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味の傾向:飯米を使った無ろ過原酒の特別純米。香りはバナナを思わせるフルーティな印象だが穏やか。飲んでみると濃い甘さがあるがそれ以上に強烈な酸味が存在し、突き抜けた印象の味わいだ。味のバランスはよく飲みやすい。ワインともイメージが違う酸っぱいお酒だ。

僕の評価:80点/100点(ペアリングの可能性を広げる楽しいお酒です)

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当ブログ初のご紹介となる京都のお酒です!「白木久(しらきく) 特別純米酒 酵母&麹三種仕込み CHIMERA~キメラ~ R1BY」であります。なんか名前からして不穏な感じです!(笑)

白木久をつくる白杉酒造は、仕込むお米に酒造好適米を使わず飯米(コシヒカリなど)を使ったり、白麹(焼酎用の麹)、黒麹(泡盛用の麹)を使用したりすることで有名です。黒麹使用のブラックスワンなどが人気ですね。

このキメラは、麹を3種類(黃、白、黒)、酵母も3種類(77号、6号、10号)使用して仕込んだ無ろ過原酒なのだそうです。いやもう、わけがわかりませんね(笑)。酸にこだわりがある味なんだろう!ということだけは想像できます。

スペックです。なんとすべて公開されていました。ありがとうございます!

アルコール度 15~16%
精米歩合 60%
日本酒度 -5
酸度 3.0
アミノ酸度 1.4
純米、吟醸づくり、一回火入れ、原酒、無ろ過

予想通りの高い酸度!しかし日本酒度はそこまで極端ではないですね。意外とバランスいいのかも。またアミノ酸度1.4も目立ちます。強い酸味を旨味でおさえているのかな。

さあ、飲んでみましょう。

◆強烈な酸味がギリギリのバランスで整っている!

もちろん冷酒で注いでお酒の色を見ます。お、しっかり黄色く色づいていいますねぇ。原酒なのでわかりやすいです。フレッシュさをウリにしているお酒のようなので、熟成ではなく糖分とアミノ酸が火入れで加熱されて色がついたのでしょう。

香りは意外にもそんなに酸っぱく感じないです。あれ、どういうことでしょう。バナナやマスカットのようなフルーティさがありますがほんのりといったところですね。うーん、酸が多くても乳酸(香りが出やすい酸)が少ないのかな。

まあ、飲んでみましょう。

うおおおおッ、酸っぱ、酸っぱい!!でもこの痛々しい酸っぱさが癖になります!!

予想通りの力強い酸味です。これは普通の日本酒では感じられませんねぇ。さすが白麹&黒麹の力です。酸味にもエグみがあり、100%フルーツジュースの時に感じる酸味に似ているかもしれません。

この酸味を濃厚な甘みが上手にフォローしているんですよね~。バランスがぴったりなので飲んでて心地よいです。さすが麹の使い方に慣れてらっしゃる。あくまで酸味が主役ですが、甘みもたっぷりあり飽きることがありません。

◆酸味がメインの日本酒というニュースタンダード

酸味が主体というお酒が世に出るようになってずいぶん経ちましたが、その流れのお酒としては1つの到達点と言える1本じゃないでしょうか。酸が強いとワインみたいと言われがちですが、このキメラは白ワインとも明らかに違う味わいで感心しました。

こういうお酒があると料理と合わせるのも楽しいです。レモンをかけておいしい料理と一緒に飲むのなどが定番でしょうけど、他の可能性もたくさんありそうです。いやあ、楽しい時代になったものです。

「白木久 特別純米酒 酵母&麹三種仕込み CHIMERA~キメラ~ R1BY」、酸味のある日本酒がお好きなら絶対飲んだ方がいい1本ですね。おすすめです!





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