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味の傾向:ライムのような印象の力強い青草の香りが涼し気な、無ろ過生原酒の純米吟醸酒。味わいは甘さが濃いが、アルコール度が低いおかげで飲みづらくない。酸味と苦味が混ざりあったキレ味は爽快感がある。

僕の評価:75点/100点(生原酒の濃さが好きならきっと楽しめるはず)

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さあ、みんな大好き仙禽さんのお酒をご紹介ですよ~。「仙禽(せんきん) モダン仙禽 雄町 生酒 R1BY」です。春頃に発売される仙禽のスタンダード商品ですね。

仙禽と言うと、新政と一緒に低アルコール無ろ過生原酒をじゃんじゃんつくっている酒蔵というイメージがあります。とはいえ、新政ほど極端じゃない印象。このモダン仙禽・雄町もアルコール度は15%と、日本酒的には最も普通な度数ですね。

このお酒は、以前紹介した雨後の月みむろ杉と一緒に十四代セットとしてはせがわ酒店で販売されていたものになります。

さて、スペックですが、大半は非公開ですね。残念。

アルコール度 15%
精米歩合 50%&60%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
生酒、無ろ過、原酒、吟醸づくり

もう、典型的な仙禽のスペックとしか言いようがないですね(笑)。甘くて濃厚だけど、酸味でバランスを取り低アルコールで飲みやすさを確保するつくりでしょう。あとは個性を出せるかどうかで評価が分かれるところです。

とりあえず、飲んでみましょう。

◆爽快な後味!

グラスに冷酒でそそいで色を見ます。うむ、綺麗ですね。グリーンのトーンがあり、生酒らしい感じです。

香りは・・・おお、激しい!刺激的と言っていいほど青っぽい若草のような香りが出ています。酸っぱい香りも混ざっているので、まるでライムみたいですねー。フルーティな香りもありますが、青っぽい印象と比べると脇役でしょうか。

飲みます。

むむ、これは後味がいいですね~。強い甘みを吹き飛ばすような豊かな酸味と苦味が特徴です!

味わいは想像通り、こってりしたリンゴのような甘さを豊かな酸味で支えるスタイルです。しかし、酸味(と多少の苦味)が強くて、味の後半は甘さを塗りつぶすほどです。このキレだけ味わいうとまるで日本のビールみたい。

無ろ過の原酒らしい濃厚さは好みが分かれると思いますが、好きな人にとってはドライ寄りにバランスの取れたこのお酒はいい選択肢になってくれそう。料理は選びますが、低いアルコール度数も相まって食中酒としても活躍すると思います!

◆仙禽らしさとは

今回はモダン仙禽ということでカプロン酸エチル系の吟醸酒(リンゴのような甘い香りがするお酒の業界用語)だったのですが、若草の香りの強さが目立ってまるで酢酸イソアミル系(同じくバナナ系の吟醸酒)みたいに感じました。これをブラインドで見抜けるようになりたいです。

それと、仙禽という銘柄は他とは一線を画すオンリーワンな味わいを持った蔵というイメージを僕は持っています。そこから考えると、ちょっとこのモダン仙禽・雄町は個性が薄いなぁとも感じました。十分おいしいのですが、それ以上を期待しちゃうんですよね。

「仙禽 モダン仙禽 雄町 生酒 R1BY」、甘みたっぷりの濃い日本酒に強めのキレが備わった完成度高い1本です。無ろ過生原酒好きなら一度は試してみてください。


今回のYouTube講義は、みんな大好き醸造用アルコールについて!