写真 2020-08-06 19 31 34
味の傾向:醸し人九平次のフラッグシップである30%精米純米大吟醸。はっきりとしたメロンやピーチを思わせるフルーティな香りが上品で素敵。甘みはしっかりとあるが穏やかで適度な印象、そこに明瞭で伸びのある酸味が重なる。繊細さが身の上なので、扱いは慎重におこなおう。

合わせた料理:鉄火巻

僕の評価:80点/100点(難易度は高い。上級者向き)

◆◆◆

10万円給付金で買ったお酒をご紹介。「醸し人九平次(かもしびとくへいじ) 純米大吟醸 彼の岸 2018BY」です。「ひのきし」と読みます。お値段は4合瓶11000円(税込)!給付金でもないと庶民の僕には買えないお酒ですねー。おっと
百光の話はしちゃいけないゾ?

挑戦し続けるブランド・醸し人九平次の最高級品になります。精米歩合はなんと30%。そして間違いなく低温貯蔵で熟成させた1本です。以前飲んだ純米大吟醸・別誂が、開栓してから数ヶ月かけておいしくなっていくというトンデモ日本酒だったので、この彼の岸にも巨大な期待をいだいています!

スペックです。当然ほぼ不明ですね。まー、間違いなく年ごとに数値は違うでしょうし、しょうがないのかなぁ。

アルコール度 16%
精米歩合 30%
日本酒度 不明
酸度 不明
アミノ酸度 不明
純米、吟醸づくり、火入れ、加水あり、低温熟成

アルコール度数は安定の16%。最近の新作は別ですが、やはり九平次はこの度数にこだわるんですねぇ。15%のお酒と比べると、香りや味にボリューム感が出ます。そして甘さと苦さは強くなる傾向がありますね。あとは低温熟成がどういう影響を及ぼしているかがポイント。こればかりは開栓しないとわかりません。

さあ、飲んでみましょう!

◆高級なお寿司がきっと最高

冷酒で注いで色を見ます。やや黄色く色づいていますね~。糖分がメイラード反応して苦味成分であるソトロンが存在する証拠です。熟成していることがわかりますね。

香りは素晴らしい!はっきりとしたフルーティな香りなのですが、重すぎず甘すぎずめちゃくちゃいいバランスです。精米歩合50%クラスの吟醸酒などではこういう印象にならないので、さすが高精白といったところでしょうか。

飲みます。

おお~~~~、上品で柔らかい味わいだー!まさに繊細な味と言っていいでしょう!

線が細いって感じなのでしょうか?甘みがメインの味わいですが、とっても穏やか。ボリュームがなく淡い印象なんですよね。この繊細さは高精白ならではの楽しみでしょう。

そこに明瞭な酸味が混ざり合います。これがちょっと強すぎるんですよね。甘さが酸に負けちゃう。そのため、単独で飲むとまろやかさが足りずバランスの悪い印象です。

こういうお酒は料理と合わせると完成品になります。寿司がもう最高で、酸味のアクセントに淡い甘みがジワ~っと広がる様は至福であります。まあ、自分が食べたのは安売りのメバチマグロを雑に巻いた鉄火巻ですが!でもめっちゃうまかったよ!

◆飲み頃の把握を含めて上級者向き

開栓してしばらくの間は、11000円の価値あるの?と不安でいっぱいでしたが、寿司と合わせた途端評価が180度変わりましたね。また超高精白ゆえにボディが軽いわけですが、このおかげでワインと一緒に食卓に並べても違和感ないです。こういうところは九平次らしいですね~。

しかし、僕としては上級者向けという評価です。非常に高価な上に飲み方に工夫が必要なんです。さらに飲み頃の把握も重要だと思われ、今回の2018BYも本当は飲み頃じゃなかったと感じます。このぐらいの高級酒だと、もっと甘みのふくらみがあるべきだと思うんですね。

「醸し人九平次 純米大吟醸 彼の岸 2018BY」、チャレンジする際は万全の準備で。強敵ですよぉ。




YouTube動画です。今回は生酒について科学的に解説!