付いてなかったので、これがアル添との差でしょう。

香りは黒龍らしいクールで爽やかな印象です。うんうん、この匂いだと黒龍って感じがするので安心しちゃいます。心地よい吟醸香です。

飲んでみます。

え・・・これ純米酒??醸造アルコール添加していない??

なんとびっくり、純米酒なのにアル添酒みたいな味わいです!その原因は「水っぽさ」。アル添のお酒はアルコールでお酒が薄まるので独特の水っぽさが軽さをつくるのですが、この純吟は純米酒でわざとその印象を再現しています。

なんでそんなことをするのか?それは料理と最高の相性をつくるため!

自分でさばいたアジの刺身、アジのなめろうに合わせましたが完璧でした。特になめろうは味噌の旨味とお酒の苦味が完全合体して、上質なお酒の甘みが軽やかに味わえるという悶絶ものの相性でしたよ。

まさに料理と一緒になることで完成する、黒龍らしさあふれる1本です。

◆消費者のニーズに応えるのも酒蔵の務め

うふふふ、アジとのコンビネーションがたまらない1本でしたなぁ。もちろんさばの味噌煮なんかも最高だと思います。ぜひぜひ、味噌、魚介類をヒントに試してみてください。

正直、吟醸のいっちょらいで十分なペアリングだと感じます。おそらく純米で黒龍を飲みたい!という消費者の要望に応えるためつくられた商品だと思いますね。いっちょらいと比べると、味の後半に不自然さがないのがわかります。蔵としてはいっちょらいが理想の味だけど、ニーズに沿う商品も出す義務があると考えたのでしょうね。

「黒龍 純吟 R1BY」、あいかわらずの黒龍の味で、安心して飲める1本です。ぜひとも料理に合わせて飲んでみてください。